2月は月間平均9.0アシスト! リーグ屈指のパサー、ヨキッチ
2月の月間最優秀選手に、イースタン・カンファレンスからレブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)が選出された。33歳のレブロンは史上最年長で月間平均トリプルダブル(平均27.0得点10.5リバウンド10.5アシスト)を記録した。
実は、2月に月間平均トリプルダブルを達成した選手がもう1人いた。オクラホマシティ・サンダーのラッセル・ウェストブルックだ。ウェストブルックは月間平均22.0得点10.3リバウンド11.6アシストを残している。
そして月間平均トリプルダブルに到達しなかったものの、トリプルダブル級の成績を残した選手がいる。それがデンバー・ナゲッツのニコラ・ヨキッチだ。208センチ113キロのセンターは、平均21.8得点11.3リバウンド9.0アシストを記録していたのである。
さらに、今年1月2日(現地時間1日)から3月6日(同5日)終了時点で、ヨキッチは合計193アシストを記録しているのだが、リーグ全体でこの数字を上回るのは、レブロンとウェストブルックしかいない。つまり、今年に限って言えば、ヨキッチはリーグ屈指のパサーと言うことができるだろう。
とはいえ、ビッグマンながら、月間平均9.0アシストを記録するような選手がこれまでいただろうか? おそらく、これまではいなかったはずだ。
パスでゲームに華やかさを加えるビッグマンたち
パスがうまいセンターとして浮かんでくるのは、アルビダス・サボニス(元ポートランド・トレイルブレイザーズ)とブラデ・ディバッツ(元サクラメント・キングス)だろうか。
31歳でNBA入りしたサボニスは、3年目の1997-98シーズンに自己ベストとなる平均3.0アシストを記録。221センチの長身から、ビハインドザバックパスやノールックパスなど、華やかなパスを繰り出した。
キャリア16シーズンをプレーしたディバッツも、パサーとして定評があった。レイカーズ、ホーネッツと渡り歩き、98年にキングスへ加入すると、パワーフォワードのクリス・ウェバー(元キングスほか)と共に強力なフロントラインを形成。ビハインドザバックパスやノールックパスはもちろんのこと、ハイポスト付近からチームメートのアリウープを演出するロブパスを何度も決めていた。2003-04シーズンには、キャリアベストとなる平均5.3アシストをマーク。96年4月6日(同5日)のバンクーバー(現メンフィス)・グリズリーズ戦ではキャリアハイの13アシストを残しているように、キャリア中期からパサーとして頭角を現していた。
また、主に1990年代にリーグを席巻したビッグマンたちにも、オフェンスの起点となり、チームメートへアシストを何度も記録していた選手がいる。ローポストからカットしてくるチームメートへ的確なパスを出していたシャキール・オニール(元ロサンゼルス・レイカーズほか)や、オフェンスの起点としてプレーしていたアキーム・オラジュワン(元ヒューストン・ロケッツほか)やデイビッド・ロビンソン(元サンアントニオ・スパーズ)、ウェバーらが該当する。
近年では、一昨季をもって現役を引退したティム・ダンカン(元サンアントニオ・スパーズ)とケビン・ガーネット(元ミネソタ・ティンバーウルブズほか)をはじめ、マルク・ガソル(メンフィス・グリズリーズ)やパウ・ガソル(サンアントニオ・スパーズ)、ジョアキム・ノア(ニューヨーク・ニックス)、今季平均5.4アシストを挙げていたデマーカス・カズンズ(ニューオリンズ・ペリカンズ)は、パサーとして定評があるビッグマンだ。
それでも、ヨキッチほど見事なパスさばきを見せてきたビッグマンはいないのではないだろうか。サイズはセンターそのものだが、ヨキッチは自らボールを運び、ファストブレイクの先陣を切ることもあれば、ローポストやハイポストでボールを受け、ポイントガードのように鋭いパスを繰り出すことができる。
今ではセンターでも3ポイントシュートを当然のごとく放つように、パスで得点を演出し、かつハイライトシーンにも残るような華やかなパスをも繰り出すことのできるビッグマンがいる。その代表が、ヨキッチなのかもしれない。
NBAでは毎試合、必ずといっていいほど観客をうならせるプレーがある。華麗なボールハンドリングや鮮やかなクロスオーバー、相手ディフェンダーを一瞬で置き去りにする鋭いドライブや豪快なダンクやブロックとあわせて、ガードさながらの見事なパスさばきを見せるビッグマンにも注目していただきたい。