レジェンドの目の前で勝利し、3連勝を飾った新生シクサーズ
1990年代後半から2000年代中盤にかけて、フィラデルフィア・セブンティシクサーズのエースとして活躍したアレン・アイバーソン(元シクサーズほか)は、00-01シーズンにMVPを獲得し、83年以来初となるNBAファイナル進出へと導いた。
183センチ74キロと小柄な体格ながら、ビッグマン相手にも物おじしない熱いハートと電光石火のクイックネス、そして見事なシュート力を兼備した“小さな巨人”は、歴代7位となるキャリア平均26.7得点に加え、歴代4位の平均出場時間(41.1分)を残すなど無尽蔵のスタミナを誇った。
世界的な人気を博したアイバーソンは、16年にバスケットボール殿堂入りを果たし、今でも絶大な人気を誇っている。
そのアイバーソンが、11月20日(現地時間19日)に行われたシクサーズ対フェニックス・サンズの試合を見に、ホームのウェルズファーゴ・センターへ姿を現した。シクサーズは後半にサンズを逆転し、119-114で制して3連勝。今季成績を12勝7敗とした。
この試合、シクサーズではジョエル・エンビードがチームトップとなる33得点に17リバウンド3スティール、ベン・シモンズが19得点11リバウンド9アシスト、マイク・マスカーラが19得点5リバウンド、JJ・レディックが17得点、ジミー・バトラーが16得点を記録。シクサーズはバトラー加入後、3勝1敗と好調だ。
01年のファイナル進出時と現在のチームを重ね合わせたアイバーソン
アイバーソンもバトラーを高く評価しており、現地メディア『The Athletic』に対して、このように語っている。
「俺たちシクサーズはジミーという、すばらしい選手を手に入れた。トレードで失った選手たち(ロバート・コビントンとダリオ・シャリッチ)のことは残念ではあるけど、ジミーを加えたことは俺たちにとってすばらしいこと。(01年に)ファイナルへ進出した時のエナジーがこの街にはある。俺は今のチームが持つエナジーが大好きだ。俺たちは見事なトレードを行ったんだ」。
01年にファイナルへ進出したシクサーズには、アイバーソンのほかに数多くの献身的かつ優秀なロールプレーヤーが在籍していた。アーロン・マッキー、ジョージ・リンチ、エリック・スノウ、タイロン・ヒル(いずれも元シクサーズほか)、さらにはシーズン途中にトレードで加入したディケンベ・ムトンボ(元アトランタ・ホークスほか)といった選手たちがシクサーズを支えた。
アイバーソンは当時のシクサーズと現在のシクサーズを重ね合わせていた。アイバーソンはこう続けている。
「俺はジョー(エンビード)、ベン(シモンズ)という、それぞれの個性を持った選手たちが大好きだ。バトラーを加えたことで、このチームには3人のスーパースターがいる。このチームのすごいところは、ロールプレーヤーたちがそれぞれの責任を果たし、スター選手たちを輝かせていること。2001年の俺たちがまさにそうだったんだ。今のチームは、誰か1人に頼りきる必要がない。俺たちシクサーズは今、チャンスをつかんだんだ」。
コビントンとシャリッチ、ジェリッド・ベイレスを失ったものの、現在のシクサーズにはレディックやTJ・マッコネル、ウィルソン・チャンドラーやマスカーラといった有能な選手がいる。
エンビード、シモンズ、そしてバトラーという強力なコアと、ロールプレーヤーたちがさらにかみ合い、チームケミストリーを醸成していくことができれば、01年以来のファイナル進出も決して夢物語ではないだろう。