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12月26日、東京体育館にて『ウインターカップ2017 平成29年度 第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会』男子3回戦がおこなわれ、北陸高校(福井県)は帝京長岡高校(新潟県)と対戦した。
北陸は序盤から自分たちのペースで試合を進め、持ち味の走るバスケットを展開。エース二上耀(ふたがみひかる)がミスマッチを突いて効率よく得点を重ねて、自チームのリズムを作りだす。波に乗った北陸は第1クォーターを16-13、続く第2クォーターを18-15として、前半を終えて34-28とリードを奪ってゲームを折り返す。
このままよい流れを維持したい北陸だったが、後半に入ると帝京長岡のタイトなディフェンスや球際の厳しさに徐々にリズムを失い、試合の主導権を握られてしまう。二上や岡田泰希の得点などで、リズムを取り戻すために必死のプレーを続ける北陸だったが、要所で帝京長岡のキャプテン五十嵐平や司令塔の祝俊成(ほうりとしなり)に連続ポイントを許すなど、最後まで苦しい展開を挽回するにはいたらず、トータルスコア70-79で東京体育館から姿を消した。
試合後の取材にて、北陸の久井茂稔コーチは「うちが噛み合ってリズムが来ていたこともありましたし、向こうにもゲームの流れや連続ポイントがあり、リズムが移ったこともありました。相手にリズムが来ていたところでボール際のところを持って行かれてしまいました。そこを1つ1つ取っていれば・・・・・・」と後悔を口にした。続けて「リバウンドやルーズボール、サイドラインやエンドライン際での激しさについて、うちも良いところが出ていましたが、それが40分間できませんでした。ボール際のせめぎあいが勝負の分かれ目になりました」と述べると、「そこの粘り強さを作りきれませんでした。しのぎあいですね。ここから勝っていくには、そこが足らなかったと思います」と、今年のチームを振り返った。
ジュニアオールスターの福井県選抜に中学1年から選ばれるなど、名門北陸高校の中でも、入学時から将来を嘱望される存在だったエースの二上。悔しい敗戦を振り返り「序盤は北陸ペース。後半に入るにつれ、持ち味である走って得点をあげることができませんでした」と述べ、「キャプテンとしてチームにもっと声をかけてやれば良かったです」と悔しさをにじませた。
高校1年次の秋にバセドウ病(甲状腺の病気)が発覚し、思うようにプレーできない日々が続くなど、苦しい日々が続いた時期もあったエース二上は、高校バスケットの中で様々な苦難や喜びを経験してきた。高校最後の大会となったこの試合でも「この大会で得られたものは大きいです」と語るなど、高い向上心を見せつけた。また、「帝京長岡さんが、最後までボールに食らいついてきました。その部分が北陸は帝京長岡さんよりも下でした」と激戦を制した対戦相手の闘争心に対し敬意を表しつつ、厳しい戦いを勝ち抜くために、最後まで自分たちに足りなかった部分を感じたようだ。
最初に流れをつかんだのは間違いなく北陸。しかし、徐々に追い上げられる展開に、ジワリジワリと精神的な圧迫を感じたのか、二上は持ち前の流麗なプレイが影を潜め、無理な体制でのシュートを選択したり、パスやシュートのセレクトに迷いを感じさせるシーンも散見された。後半、帝京長岡から追い上げられるシーンについて問われると「正直(焦りが)ありました・・・・・・。フリーのシュートもミドルシュートも、いつものタイミングではなかったですし、何か焦っていた部分はあります」とつぶやき、大舞台は何度も経験していると思うが、との問いかけに対し、「やはりウインターカップは特別なものです」と答えた。
バスケットボールの試合は、1本のシュートやリバウンドで流れが変わるだけではない。ファウルで得たフリースローを外してしまって流れが変わることもあれば、ルーズボールを制す、またはルーズボールをつかむべく客席へ跳び込むことで、チームに勢いを与えて流れが変わることもある。この試合は、その“球際のせめぎ合い”が流れを変えた結果となった。
文=村上成