古巣から大ブーイングを受けたレナードに対し、デローザンが殊勲の活躍
昨夏、リーグ有数の実力者カワイ・レナードは、トレード志願の末にサンアントニオ・スパーズからトレードでダニー・グリーンと共にトロント・ラプターズへと移籍。
その交換相手は、ラプターズで長年エースを務めてきたデマー・デローザンと若手ビッグマンのヤコブ・ポートルだった。
昨夏最大級の衝撃を与えたトレードから約半年が経過した1月4日(現地時間3日)。ラプターズのユニフォームを身にまとったレナードが、昨季まで7シーズンを過ごしたサンアントニオへ凱旋し、スパーズのホーム、AT&Tセンターで古巣と対決。
スパーズのホームへと駆け付けた1万8,354人のファンは、レナードが登場するやいなや、ブーイングを開始。試合開始後も、レナードにボールが渡るたびにブーイングを浴びせた。
ゲームは第1クォーターからスパーズが38-19のダブルスコアでラプターズを圧倒。最終スコア125-107でラプターズを下し、今季成績を22勝17敗とした。
試合後、デローザンは「本当に何もなかったよ。昨季までのチームメートたちとコートでプレーし、しゃべったことが最高に楽しかったね。でも彼らには特にこみ上げてくるような感情はなかったと思うし、僕もそうだった。ただ楽しいゲームだったんだ」と『ESPN』へ語っていたものの、自身のパフォーマンスで古巣へ強烈なメッセージを残したことは間違いない。
この試合、デローザンはラマーカス・オルドリッジ(23得点)に次ぐチーム2位の21得点に加えて14リバウンド11アシストに2スティールをマークし、自身初のトリプルダブルを達成。デローザンはトリプルダブルについてこう振り返っている。
「第1クォーターの後、時々スコアボードを見上げていたんだ。そしたら『おいおい、もう5本もリバウンドを奪ってたのか』と思ってね。さらに7アシストに9得点もしていたんだ。(チームメートの)誰かが僕にこう言ってきたんだ。『LA(オルドリッジの愛称)とスクリーン&ロールしてトリプルダブルを狙えよ』ってね。そこから彼が(僕からのパスで)ショットを沈めてくれたんだ」。
レナードが届かなかったトリプルダブルを目の前で達成したデローザン
3日(同2日)終了時点で、キャリアハイとなる平均6.3アシストを挙げていたデローザンについて、スパーズのグレッグ・ポポヴィッチHCはこう評している。
「ついに(トリプルダブルできる)ときが来たのさ。私は彼が良いパサーだとは知らなかった。でもこのチームにおいて、彼は魅力あふれるプレーをしているし、うまくチームメートを見つけている。これまで、彼が良いスコアラーで、すばらしいチームメートだということは知ってたんだが、ここまでパサーとしても優れているとは思いもしなかった」。
1996-97シーズン途中からスパーズの指揮官を務めているポポヴィッチHCの下で、トリプルダブルを達成した選手はこれまでティム・ダンカン(元スパーズ)、トニー・パーカー(現シャーロット・ホーネッツ)、パウ・ガソルの3人しかいなかった。
つまり、昨季までスパーズでエースを務めてきたレナードが達成できなかったトリプルダブルを、デローザンはこの試合でマークしたことになる。
ラプターズでデローザンとチームメートだったルディ・ゲイは、スパーズで今季から再びタッグを組んだことで「僕はここ数年の間、彼がどう進化してきたのかを見てきた。今の彼はより選手として完璧へと近づいたんだ。僕らのために、彼はすべてをこなしているよ」と成長したデローザンを絶賛。
ここ13試合で10勝をマークしたスパーズは、プレーオフ出場圏内へと浮上しており、22年連続の出場も決して不可能ではない位置にいる。選手として成長を遂げたデローザンには、今後もスパーズをけん引していってほしいところだ。