2023.12.23

「いつも大事な場面では私が」…安城学園の西田美咲が決勝シュートを決められた理由/ウインターカップ2023

残り5秒、安城学園の西田美咲(左)がシュートを決めて逆転! [写真]=バスケットボールキング
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 12月23日、「SoftBank ウインターカップ2023 令和5年度 第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会」が開幕。東京体育館とサブ会場となる武蔵野の森スポーツプラザの合計8面で午前9時から戦いの火蓋が切られた。

 武蔵野の森スポーツプラザの第1試合には鵬学園(石川県)と安城学園(愛知県)が登場。実力校同士の対戦は予想に違わぬ大接戦に。第3クォーターが終わった時点で71−68と安城学園が3点リードするも、勝負を決める最後の10分はリードチェンジを繰り返す、一進一退の展開となった。

 激しいつばぜり合いの中、試合時間は1分を切った。残り時間45秒、ゴール下で待ち構えるヌドゥブエゼ オニニエチ グレイスにパスが入り、ファウルを受けながらシュートを決めて、94−91と鵬学園がリードを広げる。すかさず、安城学園は三浦心愛が入れ替えして1点差に。さらに相手ボールを奪った安城学園は、残り5秒に西田美咲がドライブでリングに向かうと、待ち構えるグレイスの前でストップ、そしてレイアップを決めて95−94と逆転に成功した。

 その後、逆転を狙って鵬学園が攻撃するもミスが出る。最後はスローインのボールをその西田がしっかりとキャッチ、同時に試合終了のブザーが響いた。

 試合後、逆転勝利の立役者となった西田に話を聞くと、笑顔とともに逆転の場面を振り返ってくれた。

「いつも大事な場面は自分で行くことになっていたので、特別に緊張することはありませんでした。それに相手のセンター(グレイス)がファウルを4回していたので、攻めていこうと思いました。いつも練習しているプレーです」と、追い詰められた状況の中で冷静にプレーしていたことを明かした。

 センターの前できっちり止まれたこと、相手のファウルの数、試合の状況を的確に把握すること、普段行っているパターンで決めきる。文字にするのは簡単だが、そんなにきっちりとやりきれるものではない。

「試合の最後の場面、タイムアウトを取るチャンスもあったと思うのですが、先生(堀智美コーチ)がタイムアウトを取らずに私たちに任せてくれたのもうれしかったです。強豪の多い愛知県で揉まれているので、その経験も大きかったと思います」

 西田は力強く答えた。

「去年も2回戦で(大阪)薫英(女学院/大阪府)に敗れているので、組み合わせが決まった時点から『やるしかない』と思っていました。強いチームには気持ちで負けちゃいけないと思っているので、自分たちが一番だと思って挑戦します。去年の先輩たちは常に笑顔でプレーしてバスケットボールを楽しんでいたので、私たちも盛り上がっていきたいと思います」

 もちろん1回戦を突破しなければ大阪薫英と対戦することはできない。しかし、“打倒・大阪薫英”への思いは、激闘を制するパワーの源になったはず。明日は東京体育館で安城学園の笑顔が弾けるはずだ。

文=入江美紀雄

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