2018.07.19

スパーズとラプターズのトレードが正式に決定、今年来日したD.グリーンもラプターズへ

2014年のスパーズ優勝メンバー、レナード(右)とグリーン(左)がラプターズへ[写真]=Getty Images
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オールスターガードと期待の若手センターを手に入れたスパーズ

 7月19日(現地時間18日)、サンアントニオ・スパーズトロント・ラプターズの2チーム間で、トレードが正式に決定した。

 スパーズからはカワイ・レナードダニー・グリーンがラプターズへ、ラプターズからはデマー・デローザンとヤコブ・ポートル、2019年のドラフト1巡目指名権(条件付き)がスパーズへ渡ることとなった。

レナード(左)は11年にデビュー後、7シーズンにわたって指導を受けたポポヴィッチHC(右)、そしてスパーズと別々の道を歩むことになった[写真]=Getty Images

 スパーズのグレッグ・ポポヴィッチHCは、「レナードは悪いチームメートだった」という報道について「馬鹿げている」と現地メディア『ESPN』へ語ると、「カワイはここ(スパーズ)にいた間、すばらしいチームメートだった。いつだってハードワーカーだったよ」とコメント。そしてこう続けている。

 「この時点で我々は、前に進む時が来たということ。今の私は、デマーとヤコブ、そして我々のバスケットボールチームについて心配している。我々は若い選手を多く獲得したからね。エキサイティングなことさ」。

 スパーズが獲得したのは28歳のシューティングガード(デローザン)と22歳のセンター(ポートル)。デローザンは昨季、平均23.0得点3.9リバウンド5.2アシスト1.1スティールを記録し、オールスターとオールNBAセカンドチームに選出された。2009年のデビュー時からほとんど放っていなかった3ポイントシュートをレパートリーに加え、自己最多となる平均1.1本を決めていた。

 ポートルはキャリア2年目の昨季、82試合すべてにベンチスタート。平均18.6分に出場し、6.9得点4.8リバウンド1.2ブロックをマーク。フィールドゴール成功率は65.9パーセントと見事な数字を残し、ラプターズの躍進に貢献。

昨季イーストトップの59勝を挙げたラプターズのデローザン(右)とポートル(左)がスパーズへ移籍[写真]=Getty Images

2人の即戦力を手に入れたラプターズだが、レナードのモチベーションに黄信号

 一方のラプターズは、レナードとグリーンという実績のある即戦力を獲得。レナードは昨季こそ9試合のみの出場だったが、一昨季は平均25.5得点5.8リバウンド3.5アシスト1.8スティールをマークし、2年連続でオールNBAファーストチームとオールディフェンシブファーストチームに選ばれた攻防兼備の実力者として知られる27歳のフォワードだ。

 グリーンはキャリア9年を誇る31歳のベテラン。3ポイントシュートとディフェンスに定評があり、昨季は平均8.6得点3.6リバウンド1.6アシスト1.1ブロックを残した。3ポイントシュート成功率はキャリア平均で39.5パーセントの成功率を誇り、一昨季にはオールディフェンシブセカンドチームに選出された実績が光る。

 ラプターズは決してディフェンスが悪いチームではないため、レナードとグリーンの加入で大幅に数字がアップすることはないかもしれない。それでも、2014年に優勝した経験を持つ2人は、ラプターズへ好影響を与え、ディフェンス面における精度を高くすることだろう。

レナードだけでなく、グリーン(写真)も獲得したラプターズ。ディフェンス力はさらにアップするはず[写真]=Getty Images

 問題はレナードのモチベーションか。ラプターズへのトレードが決まった段階で、「レナードはトロントでプレーする気がない」といった悪評が飛び交っている。今季終了後にプレーヤーオプションを破棄して制限なしフリーエージェント(FA)となり、ロサンゼルス・レイカーズと大型契約を結ぶというウワサも根強い。

 今後この問題がクリアできるならば、イースタン・カンファレンス制覇を狙うラプターズにとっては追い風になるだろう。昨季イーストトップの59勝を挙げたロースターの主要選手が残っているため、戦力アップは確実だからだ。

 スパーズとしても、大黒柱レナード(とグリーン)を失った代償として、オールスター選手のデローザンとポートルという若手ビッグマンを手に入れたのだから、決して悪いトレードではなかったのではないだろうか。

 そしてラプターズの首脳陣から“裏切られた”デローザンが、スパーズのユニフォームに袖を通し、かつてなく高いモチベーションを持ったことで、選手としてひと皮むけると期待したい。

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