2023.02.21

近畿新人女子は京都精華学園が大阪薫英女学院を下して初優勝

(写真左から)ジェシカ、八木、堀内がチームの中心となる京都精華学園 [写真]=田島早苗
フリーライター

近畿をリードする2チームの決戦の行方は…

 2月18、19日の期間、「第33回近畿高等学校バスケットボール新人大会」が滋賀県の滋賀ダイハツアリーナにて行われた。実に3年ぶりの開催となった今大会、女子は京都精華学園高校(京都府1位)、大阪薫英女学院高校(大阪府1位)、大阪桐蔭高校(大阪府2位)、和歌山信愛高校(和歌山1位)の4チームが初日の戦いを終えて準決勝へとコマを進めた。

 準決勝では京都精華学園が大阪桐蔭のハードなディフェンスにもしっかりと対応して快勝。一方の大阪薫英女学院はフィジカルの強い和歌山信愛に接戦へと持ち込まれたものの、後半に引き離して苦しみながらも決勝へと勝ち上がった。

 迎えた京都精華学園と大阪薫英女学院との決勝戦。試合は、ディマロ ジェシカ ワリエビモ エレ(2年)のフリースローで先制した京都精華学園が先行していく。ジェシカを起点としたインサイドプレーだけでなく、3ポイントシュートや速攻など、内外とバランスの良い攻めで一気に点差を広げる京都精華学園。第2クォーター終盤こそ大阪薫英女学院に激しいディフェンスからボールを奪われて得点を許したが、第3クォーターに再び高さを生かして得点を奪取。第4クォーターでも主導権を渡さず、最後は103-68で勝利した。

決勝で34得点を奪った京都精華学園のジェシカ[写真]=田島早苗

インターハイとウインターカップの連覇を目指す京都精華学園

 昨年のインターハイ、ウインターカップと2大会で初優勝を遂げた京都精華学園は、新チームになってもそのときの主軸が多く残る。近畿新人では得点とリバウンドで貢献したジェシカや、昨年からスターターの司令塔・堀内桜花にアンダーカテゴリーの日本代表でも活躍した八木悠香(いずれも2年)らが健在で、今大会でもこの3人を中心に群を抜く強さを発揮した。

 近畿新人は今年で33回目を迎えた大会だが、過去30回が行われた中で(第5回大会は阪神大震災、第31回と32回は新型コロナウイルス感染症拡大のため中止)、京都精華学園の優勝は今回が初となる。それだけに、2年連続で夏と冬の全国制覇を目指すチームにとっては幸先の良いスタートといえるだろう。

 だが、指揮を執る山本綱義コーチは、「一人ひとりが力があっても、それを集結させて大きな力に変えるというところまではいっていないです。チームとしての総合的な力はまだまだだと思っています」と、コメント。新チームになって日も浅いこともあり、初優勝にも冷静にチームの現状を語っていた。

 また、堀内と八木に関しては、「それまでとは違うオフェンスの領域を開拓してくれれば」と期待の言葉を残した山本コーチ。1年生でスターターを務めた橋本芽依、桃井優らには「ボールをもらった瞬間に迷いがあるので、素早くパスなのか、シュートなのかを判断できるように」と、今以上に状況判断の早さを求めていた。

「試合経験が少ない選手もいますが、公式戦の中で一つずつ成長してもらえれば。その中でうまくいかずに苦しむこともあると思うのですが、その経験がまた次の試合に生きてくるだろうと感じています」と、山本コーチ。全国の連覇に向けて京都精華学園は、焦らずじっくりとチームの強化を進めていく構えだ。

 対して、決勝では試合序盤から追いかける形となった大阪薫英女学院。その決勝では持ち味の激しいディフェンスから活路を見出し、攻めては木本桜子、木本桃子、島袋椛(いずれも3年)らが果敢にリングに向かったものの、試合を通して放つシュートが思うように枠を捉えず。大事な場面でもミスも影響してしまった。

大阪薫英女学院のエースとして期待される島袋[写真]=田島早苗


「今一度、現在地を知ることができた大会になりました」と、振り返ったのは安藤香織コーチ。大阪薫英女学院もまた、都野七海(3年)らこれまでチームを引っ張ってきた選手たちが抜けて、一からチーム作りを行っている最中。体づくりや技術向上に取り組みながら、選手の適性やチームの特色を見極めていきたいと安藤コーチはいう。

「そういう意味では伸び代しかないですね」と安藤コーチ。木本ツインズや島袋といった3年生を中心に「元気がある」チームがどのような進化を見せるのか、今後に期待したい。

大阪桐蔭のポイントゲッターである片山[写真]=田島早苗


準決勝では24得点と気を吐いた和歌山信愛の寺田[写真]=田島早苗


写真・取材・文=田島早苗