2017.12.11

現地記者が選ぶ「近代NBAのディフェンダー、ベスト5」とは?

昨季の最優秀ディフェンシブ・プレーヤー賞を受賞したグリーン[写真]=Getty Images
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 現地メディア『ESPN』のライター、ケビン・ペルトン氏が、1990年代以降で区切った中でオールタイム・ディフェンシブチームを紹介しているので紹介したい。

 このチームを決めるにあたり、1試合または1つのポゼッション(攻撃機会)ではなく、シーズン全体を通して選出したこと、複数のポジションをガードする現代NBAを想定しているということ、そしてピーク時の実力から判断したということをペルトン氏は説明している。それでは、ポイントガードから順にみていこう。

ポイントガード:クリス・ポール(ヒューストン・ロケッツ)
 ポールは身長183センチながら、スイッチして自身よりも大柄な選手をガードすることができる。クリッパーズ在籍時にはプレイオフでケビン・デュラント(当時はオクラホマシティ・サンダー)ともマッチアップしていた。手が早く、相手チームのオフェンスを読む能力にたけており、溢れる競争心と執拗さを持ち合わせている。それら点で、パトリック・ベバリー(ロサンゼルス・クリッパーズ)、ジェイソン・キッド(元ダラス・マーベリックスほか)、ゲイリー・ペイトン(元シアトル・スーパーソニックスほか)を上回った。

シューティングガード:トニー・アレン(ニューオリンズ・ペリカンズ)
 マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)もトップ候補に入っていたのだが、アレンを1位とした。アレンは「キャリア・ディフェンシブボックス・プラスマイナス(ESPNのスタッツ)」において、ガードの選手として唯一、トップ20に入っている。アレンの持つディフェンスに対する情け容赦のない姿勢とエナジーが、ファーストチーム入りの理由だ。

アレン(左)はオールディフェンシブチームに6度選出されている[写真]=Getty Images

スモールフォワード:スコッティ・ピペン(元シカゴ・ブルズほか)
 このポジションで主にプレーする選手の中で、1990年代から現在で最優秀ディフェンシブ・プレーヤー賞(DPOY)を獲得した経歴を持つのはカワイ・レナード(サンアントニオ・スパーズ/2015、16年)とメッタ・ワールドピース(元ロサンゼルス・レイカーズほか/2004年)の2選手のみ。ピペンはDPOYを獲得したことこそないものの、5つすべてのポジションをガードすることのできる、理想的なディフェンダーだ。

機敏でパワフル。ピペンはディフェンダーとして史上有数の実力者[写真]=Getty Images

パワーフォワード:ドレイモンド・グリーン(ゴールデンステート・ウォリアーズ)
 ティム・ダンカン(元サンアントニオ・スパーズ/211センチ)とケビン・ガーネット(元ミネソタ・ティンバーウルブズほか/211センチ)は、全盛期にパワーフォワードでプレーしていたものの、実際はセンターとして考えられていた。その点、グリーン(201センチ)は彼らより小さいものの、より多くのポジションをガードできる。3ポイントエリアでも十分に対応できるディフェンス力を持つ。また、今年2月には11リバウンド10アシスト10スティールに5ブロックと、得点以外の3項目でトリプルダブルを記録する多彩さも魅力である。

センター:ベン・ウォーレス(元デトロイト・ピストンズほか)
 候補に入ったのはダンカン、ディケンベ・ムトンボ(元アトランタ・ホークスほか)、アキーム・オラジュワン(元ヒューストン・ロケッツほか)をはじめとするビッグマンたち。その中で、私が選んだのはウォーレスだ。センターとしては身長206センチと小柄ながら、パワーと身体能力を駆使して守護神として活躍したウォーレスは「キャリア・ディフェンシブボックス・プラスマイナス(ESPNのスタッツ)」で3度、見事なシーズンを過ごしており、ディフェンシブ・RPM(リアル・プラス・マイナス)ではトップ5に3度ランクインしている。2003―04シーズン、ウォーレスはピストンズで私が今まで見たことのないほどすばらしいディフェンスを見せて、チャンピオンに輝いた。引退から5年が経っているとはいえ、ウォーレスのアスレティック能力は現代NBAでも十分通用するのではないだろうか。

 今回紹介したようなオールタイムのディフェンシブチームを選出するとなると、個人個人で意見が異なってくるのは仕方ないところだろう。それでも、ここに挙げた5選手がチームを形成して現代NBAでプレーすると考えると、ワクワクしてしまう。NBAのレジェンドが来日した時にでも、聞いてみたいものだ。

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