経験を積んで生まれたチームの共通理解、ライバルに勝利したシーホース三河がCS進出圏内に肉薄

　開幕前に主力2人が抜け、新しいスタイルで戦いを進めていた今シーズンのシーホース三河。3月30日、アウェーでの富山グラウジーズ戦では前半苦しみながらもリードを保ち続けて快勝し、チャンピオンシップ進出に向けて射程圏内まで上り詰めて来た。

　前半は金丸晃輔が大爆発して20得点を重ねれば、前半出番のなかった森川正明が金丸に代わって後半から出場して21得点と大暴れ。日本人選手だけで全99得点のうち62点を獲得するなど、非常に素晴らしい戦いを見せて勝利を収めた。鈴木貴美一ヘッドコーチは試合後、
「今日はお互いにとってビッグゲームで激しくなると予想していました。前半は苦しかったですが、後半は普段から一生懸命プレーしている控えの選手たちががんばってくれて良かったです。金丸選手は休ませる予定だったけど、本人が行けるということで出場させました。その中で後半は森川選手を思いきってスタートで出したら良かったので、そのまま継続して最後まで行った感じでした」と笑顔を見せながら語った。

　ここ最近は欠場する試合もあったチームの大黒柱でもある2人も非常に満足した様子でゲームを振り返った。桜木ジェイアールが「今のコンディションは80パーセントくらいだけど、チームメートを効果的に使いながらプレーしているので特に問題ないです。大事な試合だというのはわかっていたので、チームとして戦うことを特に意識してプレーしました」と語れば、大活躍の金丸は「今日のゲームはここ最近で一番いいゲームでしたね。コートに出ていく選手が全員アグレッシブにプレーして、さらにはプレータイムもある程度均等になっていたので。体は調子いいですよ。バスケットが調子良くない感じで……今日の第2クォーターのようなチームで作り上げてスマートな形で得点を取っていくのが僕らしいプレーであって、今まで30点や40点を取ったゲームでも本来のプレースタイルじゃない感じでした。久々にしっかりとバスケットができた実感があります」とコメントした。

桜木は9得点9アシストをマーク [写真]=鳴神富一

　過去経験したシーズンの流れとは全く違うスリリングな状況で戦っている中、鈴木HC自身は「15シーズンぶりぐらいの経験で……」と苦笑いを見せながらも、CS進出のために「そういう時こそ、勇気を持って若い選手たちを投入しています。試合経験とかを考えると当然リスクはありますけど、チームに勢いを出すという部分や思いきったことをしないとチームの未来につながっていかないと考えています」と先を見据えながら指揮。一方の桜木は「今シーズンはディフェンスのところでチームとして少しうまくいっていない部分があって……。ヘルプのタイミングとか細かいところをしっかりしていけば、自分たちはスコアが取れるのでディフェンスが一番大事だと思っています」と話した。

また、金丸はチームとして戦う重要性がCS進出へのカギだと明かした。

「今シーズンチームを抜けたのは2人だけですけど、ここまで崩れるチームではないと思っていて。過去は主力がほぼ出ていた状況もあって、チーム全体として経験不足という部分が今シーズン出てしまいました。しかし、今日みたいなゲームを積み重ねていけば、選手全員が経験できて個々の役割に対して自覚が出てくると思います。だからこそ、来シーズン以降つなげる意味も含めて、今日のようなゲームを継続することが必要です。40分間ですべてが僕の求めているプレーでなくていいので、違う形の時間があったり、僕が求めている時間があったりというのを作っていければ。そうしたらいい展開が出てきますし、十分CS進出は狙えると思います」

苦しみながらも終盤戦になって、チーム全体が経験を積んで調子が上向きの三河。あとはチームとして戦い抜くこと、それが未来へのカギとなる。

文＝鳴神富一