2024.06.01
79-87で試合終了。川崎ブレイブサンダースのニック・ファジーカスが16シーズンにおよぶプロキャリアに別れを告げた。
5月5日に横浜BUNTAIで行われた横浜ビー・コルセアーズとの2023-24シーズン最終戦は、前日に開催された他会場の結果によって「日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2023-24」進出の可能性がなくなったなかで迎えた一戦。第1クォーター開始3分32秒に3ポイントシュートを決められてからは追いかける展開が続き、ファジーカスの“ラストダンス”は終わりを迎えた。
ファジーカス自身もフィールドゴール成功が14本中4本にとどまり、27分41秒のプレータイムで10得点8リバウンド5アシストの出来。「感傷的になるような試合でした。12年間のキャリアで何もかかっていない試合は初めてでした。いつもどおりの集中力があったかどうかを聞かれると、そこまで集中できていなかったと思います」と現役ラストマッチを振り返った。
2007年にNBAのダラス・マーベリックスでキャリアを始め、ベルギーやフランス、フィリピンのクラブなどを渡り歩き、2012年の来日から川崎一筋でプレー。2016-17シーズンのレギュラーシーズン最優秀選手賞をはじめ、ベスト5に4度、得点王とリバウンド王にそれぞれ1度輝くなど、Bリーグの歴史に名を残した。
ファジーカスの最後の有志を見届けようと、会場には4921人のファンが来場。試合後には横浜BCの河村勇輝から花束が贈られ、篠山竜青の言葉を受けて207センチ114キロの巨体は3度宙を舞った。
「篠山選手が自分を見て、『やる? 日本の文化なんだよ』と言ってきて。見たことはありましたが、自分が今日の試合後にやられるとは思わなかったので。あれが叶ったのも鎌田(裕也)選手のおかげです。彼の力強さがあったからこそ、僕が上がったと思うので。彼が大部分を支えてくれたので感謝しています。奥さんが動画を撮ってくれたので、一生の思い出として残っていくと思います」
最後は盛大な拍手を浴びてコートを去った。ファンの存在についても明かした。
「ファンなしでは成り立たないものです。彼らが応援する、声を出してくれることで、僕たちプレーヤーはその環境でプレーできることが楽しいと思えます。彼らが応援してくれることに価値があります。観客がいない環境でプレーするのと、観客が声援を送ってくれる環境でプレーするのでは、絶対にファンがいる体育館のほうがいいですし、楽しいと思えます。ファンの皆さんはそこまで理解していないかもしれないですけど、彼らの声援1つ、応援1つがバスケットボールを特別なものにしています。僕たちがプレーする意味だと思います」
「ここまでの道のりで、自分自身ができるすべてをやってきたと自負している」。「めちゃくちゃストイック」(佐藤賢次ヘッドコーチ)な38歳がキャリアを全うし、ユニフォームを脱いだ。
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