2022.01.06

今季のNBAで過小評価されているスポットライトを浴びるべき選手たち

今季ウォリアーズで印象的な活躍を見せているペイトン2世[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 現代のNBAは、才能に溢れている。それは、ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)やケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)といったリーグの上位5パーセントに入るようなオールスタープレーヤーはもちろん、途中出場する選手にも日の目を見るべきポテンシャルを秘めた苦労人が数多く存在する。

『Bleacher Report』は、そんな選手たちにスポットライトを当てるべく、過小評価されているプレーヤーを紹介。以下では、その中からスターター、ベンチプレーヤー問わず、今シーズンの成長や活躍が著しい選手を一部ピックアップする。

ジャレット・アレン(クリーブランド・キャバリアーズ)

[写真]=Getty Images


 ブルックリンからクリーブランドへと活躍の場を移したテキサス大学出身のセンターは、次世代のNBAを担うリムランナーとして、飛躍的な成長を遂げている最中だ。

 1試合平均17.0得点10.7リバウンド、フィールドゴール成功率69.8パーセントはすべてキャリアハイ。また、エバン・モーブリーやラウリ・マルケネンなど器用なビッグマンを生かす術にも長けているほか、現在リーグ3位のディフェンシブレーティングを誇るキャバリアーズのアンカーとして、ディフェンス面での貢献にも目を見張るものがある。
 
 その証明はデータにも表れており、『Bleacher Report』によると、キャブスはアレンがコートにいる際に100ポゼッションあたり103.9ポイントを許しているのに対し、アレン不在時にはその数値が107.4ポイントまで上昇。当初の予想を覆す球団の躍進は、アレンなくしては不可能だったと言っても過言ではないだろう。

ゲイリー・ペイトン2世(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)

[写真]=Getty Images


 安全・衛生プロトコルの影響もあり、ペイトン2世はベンチを温める存在からスターターにまで評価を上げた。しかし、同選手はそれ以前からダイナミックなフィニッシャーであり、ハッスルができるディフェンダーであったことを忘れてはならない。

 ペイトンは今シーズン100ポゼッションで換算したスタッツで、1試合平均23.0得点10.1リバウンド3.8スティールとオンコートで絶大な影響力を放っている。キャリア最長の出場時間もスティーブ・カーからの信頼の証であり、コートでは相手のエースキラーを担いつつ、派手なバッグダンクでエナジーを注入するなど、アレックス・カルーソ(シカゴ・ブルズ)に近しい人気を獲得している。

 また、不動のエース、ステフィン・カリーとの相性も抜群だ。カリーとペイトンが共存している時間帯のウォリアーズは、100ポゼッションあたりプラス24.4得点という驚異的な数字を叩き出している。一方、ペイトン不在時にはその数値がプラス11.8得点まで落ち込む。クレイ・トンプソンとのケミストリー構築が完了すれば、ドレイモンド・グリーンのような替えの効かない選手として、長くウォリアーズに在籍することになるはずだ。

アイザイア・ハーテンシュタイン(ロサンゼルス・クリッパーズ)

[写真]=Getty Images


 ハーテンシュタインには、ロールプレーヤー以上の役割が与えられる価値がある。ここ数年、クリッパーズのセンターはクロアチア代表のイビツァ・ズバッツが起用されてきた。しかし、今シーズンズバッツのバックアップを担うハーテンシュタインは、リーグで最もダイナミックかつ生産性の高いビッグマンだ。

 ハーテンシュタインは、100ポゼッションで換算したスタッツで22.6得点13.9リバウンド5.5アシスト3.8ブロックを記録している。プレータイムの相手戦力の違いはあるとは言えど、このデータはリバウンドを除き、すべてズバッツを上回っている。

 とりわけ、昨今のトレンドであるポイントセンターを筆頭に、アシスト数が多く、優れたコートビジョンを持ったビッグマンは、チームの潤滑油となる。ピック&ロールからのキャッチ&ダンク以上の役割を任せられるビッグマンがいれば、ガードやウイングに様々なオプションを提供できるのだ。ハーテンシュタインはまさにこのタイプのセンターであり、クリッパーズの100ポゼッションあたりの得点は、ハーテンシュタインがフロアにいる時間帯はプラス13.1得点、不在時はマイナス3.3得点と、顕著なデータが確認されている。

ブランドン・クラーク(メンフィス・グリズリーズ)

[写真]=Getty Images


 八村塁(ワシントン・ウィザーズ)とともに2019年にゴンザガ大学からNBA入りを果たしたクラークは、オールルーキーファーストチームに選出されるなど、トップリーグデビュー時から才能を感じさせ、グリズリーズの未来のフロントコートは同選手とジャレン・ジャクソンJr.が担うものと思われていた。しかし、クラークは年々プレータイムが減少していき、それに伴いスタッツも低下。それでも、カナダ人パワーフォワードの効率性は一切衰えていないことを強調しておきたい。

 今シーズン、クラークは2ポイントレンジからのシュート成功率でキャリア最高の69.6パーセントをマークしている。また、『Bleacher Report』の調べでは、リムにプレッシャーをかける能力に長けたクラークが、フロアスペーサーのジャクソンJr.とともにプレーすると、グリズリーズは100ポゼッションあたりプラス12.4得点を記録することがわかっている。

 サンプル数が決して多くないのも事実だが、もしかするとヘッドコーチのタイラー・ジェンキンスは、現在好調のチームをさらに押し上げるべく、このオプションをプレーオフの秘策として隠しているのかもしれない。

 文=Meiji

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