ポールがプレーオフ自己最多の41得点を挙げ、ロケッツがウエスト決勝進出!

プレーオフキャリアハイの41得点に10アシストをマークし、自身初のウエスト決勝へと駒を進めたポール[写真]=Getty Images

ジャズとの熱戦にポールが自らの手で終止符を打つ

 5月9日(現地時間8日)、ヒューストン・ロケッツ(3勝)とユタ・ジャズ(1勝)によるウエスタン・カンファレンス・セミファイナル第5戦が、ロケッツのホーム、トヨタ・センターで行われた。

 ハムストリングの負傷により、リッキー・ルビオダンテ・エクサムを欠いたジャズは、ジョー・イングルズルディ・ゴベアドノバン・ミッチェルロイス・オニールジェイ・クラウダーというスターター陣が一丸となって得点し、第1クォーター中盤までロケッツをリード。

 しかし、残り5分を切ったあたりからロケッツが11連続得点であっさり逆転。ジェームズ・ハーデンが5得点3アシストと、全11得点に絡む活躍でジャズからリードを奪う。ジャズはデリック・フェイバーズとイングルズがショットを決めたが、ロケッツのリードは変わらず、21-16でこのクォーターを終える。

 第2クォーター。ジャズはフェイバーズとアレック・バークスの得点で、2点差まで追い上げるも、ロケッツはクリス・ポールやルーク・バー・ア・ムーテ、PJ・タッカーらが加点し、最大8点をリードするなど、主導権を譲らない。

 それでもジャズは、イングルズとバークスの3ポインター、ゴベアのレイアップなどで残り3分5秒に43-43の同点とした。しかし、この日はポールのショットが絶好調で、前半残り約2分から2本の3ポインターを含む8得点を奪取。残り1.1秒にはタッカーの3ポインターも決まり、54-46で試合を折り返す。

この日の隠れたヒーローはタッカー。7投中5本の3ポイントを決めるなど19得点の活躍を見せた[写真]=Getty Images

 シリーズ敗退まであと1敗に追い込まれたジャズは、第3クォーターに意地の反撃を開始。前半2得点だったミッチェルが、ドライブにステップバック・ジャンパー、3ポイントシュートにフリースローと一気にスパークし、第3クォーターだけで22得点。ロケッツの総得点(21)を1人で上回る爆発で、ジャズはこのクォーターに32-21と圧倒し、78-75で最終クォーターを迎えた。

 第4クォーター開始直後、フェイバーズのレイアップでジャズが5点をリードするも、ロケッツはポールとタッカーの連続3ポインターで一気に逆転。オニールとバークスが踏ん張り、健闘を見せたジャズだったが、残り7分9秒、ここまでチームをけん引してきたミッチェルが左足の負傷によってコートから離脱してしまう。

 これで万事休すかと思われたやさき、ジャズはイングルズにバークス、オニールらが最後の意地でロケッツに襲い掛かった。ハーデンとポールのショットでリードするロケッツに対し、ジャズは残り5分26秒からバークスとオニールで7-0のランを見せ、残り4分34秒に96-97と1点差まで詰め寄る。

 そこで立ち上がったのはポールだった。そこから2本の3ポインターをさく裂させるなど、ポールは1人で12得点の荒稼ぎで、粘るジャズをノックアウト。最終スコア112-102でロケッツが試合を制し、4勝1敗でカンファレンス・ファイナル進出を決めた。

左足を痛めながらジャズを引っ張った驚異の新人ミッチェルだったが、最後は痛みが限界に達し、コートを離れることとなった[写真]=Getty Images

大成功と呼べるシーズンを送ったジャズ

 ロケッツではポールがプレーオフのキャリアハイとなる41得点に7リバウンド10アシスト。3ポイントシュートを10投中8本沈める絶妙なシュートタッチでロケッツを勝利へと導いた。しかも、この日のポールはターンオーバーがゼロという文句なしのコンダクターぶりを発揮。『NBA.com/Stats』によると、ターンオーバーが公式スタッツになった1977-78シーズン以降、ポールはプレーオフの試合で40得点10アシスト0ターンオーバーを残した史上初の選手となった。

 また、5本の長距離砲を成功させたタッカーがプレーオフキャリアハイとなる19得点に6リバウンド3ブロック、ハーデンが18得点4アシスト、カペラが3スティール5ブロックを記録。この日のロケッツは、ポールの8本を含む18本の3ポイントシュートをチーム全体で決め、成功率も46.2パーセントと高確率をマーク。

 シーズン終了となったジャズでは、ミッチェルが24得点4リバウンド9アシスト、バークスが22得点5アシスト、オニールが17得点、イングルズが12得点5リバウンド6アシスト、ゴベアが12得点9リバウンド5ブロックを残した。

 この試合のヒーローは、自身初となるカンファレンス・ファイナル進出を果たしたポールだった。試合後の会見で「ただただ楽しい。でも、カンファレンス・ファイナル進出を決めたことやほかのことは重要じゃない。あくまでプロセスなんだ」と語っていたが、内心はうれしかったに違いない。ただし、ジャズの粘りにあったことで、「彼らは自分たちのペースで立ち向かってきた。だから俺たちは、あと1勝を挙げるべく、できる限りトライしたんだ」と振り返った。

 ポールの活躍に、ハーデンは「彼はコートに出て、ゲームを引き継いでくれた。これまで、今日のようなパフォーマンスができる機会がなかったんじゃないかな。彼は俺たち全員を背中で引っ張ってくれた」とコメントし、信頼するチームメートを絶賛。

開幕前には共存を疑問視されたハーデン(右)とポール(左)だったが、満を持してウエスト決勝で打倒ウォリアーズに挑む[写真]=Getty Images

 ルビオ、エクサム、そしてミッチェルと、故障者に見舞われながら、最後までチームとして戦い続けた今季のジャズは、すばらしい健闘を見せた。

 「(シリーズの)結果はアンハッピーになってしまった。でもシーズン全体として見れば、皆がハッピーなものになったと思う」というミッチェルの言葉が、チームメート全員の気持ちを代弁していたと言っていいだろう。

 2015年以来、初のカンファレンス・ファイナル進出を果たしたロケッツは、過去3年で2度の優勝に輝いている最強のライバル、ゴールデンステート・ウォリアーズと戦うこととなる。決戦が始まるのは15日(同14日)。約1週間の休息中にコンディションを整え、ホームのトヨタ・センターで行われるシリーズ初戦に挑むこととなる。

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