2023.02.22

準決勝、決勝ともに好スタートを切った東山が近畿新人大会の頂点に

3年前に続いて近畿新人を制した東山 [写真]=田島早苗
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

『京都対決』となった男子決勝戦

 新型コロナウイルス感染症の影響で過去2年は開催が中止となっていた近畿新人大会。今年は3年ぶりに行われ、滋賀県の滋賀ダイハツアリーナを舞台に熱戦が繰り広げられた。

 初日の戦いを終えて男子ベスト4となったのは東山高校(京都府2位)、京都精華学園高校(京都府1位)、阪南大学高校(大阪府1位)、大阪学院大学高校(大阪府2位)。京都と大阪のチームが顔をそろえた。

 迎えた東山と阪南大学の準決勝、序盤は両者譲らず点を取り合ったが、第1クォーター終盤から佐藤友(2年)、瀬川琉久(1年)らを中心に連続得点を挙げた東山が抜け出す。そのまま勢いに乗った東山は、南川陸斗(1年)の3ポイントシュートが要所で決まり、阪南大学に付け入る隙を与えない。阪南大学のポイントゲッターであるンワンクォ チネドゥ ゴッツウィル(1年)には39得点を許したものの、前半から主導権を握った東山が、最後は101ー71で快勝した。

 もう一方の準決勝、京都精華学園と大阪学院大学は、前半こそ京都精華学園が9点のリードを奪ったが、第3クォーターで大阪学院大学が猛追。点差を縮めていく。しかし、京都精華学園も合わせのプレーから上野叶翔、東郷然(いずれも1年)らがコンスタントに得点を挙げてリードを維持する。大阪学院大学は最後まで粘りのディフェンスで対抗したものの、あと一歩及ばず。京都精華学園が87ー78で勝利して決勝進出を決めた。

 京都対決となった決勝戦。京都府新人大会での対戦では京都精華学園が東山に勝利し、初優勝を果たしていたが、このときの点差はわずか4点。そのため、近畿新人の決勝でも接戦が予想された。

 試合は、準決勝に続いて試合の入りに成功した東山が第1クォーターを終えて5点のリードを奪う。しかし、第2クォーター序盤には京都精華学園に連続得点を許し、追いつかれてしまう。
 
 だが、ここで踏ん張った東山は十川虎之介(2年)の速攻など速い攻めから得点を挙げていき、再び京都精華学園を引き離す。後半に入っても反撃を試み続ける京都精華学園に対して東山はこの試合44得点を奪った佐藤が立ち塞がり、相手に傾きそうになった流れを幾度となく引き戻す。結局、最後まで攻撃の手を緩めず、走り切った東山が82-68で優勝を決めた。

決勝では44得点を挙げた東山の佐藤 [写真]=田島早苗

昨年の悔しさを胸に全国大会での飛躍を誓う東山

「京都府予選での課題を修正して近畿新人大会に臨みました。すべてが修正できたというわけではないのですが、力のあるチームともう一度戦うことができ、そこで勝ち切れたことは、夏に向けてすごくいい経験になったと思います」

 優勝の感想をこう語ったのは東山の大澤徹也コーチ。また、ゲームキャプテンの佐藤も「良いところも悪いところもあったので、これからに生かせるような大会だったと思います」と、大会を振り返った。

 今年の東山は、その佐藤とガードの瀬川という得点力の高い2人が攻撃の軸となる。そこに近畿新人では、「周りの3人が見えないところで動きを作ってくれたりといい合わせができていました」と大澤コーチは言う。
 
 東山は、昨年のインターハイ、ウインターカップに不出場。そのため、『今年は全国大会で暴れる』という思いが強い。もちろん、全国大会に出場するだけでなく、狙うは日本一だ。

「今年は自分たちでも日本一と言っていますし、大澤先生からも日本一になる力はあるぞと言っていただいているので、とにかくその言葉を信じて日本一を目指して頑張りたいです」と、佐藤も気合十分。
 
 だが、全国制覇を見据えれば課題が多いのも現実で、「相手が止めに来たときのオプションをさらに作っていかないといけなしい、全体的にバージョンアップしないといけないとも思っています」と、大澤コーチは冷静に語る。

 とはいえ、昨年の全国大会での経験がない選手たちにとっては、「一試合一試合、一分一秒が財産になる」(大澤コーチ)。今大会での経験はチームにとって大きな自信にもなったようだ。

アウトサイドシュートを主体に得点を重ねた京都精華学園・東郷 [写真]=田島早苗


 一方、準優勝となった京都精華学園の山崎翔一朗コーチは、「(追う展開となった)後半、ディフェンスを頑張って一桁差まで詰めることができ、今持っている力は出せたと思います。ただ、体力面など夏に向けて鍛え直さないといけないですね」と、コメント。

 それでも、決勝戦には敗れはしたものの、東山同様に近畿新人での経験は大きいと語り、「うちの良さであるオールコートのディフェンスからブレイクをやり続けられるような心とチームワークを磨いていきたいです」と、熾烈な争いが予想されるインターハイ予選に向けて意気込んでいた。

大阪学院大の太田は、準決勝で45得点を奪取 [写真]=田島早苗


得点力の高さを見せ付けた阪南大のゴッツウィル [写真]=田島早苗


写真・取材・文=田島早苗

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