2018.05.16

背番号『0』から『0』へ託されたリーグ制覇への想い

激しいマッチアップを繰り広げた三河の橋本竜馬(左)と栃木の田臥勇太(右) [写真]=B.LEAGUE
バスケットボールキング編集部。取材歴は20年を数え、これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、今年も氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 5月12日、13日、「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」クォーターファイナルの第1戦と第2戦がウィングアリーナ刈谷で行われた。

 試合は中地区を制し、リーグ全体でも1位の成績でチャンピオンシップに臨んだシーホース三河が、ワイルドカード2位で臨んだ栃木ブレックスに連勝。三河が昨季のチャンピオンであり、準決勝で敗れた栃木にリベンジを果たした形となった。

 この試合を通じて三河の橋本竜馬は栃木の司令塔、田臥勇太を徹底的にマーク。田臥が繰り出す流れるようなオフェンスのリズムを封じて、思いどおりにプレーさせなかったことが三河の勝因の1つと言うことができるだろう。

 互いに背番号『0』を背負い、チームの絶対的司令塔として勝利に導く存在。その2人が火花を散らすような攻防を繰り返し、ウィングアリーナ刈谷に駆けつけた両クラブのファンの目を釘付けにした。

リーグ屈指の司令塔2人が相まみえた [写真]=B.LEAGUE

 試合終了のブザーが鳴り、きらびやかな紙吹雪が舞うコートの中央で、栃木の田臥と三河の橋本が堅くハグを交わし、何か語り合っていた。試合後に互いの健闘を称え合うシーンはたびたび見られるが、その多くの場合よりも2人の絶対的司令塔はまるで会話を楽しむかのように笑顔で長い時間を語らっていたのだ。

 このことに関して試合後の記者会見で、各々に何を語り合っていたのか聞いてみた。

 田臥は「普段からマッチアップする相手にはリスペクトの気持ちを持っている」と語ったが、橋本に対しては特別な思いがあるという。

「橋本選手は日本代表でチームメートになってから、彼のことがわかるようになって。それからは対戦するということよりも、マッチアップを楽しむようになりました。同じポイントガードとして、彼の(バスケットボールに対する)姿勢だったり取り組み方が素晴らしい。他のポイントガードももちろんリスペクトしていますが、ちょっと関係性が違うかな」

 橋本は田臥に語り掛けてもらった言葉を明確に覚えていた。

「『しっかりコンディションを整えて、優勝に向かって頑張れよ』と言っていただきました。それに対して自分は『はい、わかりました。ありがとうございます』と答えました」

 こんな簡単なやり取りだったようだが、橋本には田臥の想いがしっかりと伝わっていたようだ。

試合後には熱い言葉を交わした橋本と田臥 [写真]=B.LEAGUE

「僕たちが勝ったのにも関わらず、田臥さんは試合が終わるとしっかりと称賛してくれます。もちろん勝ち負けにはこだわっていないわけではないでしょうが、もっと大切にしているのがスポーツマンシップというか、相手をリスペクトする気持ちで、それを持って接していただいているので本当に素晴らしいことだと思います。まだまだ追いつくのは大変ですが、自分自身も見習っていきたいですし、しっかりと目指していきたい存在ではあります」

 背番号『0』から『0』へ託されたリーグ制覇への想い。橋本は田臥からの言葉と気持ちを受け止め、次のラウンド、アルバルク東京とのセミファイナルに戦いの場を移す。

文=入江美紀雄

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