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創設75周年目となったNBAの2021-22シーズンは、BAA時代の1946-47シーズンから続く長い歴史を誇る2チームが王座獲得をかけてNBAファイナルを競い合うこととなった。
ここでは、6月3日(現地時間2日、日付は以下同)から幕を開けるファイナルへ出場するボストン・セルティックスとゴールデンステイト・ウォリアーズについて見ていきたい。
※データはいずれも日本時間2日終了時点、%=パーセント
レギュラーシーズン戦績:51勝31敗(勝率62.2%/イースタン・カンファレンス2位)
■プレーオフ勝ち上がり
ファーストラウンド:4勝0敗(対ブルックリン・ネッツ)
カンファレンス・セミファイナル:4勝3敗(対ミルウォーキー・バックス)
カンファレンス・ファイナル:4勝3敗(対マイアミ・ヒート)
■今季ここまでの戦いぶり
イメ・ユドーカHC(ヘッドコーチ)を新たに迎えた今季、チームは勝率5割前後を行き来し、今年1月22日の時点でイースト10位の23勝24敗と、プレーオフ圏外にいた。
ところが、そこから攻防両面でチームはかみ合い、白星先行で28勝7敗の快進撃を見せ、イースト2位でレギュラーシーズンをフィニッシュし、一躍優勝候補に浮上。
プレーオフでは1回戦でケビン・デュラント、カイリー・アービングを擁するネッツをスウィープ、イースト準決勝では昨季覇者バックスとの第5戦をホームで惜敗して2勝3敗と王手をかけられるも、そこから2連勝で巻き返した。
ヒートとのイースト決勝ではジミー・バトラー率いるヒートと激突。初戦こそ落とすも翌第2戦で快勝し、第4、5戦では相手を82得点以下に封殺する強固なディフェンスを敷き、第6戦で敗れるも、敵地で迎えた最終第7戦を制してみせた。
ファイナル初戦に向けた選手たちのステータスは、マーカス・スマートとロバート・ウィリアムズ三世がともにquestionable(疑わしい)。スマートは右足の大腿四頭筋や足首、足の痛みと付き合いながらプレーしており、ウィリアムズ三世は今年3月末に半月板手術を断行した左ひざの骨挫傷に悩まされているが、現地メディアの報道を見る限り、出場する可能性は十分ある。
■キープレーヤーズ(スタッツは今プレーオフのもの)
ジェイソン・テイタム(フォワード/平均27.0得点6.7リバウンド5.9アシスト1.2スティール)
ジェイレン・ブラウン(ガード-フォワード/平均22.9得点6.8リバウンド3.5アシスト1.2スティール)
マーカス・スマート(ガード/平均15.5得点4.5リバウンド6.2アシスト1.1スティール)
レギュラーシーズン戦績:53勝29敗(勝率64.6%/ウェスタン・カンファレンス3位)
■プレーオフ勝ち上がり
ファーストラウンド:4勝1敗(対デンバー・ナゲッツ)
カンファレンス・セミファイナル:4勝2敗(対メンフィス・グリズリーズ)
カンファレンス・ファイナル:4勝1敗(対ダラス・マーベリックス)
■今季ここまでの戦いぶり
開幕20試合を18勝2敗で爆走し、フェニックス・サンズとリーグトップの戦績を争っていたものの、シーズン中盤以降にドレイモンド・グリーン、終盤にはステフィン・カリーがそれぞれケガのため戦線離脱し、ウェスト3位でレギュラーシーズンを終える。
それでも、スティーブ・カーHCの下で今後数年間ではなく長期間に渡って覇権争いを目指すこのチームは、シーズン中にもジョナサン・クミンガやモーゼス・ムーディーら新人にもチャンスを与え、育成も進めてきた。
そしてカリーが復帰して迎えたプレーオフでは1回戦でナゲッツを5戦で下し、ウェスト準決勝ではグリズリーズを4勝2敗、そしてウェスト決勝ではマブスを4勝1敗で下し、ここまでホームのチェイス・センターでは9戦無敗と抜群の強さを発揮。
マブスとのシリーズから約1週間空いたこのチームの選手たちは、2日間連続のオフを与えられて休養十分。そして3日のファイナル第1戦では、ケガを抱えている3選手のステータスがいずれもquestionable(疑わしい)となっている。
ウェスト準決勝第2戦で相手選手からハードファウルされてしまい、左ひじ骨折と靭帯損傷となっていたゲイリー・ペイトン二世、左足を痛めてここ2戦連続で欠場しているオットー・ポーターJr.、首を痛めて1回戦のシリーズ第5戦から欠場中のアンドレ・イグダーラが初戦あるいはシリーズ期間中に復帰できれば、このチームにとって大きな戦力となるに違いない。
■キープレーヤーズ(スタッツは今プレーオフのもの)
ステフィン・カリー(ガード/平均25.9得点4.9リバウンド6.2アシスト1.1スティール)
クレイ・トンプソン(ガード/平均19.8得点4.3リバウンド2.4アシスト1.0スティール)
ドレイモンド・グリーン(フォワード/平均8.7得点6.9リバウンド6.3アシスト1.1ブロック)
■今季の直接対決
両チームのレギュラーシーズンにおける直接対決は1勝1敗。だが昨年12月18日にウォリアーズが勝利(111-107)した1戦目はジョーダン・プールが欠場、トンプソンがケガから復帰しておらず、セルティックスもアル・ホーフォードとグラント・ウィリアムズが欠場。2戦目となった3月17日の試合ではセルティックスが快勝(110-88)も、ウォリアーズではアンドリュー・ウィギンズが欠場し、カリーが左足を痛めて前半終盤に途中退場しており、フルメンバーで1試合を戦いきっていないことから、あまり参考にならないかもしれない。
■123-0
ウォリアーズとセルティックスに所属する選手たちのNBAファイナル出場試合数。カリー、トンプソン、グリーンは6度目、ケボン・ルーニーは3度目で、イグダーラは20年にヒートでもファイナルを経験しており、通算7度目の出場となる。セルティックスでファイナル出場経験がある選手は皆無のため、ファイナルという大舞台における経験という点ではウォリアーズが圧倒的に優勢。
■141試合
セルティックスのホーフォードはプレーオフ通算141試合目で念願のNBAファイナル進出。これはファイナル未経験の選手として史上最多の出場試合数だった。通算13度目のポストシーズンでようやく初優勝のチャンスを手にした。
■ポポビッチ門下生
ウォリアーズのカーHCとセルティックスのユドーカHCはいずれも現役時代にサンアントニオ・スパーズに所属した過去があり、名将グレッグ・ポポビッチHCの下でプレーしてきた。その後カーHCはアメリカ代表でポポビッチHCの下でアシスタントコーチ(AC)、ユドーカはスパーズで7シーズンACを務めた経験を持つ。
■シリーズ展望
レギュラーシーズンにおけるディフェンシブ・レーティングで、セルティックスはリーグトップの106.2で、ウォリアーズは僅差で2位の106.6。両チームとも強固なディフェンスを誇っていることから、ファイナルではその守備力を駆使して相手チームの得点を最小限に抑え込もうとしてくるだろう。
そうしたなかで、セルティックスはテイタム、ブラウンの両輪に加えてスマートやホーフォード、ウィリアムズ、デリック・ホワイトといった選手たち、ウォリアーズではカリー、トンプソンだけでなくプールにウィギンズ、グリーンといった選手たちがオフェンス面で奮起することができるか。
7戦シリーズ、しかもNBAファイナルという大舞台で毎試合30得点以上を残してチームをけん引し続けることはさすがに酷であり、そう簡単にできることではない。
そのため、両チームにおけるロールプレーヤー、脇役と評される選手たちがシリーズのうち1試合あるいは1つのクォーターで爆発、または試合終盤の緊迫した場面でビッグプレーが飛び出すこととなれば、どちらかのチームに流れを呼び込み、勢いづけることができるだろう。
ウォリアーズが2018年以来、球団史上7度目のチャンピオンとなるのか。それとも12年ぶりに頂上決戦へ勝ち上がったセルティックスが球団史上18度目の優勝を飾るのか。両チームによるファイナルは初戦から目が離せない。
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