2023.09.24

日本代表の活躍も大きな刺激に…エースへの覚醒する福大大濠の渡邉伶音

福岡第一戦で25得点11リバウンドのダブルダブルを達成した福大大濠の渡邉伶音 [写真]=渡邉伶音
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 9月23日、アリーナ立川立飛で「U18日清食品トップリーグ2023(男子)」が開催され、福岡大学附属大濠高校と福岡第一高校(ともに福岡県)が対戦。高校バスケ界を代表する好カードだけに、会場には多くのファンが足を運んだ。

 試合は、出だしから三輪大和、広瀬孝一の得点でリードを奪った福大大濠を福岡第一が追う展開に。第2クォーターには福岡第一のセカンドユニット、宮本聡、宮本耀の双子のガードコンビが最前線から当たるディフェンスでペースを握ると、その宮本ツインズがならではのコンビネーションを披露。積極的にシュートも放って逆転の原動力となった。

 後半に入ると福岡第一がリードを広げようとオールコートのディフェンスを見せるが、福大大濠は粘り強く食らいついていく。それでも第4クォーターにはこの試合最大の15点のビハインドを追うことになるが、ここから渡邉伶音にボールを集めて追撃をスタート。残り4分44秒にはその渡邉がインサイドにアタックして75−75と追いつくと、2分42秒には渡邉がこぼれ球を押し込み、78−77と逆転に成功した。

 しかし、その後、福岡第一の山口瑛司の1対1を止められることができず再逆転を許すとそのまま振り切られる結果に。それでも東京の地で行われた福岡頂上決戦は、互いのプライドがぶつかり合う熱戦となった。

 その中で福大大濠の渡邉はともにゲームハイの25得点11リバウンドをマーク。さらに5アシストも記録して存在感を示すとともに、チームをけん引。特にビハインドを負った後半には3ポイントライン付近でボールを持つと積極的に1対1を仕掛けて、福岡第一のサー シェッハとディアロ ティディアニの留学生コンビをファウルトラブルに陥れた。

 現在、2年生の渡邉は6月にハンガリーで開催された「FIBA U19バスケットボールワールドカップ2023」にも出場。将来を嘱望される選手だ。

 試合後に渡邉に話を聞くと、「片峯(聡太ヘッドコーチ)先生には『もっと責任感を持ってプレーしなさい』と言われています。『トップの位置でボールをもらったら積極的に1対1を仕掛けなさい』とも言われているので、練習から意識するようにしています」とコメント。

リバウンド争いでも強さを見せた渡邉(右) [写真]=U18日清食品リーグ


 各校の留学生とのマッチアップも渡邉の役割だが、自重を使ったメニューをはじめトレーニングを重ねており、入学時に比べてたくましさもフィジカルでも対抗できるようになってきた。それでも片峯HCは渡邉の将来を見越してさらに高いもの要求しているようだ。

「アウトサイドからのプレーでも3ポイントシュートから入るのではなく、インサイドで勝負するところから始めてほしい。まず、インサイドでイニシアティブを握り、そこからの駆け引きで外からシュートをするように」(片峯HC)

 そして、「試合を決める常用な場面で『自分にボールをもってこい』というように態度で示してほしい。今日の試合でも終盤にチームメートにパスをさばいてしまう場面もあったので、もっと強い気持ちでプレーしてほしい」とメンタル面での課題も語った。

 この夏、ワールドカップでの男子日本代表の活躍を渡邉も追っていたという。

「特に(ジョシュ)ホーキンソン選手に献身的なプレーが印象的でした。自分がしなければいけないプレーを試合の中で徹底的に行う。僕も大濠でやらなければいけないプレーだと感じました」

 エースとしての自覚を高め、覚醒間近の渡邉にとって、ホーキンソンが世界のトッププレーヤーとのマッチアップで見せたパフォーマンスが刺激になったはず。さらなるのエースと成長するために今後に注目だ。

文=入江美紀雄

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