“スーパーチーム”構想に異を唱えるアデトクンボ
オールスターフォワードのヤニス・アデトクンボがけん引するミルウォーキー・バックスは、12月20日(現地時間19日)終了時点でイースタン・カンファレンス2位の21勝9敗(勝率70.0パーセント)と好調だ。
ロースターにはアデトクンボだけでなく、堅実な仕事人クリス・ミドルトン、爆発的な身体能力を誇るエリック・ブレッドソー、一昨季の新人王マルコム・ブログドンなど、複数のタレントが所属している。
このペースで勝ち続けることができれば、59勝23敗(勝率72.0パーセント)を残した1984-85シーズン以来の好成績を残すことも十分可能だろう。
キャリア6シーズン目のアデトクンボは、今季のチームに手ごたえを感じており、21日(同20日)に現地メディア『Bleacher Report』へ掲載された記事の中で、こう言い放っていた。
「間違いない。僕らは今季、優勝するチャンスがあると感じている。このチームはタレントがいると僕は思う。毎試合、(勝利するための)努力を怠らず、エナジーをつぎ込むことで、僕らには今季、優勝できるチャンスがある」。
アデトクンボが言うタレントは、近年のバックスと比較すると今季は充実しているのかもしれない。だが、イースト上位チームを見てみると、インパクト不足なのは否めない。
トロント・ラプターズにはカワイ・レナードとカイル・ラウリー、フィラデルフィア・セブンティシクサーズにはジミー・バトラー、ジョエル・エンビード、ベン・シモンズがおり、ボストン・セルティックスにはカイリー・アービングとアル・ホーフォードというオールスター選手がおり、選手層も充実している。
だが、アデトクンボはスターぞろいの“スーパーチーム”について、あまり興味がないようだ。
「たくさん(のスター選手)は必要ない。僕は本当にそう思ってる。僕らにはチームの中ですばらしいピースがそろってるからね。選手全員がそれぞれの役割を理解しているし、その役割を楽しみながらこなしているんだ。それにコーチ(マイク・ブーデンホルザーHC)の存在も大きい。コーチが僕らに自信を与えてくれるし、選手それぞれに役割を与えて、選手たちはそれを喜んで受け入れている。これは選手としてありがたいことだし、どのチームにとってもすごく大きいこと」とアデトクンボは言う。
ブーデンホルザーHCの下、適材適所の選手起用でイースト制覇を狙う
今夏にバックスが行った補強は、ブルック・ロペスとアーサン・イリヤソバというアウトサイドシュートを決めることができるビッグマンと、パット・カナトンやダンテ・ディヴィンチェンゾというシュータータイプの選手を獲得したこと。
ブーデンホルザー新HCの下、バックスはスター選手ではなく、チームのシステムにフィットする選手を複数獲得し、今季を迎えたのである。ここまでの戦績を見るかぎり、この補強プランは奏功していると言っていい。
だが、バックスを優勝候補に推すのはまだ早いというのが大方の考えだろう。このチームは2001年にイースタン・カンファレンス・ファイナルまで進出してから、昨季まで8度のプレーオフ出場で、1度もファーストラウンドを突破できていないからだ。
アデトクンボ自身も、そのことは理解しているはずだ。「バックスがイーストを制すると期待している人は皆無に等しい。僕らが勝つためにはまだまだやらなければならないことが多い。僕らはチームとして成長を続けていくだけさ」と口にしており、現状に対してまったく満足などしていない。
12月8日(同7日)にベテランのジョージ・ヒルを加えて経験値を増したものの、バックスが現有戦力でイーストを勝ち上がることができるかどうかは判断が難しいところ。
それでも、アデトクンボを中心とした今季のバックスは、チーム・ケミストリーを構築できている。今後それを醸成していくことができれば、イーストの優勝戦線に入り込むことは十分可能だろう。チームとして、さらなる成長を期待したい。