2024.06.15

関東大会初制覇の日本航空が全国ベスト8の目標に向けて着実に前進

フリーライター

「…感謝です。感謝しかありません。いろいろな人に支えてもらいました。でも、まだこれからです」

「第78回 関東高等学校女子バスケットボール選手権大会」(Aブロック)で初優勝を遂げた日本航空高校(山梨県)の蒲生壮扶コーチは、目をうるませ、時おり声を詰まらせながら優勝の喜びをかみしめた。

 一方、「関東新人大会(決勝)で負けていた相手だったし、昨年の関東大会でも負けていて、絶対に勝ちたい気持ちがあったので、勝ててうれしかったです!」と、とびきりの笑顔を見せたのはキャプテンの大柴沙和(3年)だ。

 6月8、9日に東京都で開催された関東大会。日本航空は、決勝で2月に敗れた相手、昭和学院(千葉県)と対戦した。今大会も前回同様に試合は接戦の様相となったが、終盤にシュートの決定力で勝ると、そのまま昭和学院を突き放し、最後は61-55でリベンジを果たした。

「守備の部分。決してオフェンシブなチームではないので、どこが相手でも(失点は)60点以内にする。とにかくきついこと頑張ろう、どんなに苦しくても守り続けようとやってきましたが、それをまさに実現してくれた選手たちなので本当に素晴らしく思います」と、蒲生コーチは、ディフェンスに重きを置いて臨んだ関東大会を振り返った。

 また、「留学生(ソエタン オニカンソラ シャデ)以外のところは高さがなくて、そこを攻められると分かっていたので、頑張ってそこを止めようという話をしていました」と、語った大柴。決勝では「自分が崩れたら(チームも)崩れるというのは分かっていたので、絶対にボールをなくさないという気持ちがありました。あと、苦しいときにシュートを決めることができたらチームとしても乗ると思ったので、そこも決めるぞという気持ちでシュートを打ちました」と、強気のプレーで16点。中でもドリブルワークを駆使して切れ込むドライブや大事な場面での3ポイントシュート、そして飛び込みリバウンドには目を見張るものがあった。リバウンドは実に16本を奪っている。

 この大柴を筆頭に、190センチのソエタン オニカンソラ シャデ、得点源の一人である藤井花(ともに3年)、そして2年生の末木わかと、昨年から主力が大きく変わらない今年。決勝戦ではここぞの場面でシュートを沈めた岩田莉奈︎(1年生)の存在も大きく、どこからでも得点可能な布陣でインサイド、アウトサイドとバランスの良い攻撃を仕掛けた。

日本航空の得点源の一人、ソエタン オニカンソラ シャデ [写真]=田島早苗


 大柴は昨年から今年にかけての取り組みに「声の部分、苦しいときに昨年は声が出ていなくて、そこで流れを持っていかれてたので、今年は苦しいときでも絶対に声出そうと言い、決勝はそれができたと思います」という。

 昨年は、関東大会や全国大会などで悔しい思いを重ねてきた。一方で、同校の男子バスケット部は昨年の関東大会を初優勝、そしてインターハイでは強豪たちを次々と倒して一気に頂点へと駆け上がった。偉業をいち早く達成した男子部に対して、女子部はプレッシャーも感じたのではないか? そんな問いに「プレッシャーがないといったらウソになりますよね。だけど、私たちのやるべきことをやろう。周りはあまり気にしないで、とにかく自分たちにフォーカスしてやってきました」と、蒲生コーチは言う。

 歓喜で終えた関東大会の次に控えるはインターハイ。まずは県予選をしっかりと突破してのことだが、「ファストプレイクのところがまだまだ出し続けられない。そこのメンタリティと、インサイドの部分の精度をしっかり上げていかないと。一つのシュートミスで流れが変わってしまうというのはこの大会で感じました」と、蒲生コーチは関東大会で得た課題を口にした。対して大柴も「ミスマッチのところはまだ止め切れていないので、ファウルをしないで止めるという練習をもっとしたいし、オフェンスは一つのプレーができなかったときに止まってしまうことが今回もあったので、そこを連続的に攻められるように、改善させてしていきたいです」と、次なる決戦に向けて意欲を見せていた。

文・写真=田島早苗