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「3回戦屈指の好カード」と思われていた一戦…結果は一時44も点差が開く大差の結果となってしまった。
「SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の男子3回戦、前回大会準優勝の福岡大学附属大濠(福岡)と、同ベスト4の東山(京都)の対戦は94-65で東山が完勝した。
第1クォーターを終えたところで7-23、前半を終えて20-48。そこで勝敗は決したとも言える。福大大濠の片峯聡太コーチも「前半で踏ん張りきれなかったのは非常に悔しいかな。20点くらいでついていければ、第3クォーターでプレスをかけて、(そのクォーター中に)なんとか10点、もしくは1ケタ差に持っていってというプランを立てられますけど、あそこまで広げられてしまうと苦しかったです」と振り返る。
今年の福大大濠は苦しい1年だった。他校と同じようにコロナ禍でチーム作りが難航したのはもちろんのこと、エースガードとして期待していた2年生の岩下准平が大きなケガを負い、長期の戦線離脱。チームの起点となるポイントガードの離脱で、チーム作りを一からし直さなければならなかった。
それでもキャプテンの平松克樹を中心とした3年生がチームをまとめあげ、福岡県代表としてウインターカップの出場権を獲得。結果は3回戦敗退という形になったが、片峯コーチは「彼らでなければ、もう少しチームが分裂していたかもしれない」と振り返る。第4クォーターの残り5分を3年生だけでプレーさせたのも、その感謝だったと認める
「今年の3年生はあまりパワーがないんですけど、しっかりまとまって、キャプテンの平松だけではなく、廣政(遼馬)ら全員がチームのことを考えてくれていたんです。そういった感謝も込めて、最後の5分間は彼らに頑張ってもらおうと、3年生6人を使うようなベンチワークをさせてもらいました」
その一方で片峯コーチは3年生たちへのちょっと厳しいはなむけの言葉も忘れなかった。
「彼らには、これくらいのところで収まってちゃダメだと伝えたいですね。やりきることがどれだけ大事か。勝負の場面では、リスクに対してどれだけチャレンジすることが大事かを、この負けから学んでほしい。勝負に関してはお利口さんではダメなんです。今日は、言い方は悪いけど、彼ららしい、お利口な部分が垣間見えて、もうひとつリミッターを外せていなかった。安全に、安全にとプレーしすぎました。もちろんそれを外してあげられなかったのは私の指導力不足です。でも彼ら自身も自分からそれを外せないと、今後のバスケット人生がさらに厳しくなると捉えてほしいですね」と厳しさの中に優しくて、熱いアドバイスを送った。
片峯コーチは第3クォーターの終盤から第4クォーターの中盤にかけてコートに送り出した1、2年生についても言及している。ケガからの復帰が待たれる岩下だけでなく、針間大知や湧川颯斗ら才能豊かな選手たちがいる。彼らにもより強く釘を刺す。
「ものは磨かないとダメだってこと。シュートひとつにしても、それこそ県内だけでなく、全国には留学生がいるんだから、彼らに対する判断も3回に1回いい判断ができればいいではなく、3回ともしっかりいい判断をするように磨いていかなければいけない。そこは今日の敗戦からも間違いなく得ることができたんじゃないかと思います」
単なる才能だけでなく、東山に立ち向かった下級生の気迫は片峯コーチも認めるところだ。それを継続させつつ、より精度の高いプレー、確度の高い状況判断を磨けば、福大大濠がウインターカップのメインコートに戻ってくる日はそう遠くない。
文=三上太