元ラプターズACが昨季のチャンピオンシップについて振り返る「素晴らしい出来事だった」

昨季NBAファイナルを制したラプターズ[写真]=Getty Images

昨季のラプターズでのシーズンを振り返るハンディ

 昨シーズン、3連覇を目指していたゴールデンステイト・ウォリアーズを打ち破り、悲願の球団初優勝を達成したトロント・ラプターズ。当時はカワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)をトレードで獲得し、レギュラーシーズンの途中でもトレードで万能型ビックマンであるマルク・ガソルがチームに加入。また長年ラプターズを指揮していたドウェイン・ケイシー前HC(ヘッドコーチ)が退任し、ニック・ナースHCが就任するなど、さまざまな改革があった中で見事チャンピオンシップに輝いたシーズンだった。

 ラプターズの球団史において、昨季は歴史に残るシーズンになったことは間違いない。そのシーズンを昨季ラプターズのアシスタントコーチを務めていたフィル・ハンディ(現ロサンゼルス・レイカーズAC)が、『Battle for L.A.Podcast』に出演し、当時の出来事を振り返った。

 ラプターズへ行く前は、クリーブランド・キャバリアーズでアシスタントを務めていたハンディ。彼はそこで5年間仕事をして、2016年には優勝を経験しながらも、レブロン・ジェームズ(レイカーズ)が退団したことで、次のステップへと歩む時が来たと感じたそうだ。「次のことを模索していた時、ニック・ナースがラプターズのヘッドコーチに就任した。私はヨーロッパのイングランドで彼の下でバスケットをプレーし(ナースHCは1998年から2000年までマンチェスター・ジャイアンツでヘッドコーチを務めた)、ともに優勝を成し遂げた。今でもいい関係を構築していて、私がクリーブランドにいた時、ラプターズにいた彼とはお互いにしのぎを削っていたんだ」。

 またハンディによれば、チャンピオンシップに輝くことができるポテンシャルを秘めたチームで働きたかったことを明かした。キャブズ在籍時にもラプターズとはプレーオフで対戦しており、常に競争心に溢れていると感じていたというハンディ。またナースHCからもスタッフとして加入してほしいという意思を感じていたという。

写真は2018年のハンディ。昨季は大幅な改革を行ったラプターズの悲願の優勝に貢献した[写真]=Getty Images

ラプターズと契約したハンディ、レナードとともに優勝を目指す

 そうしてラプターズとサインしたハンディ。球団が自分を必要としてくれたこともあり自身の決断を喜んだが、レナードとデマー・デローザン(サンアントニオ・スパーズ)のトレードに関する速報を目にした時は驚いたという。そのトレードが成立する前にハンディはすでにラプターズに加入しており、放出されることになったデローザンとも仕事ができることを楽しみにしていたからだ。「愕然としたよ。こんなのあり得ないとね」と彼は話す。

 だがハンディはそういった球団の方針にすぐ順応すると、レナードとはスムーズに関係を構築できたという。トレードが成立して数週間後、ハンディは「ともにジムで仕事をすることを楽しみにしている」というテキストメッセージをレナードへ送る。すると「いつサンディエゴにやってくる?」と彼から返信を受け取った。ハンディは主に選手のスキル向上や育成を担当。過去にはキャブズ時代のカイリー・アービング(ブルックリン・ネッツ)やレブロン、またコービー・ブライアント(元レイカーズ)とも仕事をした経歴があり、スーパースターから信頼を得てきた。そういった実績もあったからか、その後のお互いのプロセスは容易だったと話す。

 そして悲願のチャンピオンシップに輝き、優勝パレードに参加したハンディ。2016年にキャブスの優勝パレードも経験していたが、ラプターズのパレードも歴史的で他に類を見ないものだったと語っている。クリーブランドでは約200万人、トロントでは300万人もの人々が詰めかけていたそうだ。「こうして再び自分のキャリアの中で歴史的な瞬間に立ち会えた。こういったパレードに参加できることは素晴らしい出来事だったよ」。

 これまでキャブスとラプターズでスーパースターとともに仕事に専念し、結果を残してきたハンディ。就任1年目だったナースHCの采配やレナードをはじめとした選手たちの活躍に加え、ハンディがデベロップメントとしてチームを支えたことも優勝に繋がったことだろう。今季は2011年から2年間在籍したレイカーズにアシスタントとして復帰し、レブロンと再び優勝を目指している。キャブスとラプターズの歴史的な優勝に続き、10年ぶりに王座を狙う古豪レイカーズで結果を残していくかどうか注目していきたい。

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