2019.03.31

富山グラウジーズ、CS進出に向けた大事な一戦で課題を露呈

古巣千葉での経験を生かす阿部友和 [写真]=鳴神富一
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 日本代表のワールドカップ予選とBリーグオールスターゲームの開催され、バスケットボールで盛りあがっている今シーズンの富山。その中で今、富山グラウジーズが初のチャンピオンシップ進出をつかもうとしている。

 3月30日、ワイルドカード2位で迎えたシーホース三河とのホーム戦。絶対に負けられない一戦であったが、課題のディフェンスで踏ん張ることができずに敗戦を喫した。

 ドナルド・ベックヘッドコーチが「相当悪い内容でした。前半は自分たちのリズムをつかめず終わってしまって、さらにファウルトラブルも発生してしまった」とゲームを振り返ったとおり、ファウルトラブルによって前半でゲームプランが崩れてしまう。第1クォーター残り2分半にインサイドの要でもあるジョシュア・スミスが3ファウルを犯すと、第2クォーターの残り6分弱には得点源のレオ・ライオンズまでも3ファウル。前半の残り時間を日本人だけでプレーすることになった。ベテランの青野文彦山田大治がゴール下で奮闘して、1ケタ点差のビハインドで耐え忍んで前半を終了した。

 しかし、いい流れは続かず、後半は相手の日本人選手に次々とシュートを決められて計51失点。HCも含め、チームを支えるベテラン選手たちはディフェンスで我慢できなかったことを非常に悔やんでいた。「後半の出だしで相手にやられてしまったのが悔やまれる」と青野が語れば、富山一筋の水戸健史は「ここで連勝すればCS進出のチャンスがより近づいてくると思っていたので相当意気込んでいた。ここ数試合良かったディフェンスでの細かいミスがすごく多くて、さらにレフェリーのコールにもアジャストできなかった感じでした。明日はその部分を修正して勝たないといけない」とコメントした。

ディフェンスと我慢強さの必要性は、オフェンスでもいい流れをチームにもたらしている阿部友和も力説する。

「大事な試合でしたが、チームとしてなかなかリズムに乗れませんでした。追いつけそうな時に相手の3ポイントシュートが入ってしまい、そこでディフェンスで我慢できずに自分たちで難しい試合にしてしまった。前半の耐え凌げた時のディフェンスを継続できれば変わっていたと思います」

「絶対に何とかしてでもCSに出たいです」と語る水戸健史 [写真]=鳴神富一

 それでもまだCS進出圏内にとどまった。もう一つある三河戦を終えると、新潟アルビレックスBB川崎ブレイブサンダースという上位との対戦が続く。悲願のCS出場に向けて、チームとしての課題はこの日露呈した内容と全く同じだと認識している。「富山は苦労してB1からスタートして、今これだけチャンスがある状況を絶対にものにしないといけないです。特に個のディフェンスの改善にフォーカスしながら、強い相手以上にいいディフェンスを展開しないと厳しくなると思います」と青野が語れば、水戸も「絶対に何とかしてでもCSに出たいです、もう1度しっかりとディフェンスを締め直して大事な一つひとつの試合を戦っていきたい」と意気込む。

そして、阿部は昨シーズンまで所属していた千葉ジェッツでの経験をもとにこう語ってくれた。

「僕らは勢いや破壊力は抜群だと思っているけど、我慢強さが少し弱いのかなと思います。悪い流れは必ずゲームでやってくる中で、その時にターンオーバーを連発して自分たちで崩れてしまうのはもったいないし、さらにそこで我慢すればいい流れがまたやって来ると理解しないといけないかなと感じています。CSに出られたとしてもこの課題をクリアにしないと簡単に敗退してしまうと思っているし、個人として目標している優勝することも達成できないです。千葉も我慢強さを備えることで今の強さまで上り詰めたと肌で感じました。僕はCSで千葉との対戦を目指してやっているし、今のままだとその可能性が出てきます。古巣にリベンジもしたいし、その為にまずはCSに絶対に進出したいです」

 悲願のCS進出のために、バスケイヤーとなった富山のために。自分たちの抱えている課題をクリアにして、その先に続く負けられない戦いを勝ち抜く。彼らにはその力はあるはずだ。

文=鳴神富一

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