2023.04.05

正智深谷、地元開催の埼玉カップは惜しくも2位…主将の三村蓮「関東大会でしっかり優勝したい」

正智深谷でゲームキャプテンを務める三村蓮 [写真]=小沼克年
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 4月1日、2日に行われた「埼玉カップ2023」男子の試合会場は深谷ビッグタートル。そこから約2キロメートル先に校舎を構える正智深谷高校(埼玉県)にとっては、まさに地元開催だった。しかし、惜しくも優勝決定戦での勝利を逃し、2位で今大会を終えた。

 決勝戦の相手は岐阜県の美濃加茂高校。2月に行われた「第36回東海高等学校バスケットボール新人大会」で準優勝の成績を収めている相手だ。試合は序盤から大量得点を許し、正智深谷は第1クォーターでいきなり15点のビハインドを背負った。だが、次の10分間ではディフェンスの強度を上げて反撃。攻めては速い展開から得点を重ね、前半終了時点で36-41と差を詰めた。

 第3クォーターの立ち上がりもペースを握った正智深谷は、開始約2分半で10得点を積み上げて一時逆転に成功。その後は203センチのエブナ フェイバー(2年)を擁する相手を粘り強く守って競り合いを演じたが、徐々にファウルがかさんでしまい、同クォーター終盤にはグビノグン デロック(2年)が5ファウルでコートを去った。持ち前の身体能力を活かして攻守を支えていたデロックが抜けると、ほかの選手たちもファウルトラブルとなり、59-65で最終クォーターへ。ラスト10分間は三村蓮(3年)の得点で食い下がったものの、テンポのいいパスワークから連続得点を許し、78-94というスコアでタイムアップを迎えた。

決勝で美濃加茂に敗れた正智深谷 [写真]=小沼克年

「決勝は個人的に点が取れたので良かったと思いますけど、いかにチームを引っ張れるか、という部分では課題が残る2日間でした」と今大会を振り返ったのは三村。前年からスターターを担い、2023年はゲームキャプテンとして正智深谷を引っ張る存在だ。

「成田(靖)先生にも『自分がエース、自分がキャプテンという自覚を持て』と言われているので、もっとチームを鼓舞する声掛けとか、状況に応じてしっかり判断できる能力をつけていきたいと思います」

 昨年の正智深谷は、先発5人全員が185センチ以下のチームだった。しかし、今大会のエントリーメンバーには190センチ前後の選手が3人おり、主力組にも180センチ台ながら跳躍力を活かしてリバウンド争いに絡めるデロックや秋穂将斗(3年)などが名を連ねる。今大会でも留学生のいる帝京長岡高校(新潟県)に勝利を収め、美濃加茂戦でも第3クォーターまで互角に渡り合えたことは、今後への好材料になったはずだ。

ダブルチームを仕掛けて相手選手に対応 [写真]=小沼克年

「今年は比較的大きいチームです。今まで高さで負けていた部分、例えば留学生へのディフェンスは多少諦めなければいけなかったところを、今年はファイトできるようになりました。その高さに加えて去年のような細かいバスケットができれば、面白いチームになるかなと思っています」

 そう青写真を描く成田コーチに対し、三村もこれからのチーム力アップに向けて意気込みを口にする。

「去年より平均身長は高いですけど、もっと運動量を上げないと、正智らしい走るバスケットはできません。これからも練習からみんなで声を掛け合って、運動量を上げられるように頑張っていきたいと思います」

 三村はスモールフォワードからポジションアップを図り、ポイントガードへ主戦場を移すという。昨年そのポジションを担っていたのは、U16、U17の日本代表にも選出された経験を持つルーニー慧(現東海大学1年)。彼から背番号「4」を引き継いだ三村は、「去年のルーニーさんのように、自分が起点となって点を取ったり周りを活かしたりするプレーができるようになりたいです」と意欲を示した。

「やっぱり優勝したかった」。地元開催となった今大会に悔しさをにじませつつも、正智深谷のゲームキャプテンはすでに気持ちを前へ向けていた。

「次は関東大会があるので、そこではしっかり優勝したいです」

関東大会で雪辱を果たせるか [写真]=小沼克年

文=小沼克年

BASKETBALLKING VIDEO