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第33回東北高等学校男女新人バスケットボール選手権大会が2月4日から5日にわたり、福島市にて開催された。3年ぶりの開催となった東北新人の再開に喜ぶ声が多い中、今大会は、昨年までとは勢力図が変化した大会となった。ベスト4に進出したのは、聖和学園高校(宮城1位)、柴田学園大学附属柴田学園高校(青森1位)、仙台大学附属明成高校(宮城2位)、秋田中央高校(秋田1位)の顔ぶれだ。
昨年度の東北の勢力図は、夏の東北大会で優勝した総合力のある柴田学園、大型ポイントガードを擁する湯沢翔北高校(秋田2位)、1対1の個人技に強い選手を擁する聖和学園など、U16~U18代表や代表候補選手を擁するチームが東北地方をリードしていた。また宮城のライバル決戦である聖和学園と明成は大激戦となり、インターハイの出場権を明成が獲得し、ウインターカップでは聖和学園が出場するなど、覇権を分けあうほどの激戦だった。
今年はそうした主体だった3年生たちが引退し、東北の戦力図は大きく変わった。3年ぶりに開催された東北新人大会において、『東北1強』とも呼べる強さを発揮したのが、5年ぶりの優勝となった聖和学園だ。
聖和学園は1回戦から決勝で対戦した柴田学園までの4試合、危なげない展開で勝ち上がった。インサイドの選手は178センチで、スタメン平均身長は171.2センチ。全体的な高さを持つ聖和学園の中でひときわ光っていたのが、エース高瀬ゆのか(175センチ)だ。時にはガードとしてボールを配給しながら、ポストアップやドライブなど多彩なシュートで試合を支配。決勝のスコアは81-49で圧倒。新人大会の現時点でも組織的な動きが展開できており、東北の中では圧倒的なチーム力の高さを見せつけた。
5年ぶりに東北新人を制覇した聖和学園の小野裕コーチは、「東北はしばらく新人戦がなかったので、短期的な目標が持てない状態でした。それが、新人戦が3年ぶりに再開したことで、春までの段階で短期的な目標が持てるようになったので、チーム作りの励みになり、大きなステップを踏めたと思います」と状況を話したのち、優勝した感想をこのように述べた。
「昨年のチームはエースの上野心音(U17代表)を中心に1対1を主体にするチームでしたが、今年は個人技で得点が取れる選手がいないので、コンビネーションをすごく大事にしていて、オフボールの動きをしつこく取り組んでいるところです。その成果が新人戦で出ていました。ただ、まだ新人チームなので、相手に合わせてのらりくらりやってしまうところがあります。目指すところは東北新人の優勝ではないので、全国ベスト8、そしてその上を目指していけるように、気持ちを再度引き締めてやっていきたいと思います。昨年は試合に出るメンバーが多かったのですが、今年はシックスマンがまだいないので、新入生を含めて選手層を厚くしていくことが課題です」
キャプテンでエースの高瀬は「優勝できて良かったのですが、ここは通過点。今年は今まで以上のディフェンス強化をして、点を取ることよりも、失点を抑えることを目標としたい。自分はどこからでも点が取れるオールラウンダーを目指し、チームが苦しいときに助けられる選手になって、リーダーとしても声がけをしていきたい」と抱負を語った。
準優勝の柴田学園は昨年のチームから主力が大幅に変わり、ウインターカップ後から新チームを作っているところだ。準決勝では明成との接戦を65-56で制して決勝に進出した。昨年はメンバーに入っていなかったインサイドの白戸彩希が急成長を遂げており、大会を通してのステップアップが見えた。
「この大会は優勝するつもりで臨みましたが、昨年出ていないメンバーばかりの中で準優勝ができたので、よくやってくれたと思います。ただ選手はこの結果には満足していないと思うので、ここから選手層を厚くして激しいディフェンスができるチームになります」と小野尚樹コーチは語る。
現段階の東北女子は聖和学園の総合力が抜き出ているが、新戦力を加えた布陣でどう成長していくか楽しみだ。
文・写真=小永吉陽子