マイケル・ジョーダンのためだけに作られた『エア ジョーダン 1』がオークションに登場

『AJ1』の初期カラー“シカゴ”、今回出品されたものには赤いシューレースが通されている[写真]=Getty Images

 世界最大手のオークションカンパニー「サザビーズ」に、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)が1985年に着用した直筆サイン入りの『エア ジョーダン 1』が出品された。恐らく、地球上に存在するスニーカーで最も貴重な一足と言っても過言ではないだろう。

 こちらの『エア ジョーダン 1』は、非常に稀少なプレーヤーサンプル(PS)と呼ばれるもの。サイズも左足が13インチ、右足が13.5インチと左右で大きさが異なる、正真正銘、ジョーダン本人のためだけに製作されたカスタムオーダーメイドである。

 この一足には、一般流通のモデルとは似て非なる、ジョーダンファン垂涎のディテールが多数存在する。

 最も特徴的なポイントは、こちらの『エア ジョーダン 1』がミッドカットであるということ。ナイキから発売されているものはハイカットまたはローカットのため、ミッドカットは市場には決して存在しないのだ。

 また、こちらの『エア ジョーダン 1』には、赤いシューレースが通されている。スニーカーマニアであればこの違和感に気がつくはずだが、“シカゴ”の愛称で親しまれる市販モデルには、ブラックかホワイトのレースしか付属していない。ジョーダンは時折、気持ちを高めるべく、“シカゴ”に赤いシューレースを採用していた。他でもない、ボストン・ガーデンで開催されたプレイオフで63点を記録した伝説の一戦でも、ジョーダンは『エア ジョーダン 1』に赤いシューレースを通していた。

 そして、履き口の裏側には「850204 TYPS」と記されたタグが存在する。この「850204」とは、製造日のことであり、1985年の2月から4月に製造されたことを意味する。それに続く「TYPS」は、「Tong Yang Player Sample」の頭文字を取ったもの。もちろん、市販モデルにこの「TYPS」の文字は存在せず、この印がプレーヤーサンプルであることを証明している。

 さらに、バスケットボールの神様のPSに市販モデルと異なる素材が使用されている事実は、あまり広く知られていないかもしれない。PSのレザーは硬くなく、まるでバターのように柔らかい質感。そして、足首付近もカリカリとした素材感ではなく、とてもしなやかな生地を使用。これは、ジョーダンの足に馴染むことでプレーヤーとしての力量を最大限に発揮してもらうと同時に、彼を怪我から守るためのナイキのこだわりである。

 「サザビーズ」が提示した推定落札価格は、10〜15万ドル(約1080〜1610万円)。しかし、インフルエンザ・ゲームとして語り継がれている1997年のNBAファイナル第5戦で履いた『エア ジョーダン 12』が、過去に10万4765ドル(当時レートで約1155万円)の値がつけられたことから、推定価格を大幅に上回る価格で落札される可能性もあるだろう。

 いずれにせよ、今後お目にかかれるかわからないほどの逸品であることに間違いはない。気になる方は「サザビーズ」の特設ページから、シューズの詳細をチェックしてみてはいかがだろうか。

文=Meiji

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