2021.12.25

モンゴルからの留学生、ヒシグバータルは「楽しかった」3年間を経て次なる舞台へ

3年間で明徳義塾の大黒柱に成長したヒシグバータル オーギル [写真提供]=日本バスケットボール協会
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 2年ぶりのウインターカップ出場を果たした高知県代表の明徳義塾高校。同校はベスト8以上に与えられる「メインコート進出」を掲げ「SoftBank ウインターカップ2021 令和3年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」に挑んだが、富田高校(岐阜県)に64−80で敗れて2回戦で姿を消した。

「強いチームとはわかっていたんですけど、自分たちのバスケットができたので嬉しいというか、頑張ったなと思います」

 敗れはしたものの、チームの大黒柱であるヒシグバータル オーギル(3年)はこの日の自分たちの出来を褒めた。

 オーギルは高校入学を機にモンゴルから日本へやってきた留学生プレーヤーである。今年の明徳義塾は204センチの彼を除けば最高身長の選手が184センチとなるため、オーギルは最も代えがきかない選手と言える存在だった。

「リーダーシップを取ってチームを引っ張ることと、リバウンドを取ること」。そう自らの役目を話すオーギルは2試合連続のフル出場を果たし、初戦から26得点13リバウンドを挙げ、この試合でも19得点20リバウンドを記録。「(他のチームには)僕よりデカい留学生はたくさんいるしゴツい選手もいるんで、外のプレーが得意です」と言うように、恵まれた体格を生かしたインサイドプレーに加え、綺麗な弧を描いたミドルシュートからもリングを射抜いた。

 オーギルは2年前のウインターカップの舞台にも立ち、1年生の時から明徳義塾のゴール下に君臨してきた存在だ。今回の試合が高校生活最後の公式戦となってしまったが、来日当初は全く話せなかったという日本語は学校の授業だけでなくバスケットを通しても上達し、今では流暢に話せるようになった。

「最初は親元を離れて、日本語も分からなくて難しかったですけど、チームメートや先生たちに助けてもらってそこから自分でも勉強するようになりました。チームメートと練習する時も、分からなかったら『それってどう意味?』ってちゃんと聞いて、そうしたら結構うまくなりました」

 チームの大黒柱は「メインコートという目標があったんですけど、そこに届かなくてちょっと悔しいです。けど、3年間は楽しかったです」と明徳義塾での日々を振り返り、「これからは次のステージ。大学ではもっと活躍できるように頑張りたいです。大学はみんながゴツくて外のプレーもできるんで、筋トレをちゃんとして、外のシュートももっと打てるようになりたいです」とこの先を見据えた。

 オーギルが明徳義塾に入学した年にチームの指揮官に就いた中村哲大コーチも、これから巣立っていく彼へ、優しくエールを送った。

「精神面で弱い部分がありますけど、学年が上がるに連れて少しずつ成長していったかなと感じています。明徳義塾では大黒柱という立場でプレーしていましたけど、大学になるともっと大きな存在にならなきゃダメだと思いますので、成長を期待したいですね」

文=小沼克年

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