昨シーズンの王者・アルバルク東京はワイルドカード枠でチャンピオンシップに臨んだものの、敵地で新潟アルビレックスBB、琉球ゴールデンキングスとのタフな試合を乗り越えて2年連続ファイナルへ進出した。史上初のBリーグ連覇へ、残るは千葉ジェッツを倒すのみとなったディフェンディングチャンピオン。同チームは琉球とのセミファイナルを前に、ラストピースがそろった。
「セミファイナルに進出して必ずファイナルに行くと確信があったので、そのままアメリカからきました。プレーはできないですが、チームをサポート、活気づけるという意図で合流しました」
レギュラーシーズンの第29節で右足アキレス腱断裂の大ケガを負い、3月26日から手術、リハビリのためアメリカに帰国していたジャワッド・ウィリアムズが日本に帰ってきたのだ。
第3戦までもつれたセミファイナルをものできたのは、もちろんコート上でプレーした選手たちの活躍があったからこそ。しかし、練習中やベンチ横で仲間を鼓舞し、自身が加わることでチームのモチベーションを一層高めたウィリアムズの存在も忘れてはならない。
「B.LEAGUE FINAL 2018-19」を翌日に控えた10日。横浜アリーナで行われた前日練習にも姿を見せたウィリアムズは、まだ右足にプロテクターを着用した状態だが、優しい笑顔でチームを励まし練習を見守っていた。新潟とのクォーターファイナルは「アメリカで治療しながら見ていた」という36歳は、決勝の舞台まで駆けあがった今のチーム状態をこう見ている。
「シーズン当初と比べてステップアップしているのは確実です。このチャンピオンシップを見てもおわかりだと思うんですけど、クォーターファイナル、セミファイナルと非常にタフな試合を自分たちのものにしてきたので、より一層力強くなっている」
昨年のファイナルでは前半終了間際にチームに勢いを与えるブザービートを決めるなど、25点差の圧勝劇に貢献したウィリアムズ。今回、試合に出ることはできないが、「とにかくポジティブ、かつ冷静にプレーすること。こういったビックゲームはどうしても熱くなってしまうので、チームメートを落ち着かせてパフォーマンスレベルを上げられるように」とコートの外から、ともに戦う。
勝負のポイントについては「やはりディフェンス」と強調し、「自分たちのスタイルを貫きディフェンスを激しくすること。ボールを奪ってマイボールにしたら、一つひとつのプレーを大事につなげてオフェンスを組み当ててほしい」と語った。
最後に、帰国中でもSNS上で『#with31』のハッシュタグを付けた投稿をしたり、ホーム最終戦では“ジャワッドコール”や集合写真を撮影してリハビリに励む自身を励ましてくれた「すばらしいファン」へ向けてもメッセージを残した。
「皆さんのおかげでリハビリ中もすごい励みになりました。ファイナルですので、明日の試合もぜひ大勢の熱い応援をしてくれれば自分たちの力にもなります。最後の一押しをお願いします。もう一度、皆さんとともにトロフィーを掲げたいので一緒に戦ってください」
文=小沼克年