2019.08.24
8月22日、1万6211人が詰めかけたさいたまスーパーアリーナで「バスケットボール日本代表国際試合 International Basketball Games 2019」が行われ、男子日本代表(FIBAランキング48位)はアルゼンチン代表(同5位)を相手に最終スコア93-108で黒星を喫した。
試合後の記者会見で、フリオ・ラマスヘッドコーチが敗因として口にしたのは3ポイントシュート。アルゼンチンは試合全体で28本放って16本成功、成功率57.1パーセントという高確率でリングを射抜いた。
「アルゼンチンは今日の試合の入り方、締め方が完全に我々よりも上手でした。経験の差の部分もありますが、相手が決めた3ポイントの確率は57.1パーセント。そこが一番の負けた要因だと思っています」とラマスHC。
アルゼンチンはピック&ロールや流麗なボールムーブでディフェンスとのズレを生み出し、積極果敢に長距離砲をヒット。憎たらしいまでのコンビネーションを繰り出し、ショットを放つことができるタイミングでもノーマークのチームメートへエクストラパスを回して日本のディフェンス陣を崩していった。
この3ポイントについては、この日チームで3番目に多いプレータイムを記録した馬場雄大(17得点/アルバルク東京)が「3ポイントを決められてしまったディフェンス面で問題がありました」と語れば、チームトップの7アシストを残した篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)も「あれだけノーマークの3ポイントを打たれてしまうと、世界では勝てないと思います。1つのスクリーンや2つ目のスクリーンといったシンプルな部分でやられてしまいましたので、そこは修正していかなきゃいけない」と振り返っている。
とはいえ、この試合で13得点をマークした渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ)が「アルゼンチンを相手に戦えていた時間もありました」と会見で口にしたように、決してアルゼンチンの一方的な展開で試合が進んだわけではない。
日本は第2クォーター途中に17点ビハインドを背負うも、ゲームハイの23得点を挙げた八村塁(ワシントン・ウィザーズ)や15得点を残したニック・ファジーカス(川崎)、馬場らの踏ん張りで追い上げ、前半終了時には馬場の3ポイントプレーが決まって3点差へと縮めた。
そして第3クォーターにはゾーンディフェンスに切り替えて、個ではなくチームとして遂行したディフェンスが奏功。渡邊の3ポイントが効果的に決まって逆転しており、アルゼンチンからリードを奪ったことはこの試合における収穫の1つと言っていいはず。
だが徐々にアルゼンチンがゾーンディフェンスの突破口を開き、日本がマンツーマンのディフェンスに戻すと、再び高確率な3ポイントを沈めてリードを広げていった。
最終クォーターにも1ケタ点差のゲームを見せた日本だったが、八村や竹内譲次(A東京)が2本与えられたフリースローを1本しか決め切れない展開が続く。対するアルゼンチンは39歳の大ベテラン、ルイス・スコラ(20得点)が要所で3ポイントプレーを完遂するなど老かいなプレーでけん引。ファジーカスの3ポイントや八村のリング下などで日本が追い上げを見せる中、最後は15点差でアルゼンチンが制してみせた。
アルゼンチン代表のセルヒオ・サントス・エルナンデスHCはこの試合について「両チームとも多くの得点を奪い、何人かの選手たちがすばらしいプレーを見せた。でもディフェンスについては悪かったと思う。両チームとも、ワールドカップに向けて自分たちのディフェンスをやっていかないとね」とコメント。
スコラも「僕らはミスをたくさんしてしまったけど、それでも勝利することができた。だから僕らにはもっと勝利できるポテンシャルがあると思う。でも、ワールドカップの試合で相手に93得点も許してしまったら負けてしまうだろう」と気を引き締めている。
8月31日に幕を開ける「FIBAワールドカップ2019」(以降、W杯)に向けて、日本は24日にドイツ代表(同22位)、25日にはチュニジア代表(同51位)と戦い、W杯本戦に臨むこととなる。
「W杯では100得点前後のゲームは数試合しかないと思っています。アメリカ代表(同1位)やセルビア代表(同4位)の試合ではあるかもしれませんが、そのほかの試合では80得点前後の試合になると見ています。(相手に)80得点以上取られないようなチームになるべく、ディフェンスの修正に取り組んでいかないといけません」とラマスHCは言う。
3ポイントに対するディフェンスについても、ラマスHCは「もちろん3ポイントに対して、すべてコンテスト(手を伸ばして封じる)しないといけないという意識でディフェンスしています。ですが、W杯の相手はNBAやユーロリーグで活躍している選手たちばかりなので、決められるケースが今後もあると思います。その中で、できるだけ対処していきたい」と語っていた。
W杯本戦まで約1週間。ラマスHCは日本代表について「このチームはまだまだ限界にはたどり着いていませんので、ギリギリまで追い込みたい。オフェンスはある程度、完成度の高いものができており、まだまだ伸びると見ています。ディフェンスはどれだけ完成度を高めていけるか。1週間後にはわかると思います」と今後に期待を抱かせた。
現在、W杯に出場する各チームが本戦に向けてエキシビジョンゲームをこなしている。その中で、手の内をすべて見せているということはないだろうが、チームごとに課題や修正すべき点は出てきており、残り約1週間で各チームがどこまで調整できるかがポイントとなる。
ラマスHCが指揮する日本代表は、この短期間にどれだけチームとして向上することができるのか。まずは24日のドイツ代表戦を楽しみに待ちたいところだ。
文=秋山裕之
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