2022.06.30
BリーグやWリーグの選手たちに、高校時代のことを振り返ってもらうインタビュー企画、
第12回は京都府の洛南高校出身の笹山貴哉だ。
父の影響でバスケットを始めた笹山選手がどのように成長し、
京都の名門・洛南高校へ進学することになったのか。前編・後編にわたってお届けする。
インタビュー・文=山田智子
写真=B.LEAGUE
――バスケットボールを辞めたいと思ったことはありますか?
笹山 辞めたいというか、Bチームにいた時やAチームからBチームに落ちた時は、結構メンタルをやられました。
――どのように乗り越えたんですか?
笹山 寮に入っていて、常にバスケットのことしか考えられない、やるしかない環境に置かれていたので、指摘された部分やシュートをがむしゃらに練習することで、自ずと乗り越えていたんじゃないかなと思います。
――そういう時には家族へ連絡をしたのですか?
笹山 ウソだろと言われるかもしれませんが、落ちている時に限って親から電話かかってきたりするんですよ。「荷物送ったよ」とか、そういう些細なことなんですけど、それで救われた部分も大きいです。やっぱり親ってすごいなと思いましたね。
――高校時代、思い出に残っている試合は?
笹山 洛南として印象深いのは、1年生の時のウインターカップで優勝した時ですね。僕自身初めての日本一でしたし、先輩たちが苦しみながらも勝った姿を見て、僕もすごくうれしかったです。個人としては、U-18日本代表としてアジアや世界の色々な大会に行かせてもらって、レベルの高い人たちを見て幅が広がりましたし、もっと何かできることがあるなと感じました。
――国際大会で広がった幅について、もう少し詳しく聞かせてください。
笹山 海外の選手はまず高さに怖がっていない。日本では、大きい選手が来たり、ダブルチームで守られた時には、パスで逃げることも一つの選択肢だと教わるんですけど、海外の選手はそれをまずは自分で打開することが多くて、それはすごく新しいなと感じました。それと、メンタルの強さも感じましたね。1本も決めてなかった選手が、最後の大事な局面で決めてその試合に勝つところも見ましたし、本当に良い経験をさせてもらいました。
――海外で印象に残った選手はいますか?
笹山 ドイツのアルバート・シュバイツァー・トーナメントでフランスと対戦した時に、今ユタ・ジャズに所属している(ルディ・)ゴベアがいたんです。めちゃくちゃデカくて、ずっとダンクをされてるような試合だったんですけど、今NBAで活躍している選手と高校の頃に対戦できたというのは感慨深いものがありますね。
――国内の大会で印象に残っているものはありますか?
笹山 高校3年生のインターハイですね。組み合わせに恵まれて、優勝を狙えると思っていたんですけど、初戦で前橋育英高校に負けてしまいました。先を見過ぎて、足元を救われた大会でした。
――高校3年間を振り返って一番成長できたと思うところは?
笹山 ポイントガードをやり始めたのが高校からだったので、ポジションに関する考え方というか、ポイントガードには何が必要かという部分については、洛南で教わったことが本当に大きいなと思います。
例えば、自分で攻めるところと周りを使うところのバランスや、今日はどの選手の調子がいいかを見極める周りを見る力とか、声をかけるタイミングひとつにしても。中学までの(自分が点を取る)感覚が残っていたので、最初は自分が攻め過ぎていたところがあって、監督から「お前はポイントガードだぞ」とすごく言われたことを覚えています。学年が上がるにつれて責任感が増して、ポイントガードとしても人間としても自分自身でも成長できている実感はありました。そこに成績がついてきたらもっと良かったんですけどね。
――大学は筑波大学に進学します。どういう経緯で進学を決めたのですか。
笹山 教えることがすごく好きだったので、教員免許を取りたいと考えていました。その中で、吉田(裕司)先生が筑波出身だったのもあり、進学を決めました。
――最後にご自身の経験を踏まえ、中高生へのアドバイスをお願いします。
笹山 この先どうなるか分からない状況の中で不安もあると思うんですが、今がすべてじゃない。ここでバスケット生活が終わるわけではないので、目標やモチベーションを持ち続けてほしいと思います。自分が得意な部分を伸ばすこと、それを自分の持ち味にすることも大切だと思いますが、やはり苦手な部分に自分でしっかり目を向けて、それを少しでも克服できるような練習に取り組んでほしいです。そうすることで、バスケット選手としても、人間的にも成長できると思います。
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