2026.08.14
有明アリーナを舞台に女子韓国代表を迎えて2連戦に臨んだ女子日本代表。8月13日の第1戦は日本が試合開始から連続得点で14-0とスタートダッシュに成功すると、第1クォーターを終えて25-8と大きくリードする。第2クォーター以降は韓国に点差を詰められる場面があったものの、試合序盤で奪った点差を維持し、最後は77-59で快勝した。
しかし翌日の第2戦、第1戦からの修正を施し、気合いも十分の韓国を相手に前日の試合とは打って変わって先行を許す展開となる。第1クォーターでは9-21と12点のビハインドを背負うこととなった。第2クォーターからは徐々に追い上げていったが、粘る韓国をなかなか捉えることができない。
それでも7点を追う第4クォーター、コートネームが『ココ』こと田中こころ(ENEOSサンフラワーズ)が、髙田真希(デンソーアイリス)のミドルシュートやENEOSのチームメートである星杏璃の3ポイントシュートをお膳立てすると、今度は自らが得点。田中は試合時間残り5分を切ったタイミングでも同点となるドライブからのシュートを沈めると、これがバスケットカウントとなり、フリースローも決めて逆転へと導いた。
だが、この試合20得点のカン・イスル、17得点のイ・ヘランらの勢いを止めることができず。再び韓国にリードを許し、日本は苦しい状況から抜け出せない。それでも「(足を痛め)試合途中に離脱してチームに迷惑をかけた分、自分がやらないといけないと思っていた」と言う田中がここでさらにギアを上げる。
試合終盤には『ココ・タイム』が発動し、残り14秒に1点差に迫る3ポイントシュート。続いて残り9秒の2点ビハインドの場面でボールを受けると自らがドリブルで攻め込み、最後は鮮やかなドリブルワークとステップから残り0.2秒で逆転となる3ポイントシュートを沈めた。

田中は決勝のシュートを決めて喜びを爆発させた [写真]=伊藤大允
「絶対に自分が3ポイントシュートを打つと言う強い気持ちをボールをもらったときに持っていたので、(シュートを)決められてよかったです」
盛り上がる観客の中で場内インタビューに応じた田中は、笑顔でこのように最後のシーンを振り返った。
また、試合後の記者会見では「確かに笑ってましたね。でも、1点差、2点差と緊迫した状況が、自分にとってすごく楽しかったんです。すごい相手とバチバチやり合えている時間が楽しくて、それが自然と顔に出て、笑顔になったのかなと思います」と、試合終盤で見せた笑顔についても語った。
得意とする3ポイントシュートや巧みなスキルからリング下に切れ込んでのシュートなど高い得点能力を持つ田中。一度彼女がシュートを決めれば、田中目当てのファンをはじめ、観客は大いに盛り上がる。
「周りを全く見てないわけではないのですが、スクリーンを使ったらまずは絶対自分が空くと思っているので、相手がどれだけ自分を警戒していたとしても、3ポイントシュート、ジャンプシュート、レイアップシュートなどを絶対に空いたら打つという強い気持ちで最後はやれたと思っています。自分がボールを長く持った分、決めなくてはいけないという気持ちでいたので(決まって)よかったです」(田中)と、クラッチタイムでの活躍はまさに千両役者だ。
一方で「試合の勝ち負けはガードの責任だと思っているので、こんな終わり方をしてはダメだなと思っていましたし、ガードの私がヘッドダウンしたら、みんなも思い切ってプレーできないと思っていたので、それが(攻撃的な)プレーとして出ていたと思います。でも、途中の大事な時間帯でミスをしてしまったので、そこは本当に責任を負わなくてはいけないし、もっと周りの選手にパスをさばけば、シュートを打てるチャンスもあったのではないかと思うので、そこもガードとして修正していきたいところです」と、辛勝となった試合を冷静に振り返った。

会見では「試合の勝ち負けはガードの責任」と話した [写真]=伊藤大允
さらに、「シュートにつながる前のもったいないミスがすごく多かったと言う印象で、ガードがボールをもらうタイミングが遅かったり、前にボールを飛ばせるのに飛ばさなかったりと言うところで少し消極的になったことがミスになってしまいました。それは1、2本のミスかもしれないですが、ワールドカップでは絶対にその1、2本が負けにつながってくると思うので、ワールドカップに向けてまだ合宿もあるので、ちゃんと修正できたらいいなと思っています」とも言い、しっかりと先を見据えた。
「三井不動産カップ2026(東京大会)」では文句なしのMVP受賞。これで田中は5月の神奈川大会に続いての受賞となり、日本代表活動1年目だった昨年の「三井不動産カップ2025(愛知大会)」も含めてMVP獲得は3回となった。
昨年は、このMVP受賞を皮切りに、一気に日本代表の主力へと駆け上がり、準優勝となった「FIBA女子アジアカップ2025」では準決勝の中国戦で27得点を奪取。決勝こそオーストラリアに競り負けたものの、個人では大会のオールスター5(ベスト5)にも選出された。
今年はドイツ・ベルリンにて現地時間9月4日から始まる「FIBA女子ワールドカップ2026」が控えていて、田中にとっては初めてワールドカップの舞台に立つ。昨年同様に「三井不動産カップ」での手応えと課題をステップに、世界の猛者たちが集う大会で、若き司令塔が大暴れするに違いない。
文=田島早苗
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