2018.12.21

【ウインターカップ男子展望】優勝争いは例年以上に混沌! 激戦ブロックの行方やいかに

本格的に取材を始めたのが「仙台の奇跡」と称された2004年アテネ五輪アジア予選。その後は女子バスケをメインに中学、高校と取材のフィールドを広げて、精力的に取材活動を行っている。

 創部5年目の開志国際高校(総体1位)が夏のインターハイ(平成30年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会)を初制覇し、福岡第一高校と福岡大学附属大濠高校で結成された福岡県が秋の国体(福井しあわせ元気国体2018)を制した2018年の高校男子バスケット。残るタイトルは冬の「ウインターカップ(SoftBankウインターカップ2018 平成30年度 第71回全国高等学校バスケットボール選手権大会)」のみ。開志国際、もしくは福岡第一が2冠を達成するのか。それとも夏、秋ともに準優勝で終わった中部大学第一高校(総体2位)が初の栄冠を手にするのか。それとも他校がひょっこり顔を出してくるのか――。12月23日から始まるウインターカップの男子を4つのブロックごとに展望する。

 まずは左上のブロック。このブロックを引っ張るのは開志国際だろう。ディフェンスとリバウンドをベースに最後まで走りきった夏からさらなる積みあげをしてくるはず。選手層も厚いだけに新戦力の台頭に期待したい。ただ出場権を得ていたとはいえ、新潟県予選の決勝戦では帝京長岡高校に敗れたことは気になる。この負けが意味するものとは何なのか。夏の王者の動向に注目が集まる。しかしその開志国際が進む道は決して平坦ではない。初戦で当たる可能性がある正智深谷高校(埼玉県)はこれまで多くの注目チームを倒してきている。さらにともにU18男子日本代表選手を持つ桜丘高校(愛知県)と県立広島皆実高校(広島県)の勝者も待ち受けている。ベスト4を懸けた戦いに勝ちあがるのはインターハイで福岡第一を破った実践学園高校(東京都)だろうか。尽誠学園高校(香川県)にもメインコートまで勝ち進むチャンスは十分にある。

夏の覇者・開志国際はウインターカップ初出場[写真]=山口剛生

 左下のブロックは4つのブロックの中で最も熱いブロックと言える。第4シードに構えるのはインターハイベスト4の東海大学付属諏訪高校(長野県)。持ち前の強力ディフェンスと、3人の核を持つオフェンスは十分にメインコートまでチームを運んでくれる力を持つ。問題はベスト4を懸けた準々決勝の相手。これは予想が難しい。福岡第一は優勝候補のひとつだが、初戦で東山高校(京都府)と対戦する可能性が高い。この戦いは、選手こそ違うが2年前のウインターカップ決勝戦と同じカード。敗れた東山としてはあの時の悔しさを晴らす戦いとなる。どちらも長身の留学生を擁し、ガードの力もある。勝敗を分けるのはフォワードの得点力だろう。その試合で勝ったチームは、北陸高校(福井県)、県立川内高校(鹿児島県)、飛龍高校(静岡県)の勝者と対戦する。いずれも力のあるチームだが、なかでも北陸と飛龍はインターハイの3回戦で対戦し、その時は北陸が勝ってベスト8に入っている。飛龍にしてみればリベンジのチャンスの舞台でもあるわけだ。激熱必死の戦いがここにはある。

 右上のブロックは明成高校(宮城県)が一歩リードしている。前回大会の優勝を経験したシューターの田中裕也(3年)は残っているが、彼以外の選手は主力としてそれを経験できていない。しかも今年の明成は、力があるとはいえ下級生が主力チームに抜擢されている。彼らの夏からの成長度合いが上位進出の大きなカギになるだろう。対抗はインターハイベスト8の八王子学園八王子高校(開催地)か。関東大会(平成30年度 関東高等学校男子バスケットボール大会 兼 第72回関東高等学校男子バスケットボール選手権大会)を制し、インターハイも序盤こそハイスコアで勝ちあがったが、準々決勝では東海大学付属諏訪の堅い守りを崩しきれず、逆に100点以上の失点をして敗れている。そこで生まれた課題をどこまで克服しているか。インターハイ出場を逃しながら捲土重来を実現させた帝京長岡と日本体育大学柏高校(千葉県)が、どのような戦い方でその争いに分け入ってくるかにも注目したい。

下級生主体の明成は、佐藤久夫コーチの手腕が問われる[写真]=山口剛生

 最後に右下のブロック。ここも中部大第一が一歩リードしている。エースガードの中村拓人(3年)が加わり、チームのバランスは夏以上に取れてきている。予選免除による試合勘の減少をいかに抑えられるか。大会序盤で素早くそれをつかむことができれば上位までは勝ち進める力は十分にある。ただメインコートの手前には県立能代工業高校(秋田県)という壁もある。同校はインターハイで3回戦まで勝ち進むなど、かつての強さを取り戻しつつある。決して侮れないチームだ。対抗は厳しいディフェンスからのトランジションバスケットでインターハイベスト8まで勝ち進んだ桐光学園高校(神奈川県)だろう。最後は明成に完敗を喫したが、それを糧にさらなる成長を遂げていれば、明成と再戦することも夢ではない。ただ初戦で対戦する可能性のある報徳学園高校(兵庫県)はインターハイで桐光学園に逆転負けをしたチームである。彼らにとってもウインターカップは夏の再戦を臨む大会と言える。

夏のリベンジに燃える中部大第一[写真]=山口剛生

 優勝候補の筆頭は、インターハイこそ敗れたものの、圧倒的なトランジションバスケットで相手を飲みこむ福岡第一だと言われている。しかしそのブロックが上記のとおり大混戦を引き起こしそうな予感。もちろんそれ以外もどこで何が起こるかわからない。例年以上に男子の優勝争いは混沌としそうだ。裏を返せば、どのチームにもチャンスがあるということである。

文=三上太

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