ジャズとの熱戦にポールが自らの手で終止符を打つ
5月9日(現地時間8日)、ヒューストン・ロケッツ(3勝)とユタ・ジャズ(1勝)によるウエスタン・カンファレンス・セミファイナル第5戦が、ロケッツのホーム、トヨタ・センターで行われた。
ハムストリングの負傷により、リッキー・ルビオとダンテ・エクサムを欠いたジャズは、ジョー・イングルズにルディ・ゴベア、ドノバン・ミッチェル、ロイス・オニール、ジェイ・クラウダーというスターター陣が一丸となって得点し、第1クォーター中盤までロケッツをリード。
しかし、残り5分を切ったあたりからロケッツが11連続得点であっさり逆転。ジェームズ・ハーデンが5得点3アシストと、全11得点に絡む活躍でジャズからリードを奪う。ジャズはデリック・フェイバーズとイングルズがショットを決めたが、ロケッツのリードは変わらず、21-16でこのクォーターを終える。
第2クォーター。ジャズはフェイバーズとアレック・バークスの得点で、2点差まで追い上げるも、ロケッツはクリス・ポールやルーク・バー・ア・ムーテ、PJ・タッカーらが加点し、最大8点をリードするなど、主導権を譲らない。
それでもジャズは、イングルズとバークスの3ポインター、ゴベアのレイアップなどで残り3分5秒に43-43の同点とした。しかし、この日はポールのショットが絶好調で、前半残り約2分から2本の3ポインターを含む8得点を奪取。残り1.1秒にはタッカーの3ポインターも決まり、54-46で試合を折り返す。
シリーズ敗退まであと1敗に追い込まれたジャズは、第3クォーターに意地の反撃を開始。前半2得点だったミッチェルが、ドライブにステップバック・ジャンパー、3ポイントシュートにフリースローと一気にスパークし、第3クォーターだけで22得点。ロケッツの総得点(21)を1人で上回る爆発で、ジャズはこのクォーターに32-21と圧倒し、78-75で最終クォーターを迎えた。
第4クォーター開始直後、フェイバーズのレイアップでジャズが5点をリードするも、ロケッツはポールとタッカーの連続3ポインターで一気に逆転。オニールとバークスが踏ん張り、健闘を見せたジャズだったが、残り7分9秒、ここまでチームをけん引してきたミッチェルが左足の負傷によってコートから離脱してしまう。
これで万事休すかと思われたやさき、ジャズはイングルズにバークス、オニールらが最後の意地でロケッツに襲い掛かった。ハーデンとポールのショットでリードするロケッツに対し、ジャズは残り5分26秒からバークスとオニールで7-0のランを見せ、残り4分34秒に96-97と1点差まで詰め寄る。
そこで立ち上がったのはポールだった。そこから2本の3ポインターをさく裂させるなど、ポールは1人で12得点の荒稼ぎで、粘るジャズをノックアウト。最終スコア112-102でロケッツが試合を制し、4勝1敗でカンファレンス・ファイナル進出を決めた。
大成功と呼べるシーズンを送ったジャズ
ロケッツではポールがプレーオフのキャリアハイとなる41得点に7リバウンド10アシスト。3ポイントシュートを10投中8本沈める絶妙なシュートタッチでロケッツを勝利へと導いた。しかも、この日のポールはターンオーバーがゼロという文句なしのコンダクターぶりを発揮。『NBA.com/Stats』によると、ターンオーバーが公式スタッツになった1977-78シーズン以降、ポールはプレーオフの試合で40得点10アシスト0ターンオーバーを残した史上初の選手となった。
また、5本の長距離砲を成功させたタッカーがプレーオフキャリアハイとなる19得点に6リバウンド3ブロック、ハーデンが18得点4アシスト、カペラが3スティール5ブロックを記録。この日のロケッツは、ポールの8本を含む18本の3ポイントシュートをチーム全体で決め、成功率も46.2パーセントと高確率をマーク。
シーズン終了となったジャズでは、ミッチェルが24得点4リバウンド9アシスト、バークスが22得点5アシスト、オニールが17得点、イングルズが12得点5リバウンド6アシスト、ゴベアが12得点9リバウンド5ブロックを残した。
この試合のヒーローは、自身初となるカンファレンス・ファイナル進出を果たしたポールだった。試合後の会見で「ただただ楽しい。でも、カンファレンス・ファイナル進出を決めたことやほかのことは重要じゃない。あくまでプロセスなんだ」と語っていたが、内心はうれしかったに違いない。ただし、ジャズの粘りにあったことで、「彼らは自分たちのペースで立ち向かってきた。だから俺たちは、あと1勝を挙げるべく、できる限りトライしたんだ」と振り返った。
ポールの活躍に、ハーデンは「彼はコートに出て、ゲームを引き継いでくれた。これまで、今日のようなパフォーマンスができる機会がなかったんじゃないかな。彼は俺たち全員を背中で引っ張ってくれた」とコメントし、信頼するチームメートを絶賛。
ルビオ、エクサム、そしてミッチェルと、故障者に見舞われながら、最後までチームとして戦い続けた今季のジャズは、すばらしい健闘を見せた。
「(シリーズの)結果はアンハッピーになってしまった。でもシーズン全体として見れば、皆がハッピーなものになったと思う」というミッチェルの言葉が、チームメート全員の気持ちを代弁していたと言っていいだろう。
2015年以来、初のカンファレンス・ファイナル進出を果たしたロケッツは、過去3年で2度の優勝に輝いている最強のライバル、ゴールデンステート・ウォリアーズと戦うこととなる。決戦が始まるのは15日(同14日)。約1週間の休息中にコンディションを整え、ホームのトヨタ・センターで行われるシリーズ初戦に挑むこととなる。