2023.02.15

開志国際、北信越新人を危なげなく優勝…昨冬王者を止めるチームは現れるか

ウインターカップの経験を活かして、新チームでも強さを見せつけた開志国際 [写真]=小沼克年
フリーライター

ウインターカップ王者の開志国際が圧倒的な強さを披露

 まだ新人戦の段階ではあるが、北信越ブロックでは「SoftBank ウインターカップ2022 令和4年度 第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会」覇者が無類の強さを発揮した。

 2月11日から12日にわたり、長野県の松本市総合体育館をメイン会場に「令和4年度 第54回北信越高等学校新人バスケットボール選手権大会」が開催。男子の部は開志国際高校(新潟県1位)が他校を寄せつけずにトーナメントを制した。

 開志国際は桜井高校(富山県3位)との初戦を107-64で快勝すると、続く金沢高校(石川県2位)戦は最終スコア86-58で勝利。大会2日目の2試合では、まずは北陸高校(福井県1位)を相手に、94-68の大差をつけて危なげなく決勝進出を果たした。最終戦は県内でしのぎを削る帝京長岡高校(新潟県2位)との対戦。試合は第1クォーターこそ12-13と拮抗したが、次の10分間からリードを広げ、終わってみれば33点差をつけて圧勝した。

 新チームには、ウインターカップ2022決勝の舞台に立ったガード陣が健在。「みんながついてきてくれるように、自分がしっかりとチームをまとめたい」と意気込む新キャプテンの澤田竜馬(2年)を筆頭に、平良宗龍、清水脩真(ともに1年)、澤田とともにもう1人の主将としてチームを引っ張る中島遙希(2年)という充実した戦力が並ぶ。

開志国際で新キャプテンを務める司令塔の澤田竜馬 [写真]=小沼克年

「去年の経験がある子たちですから、余裕を持ってプレーしていましたね」と富樫英樹コーチが言うように、今大会は笑みを浮かべながらプレーする場面も多々あり、気持ちの面にも余裕を感じられた。1年生ガードの清水も「去年はウインターカップのメインコートで試合ができて、そこでもミスをしないでボールを運ぶことができました。本当にいい経験を積めたので、この大会は自信を持ってプレーできました」と口にし、やはり前年の経験が大きな自信になっているようだ。

 新体制では豊富なガード陣がチームの軸となりそうだが、「まだイメージがつかないんですよ」と富樫コーチは笑う。というのも、ケガ人を数名抱えており、富樫コーチによれば「そのケガ人も結構期待できる」。これから平良が琉球ゴールデンキングスへ合流することもあってチーム作りがやや遅れるが、指揮官は慌てずに方向性を決めていくという。

「今はどの組み合わせが一番いいのかを探っている段階です。この大会が終わって少しゆっくりできますし、ケガ人が復帰してから本格的にチーム作りをしようかなと。ただ、去年よりはサイズが小さくなるので、10人くらいはプレータイムをシェアできるようなチームにしていきたいと思っています」

チーム一新の東海大学付属諏訪が奮闘

帝京長岡との大接戦を演じた東海大学付属諏訪 [写真]=小沼克年

 一方、1月29日の対戦時に62-80で敗れた帝京長岡だが、今回はさらに点差をつけられてしまった。しかし、初戦から接戦をくぐり抜けて準優勝の成績を収めた。

 柴田勲コーチは「勝つことでまた次のゲームができるので、その点に関しては選手にとっても本当にありがたい経験になりました」とコメント。しかし、「まだこの時期ですけども」と前置きしたうえで、今後への課題を次のように挙げた。

「随所でいいプレーは出ましたけど、オフボールの動きや相手との駆け引きといった試合の中で養うような技術がやはりまだまだですね。子どもたちはまだスコアに残る部分を追いかけているところがありますけど、うちのチームはリバウンド、ルーズボール、ディフェンスを粘り強くやらないと勝てない。夏までにはそこをもっと辛抱強くできるようにしたいです」

 今シーズン、指揮官が「コートリーダーになってもらいたい」と特に期待を寄せるのはポイントガードの児玉雅空とセンターのジブリン ハッサン スレイマン(ともに2年)だ。なかでもチーム内で「ハッサン」と呼ばれるスレイマンは大黒柱を担う存在であり、攻守両面にわたってゴール下での奮起が問われる。

 豪快なダンクに加え、ポストプレーから柔らかなジャンプショット、さらには仲間とも積極的にコミュニケーションを取れる背番号14だが、それはあくまで自身の調子がいい時。現状は柴田コーチが「ジェットコースターみたい」と例えるほどメンタル面にムラがあるようで、「どうしても自分のペースでやりたがるので、これから直さないといけないです」(柴田コーチ)と、今後は周りを見る視野を身につけることが課題となる。

豪快なプレーを見せたジブリン ハッサン スレイマンは帝京長岡の大黒柱を担う [写真]=小沼克年

 今大会、帝京長岡との大接戦を演じたのは地元の東海大学付属諏訪高校(長野県1位)だった。試合終了までもつれた2回戦を5点で落とした同校は、2022年までの主力メンバーが抜け、メインの指揮も入野貴幸コーチに代わって小滝道仁アシストコーチが務めた。“チャレンジの大会”とも言える北信越新人を初日で終えた小滝ACは、「去年までのメンバーが抜けた経験値の少なさは、これからチーム全員で補っていかなければいけないです。プレーに関してももっと強度や質を上げて、細かい部分も徹底できるようにしていきたいと思います」と気を引き締めた。

 北信越の男子は開志国際が強烈な先制パンチを食らわせた。今後、これに鮮やかなカウンターを繰り出すチームは現れるのか。各校に加わるルーキーたちの動向にも注目だ。

文=小沼克年