2023.11.10

ラメロとプーマが訴訟対象に…ビッグ・ボーラー・ブランドの共同創業者が300億円超の被害を主張

ラメロが古巣のブランドから商標権侵害で訴えられることに[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 シャーロット・ホーネッツの司令塔ラメロ・ボールが、厄介ごとに巻き込まれている。米メディア『TMZ』は、ビッグ・ボーラー・ブランドの共同創業者であるアラン・フォスターが、ラメロと父のラバー・ボール、母のティナ・ボール、そして22歳のポイントガードがエンドースメント契約を結ぶプーマを相手に取り、訴訟を起こしたと報じている。

 ボール家とフォスターは約4年間、法廷闘争を続けている。カリフォルニア州の連邦裁判所に提出された訴状において、フォスターはラメロがブランドの商標権を侵害し、2億ドル(約302億7200万円)の被害を受けたと主張しているという。

「ラメロは、ビッグ・ボーラー・ブランドにおける彼の最初のシグネチャーシューズ作成において重要な存在でした。ラメロはデザインに貢献し、商標の存在を十分に認識しています。ビッグ・ボーラー・ブランドのシグネチャーシューズが『MB1』と呼ばれ、その名前が連邦商標で保護されていることも、もちろん知っています。それにもかかわらず、ラメロはプーマのシューズに対して意図的にその名前をつけています。MB.01は商標権に違反しています」

 ビッグ・ボーラー・ブランドからラメロの「MB1」が登場したのは、まだ同選手が高校生の頃だった。名物三兄弟の長男であるロンゾ・ボールがNBAドラフトのエントリーを発表してからわずか数カ月後、ラメロは高校生にしてシグネチャーを持つ初の選手になり、シーンは大きな盛り上がりを見せた。ビッグ・ボーラー・ブランドは、迷彩柄を彷彿とさせるニットアッパーや、シュータンを大々的に飾るイニシャルロゴを特徴としたシューズを「最も軽いバスケットボールシューズ」として打ち出し、足首周りの自由度の高さなどはラメロの希望を反映したものだった。

ブランドを象徴する選手だったラメロ[写真]=Getty Images


 しかし、ラメロは「独自の道を進みたい」という理由から、2020年にプーマと契約。2018年にプーマがバスケットボールの世界に舞い戻って以来、最初のシグネチャーアスリートとなったラメロの「MB.01」は、既定路線を歩んでこなかった唯一無二の存在であるラメロのスタイルを表現したものであり、シューズを初披露したインディアナ・ペイサーズ戦では、31得点、9リバウンド、7アシストという素晴らしいスタッツを記録し、試合後には「最高の気分だった」とコメントしている。

 フォスターは、このラメロの輝かしいキャリアの裏側でさまざまな不利益を被ったと述べている。商標権の侵害のほか、父ラバーからブランドを追い出されそうになると同時に、巨額の利益から切り離すために商標を移管しようとするアクションもあったという。

 フォスターがボール家を訴えるのは、これが初めてではない。2019年にはラバーが250万ドル(約3億7900万円)を会社から横領したと主張。しかし、フォスターは同年にロンゾから訴訟を起こされたほか、複数の投資家から詐欺的手法で資金集めをした容疑で、FBIの捜査対象にもなっていた。

 ラバーはフォスターを“弟”と呼び、ボール三兄弟にとってもフォスターは“第二の父親”のような存在だった。だが、金銭的な理由から各者の関係性は崩壊し、事態は泥沼と化している。

 長らく続く法廷闘争に終止符が打たれる日はやってくるのだろうか。

文=Meiji

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