2019.08.21
8月14日にカルッツかわさきで「バスケットボール日本代表国際試合 International Basketball Warm-up Game 2019」が行われ、男子日本代表(FIBAランキング48位)がニュージーランド代表(同38位)と対戦。試合は前半に61点を挙げたニュージーランドが、後半に8点差まで詰め寄った日本を振り切り104-87で勝利した。
当初、8月2日の名古屋合宿で右足を負傷した渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ)を同12、14日のニュージーランド戦に出場させる予定はなかったが、この日、渡邊がスターターで登場。八村塁(ワシントン・ウィザーズ)、ニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)と一緒にコートに立つという多くのファンが待ち望んでいたシーンが見られたこの試合だが、現在の日本代表の課題が浮き彫りになったと言ってもいいだろう。
親善試合ということで、いわゆる“ガチンコ勝負”の公式戦ではない。試験的な選手起用であったり、戦術面についても本番のワールドカップに向けて、すべてを出して行う必要もないだろう。試合の映像が配信されているだけに、スカウティング対策も疎かにはできない。
特にオフェンスに関してはこの2試合で評価をすることは難しい。これまでもいい意味でラマスHCにはだまされてきただけに、ワールドカップの本番に向けて準備しているものを出しているとは思えないからだ。
とはいえ、ディフェンスに関しては大いに問題ありと言えるだろう。12日、千葉ポートアリーナで行われた初戦では、来日間近ということもあり、どこか動きに切れがなかったニュージーランドだが、この日は試合開始から全開。アップテンポな試合運びの中、特に大量リードを奪った前半、コーリー・ウェブスター、トム・アバークロンビー、ロブ・ロウが高確率でシュートを決めた。チーム全体で2Pシュートの確率が73.9%、3Pが42.1%と高い数字を示し、日本を大きく引き離した。
試合後、ニュージーランドのポール・ヘナーレヘッドコーチは「第1戦(12日)からコンディションが上がったわけではない。その日も今日も体調は問題なかった。ただ、今日の方が、シュートが入ったのは事実だね」と、笑顔で試合を振り返った。体調面についてはハナーレHCに賛同できないが、シュートが入ったのは事実。12日のフィールドゴール成功率が43.7%だったのに対し、第2戦では48.1%だ。さらにシュートの本数でも初戦が71本だったのに対し、81本とシュートの試投数も増えており、それだけ積極的に攻撃を仕掛けていたことがわかる。
日本にとって問題はシュートの打たれ方だ。ニュージーランドのガード陣がスピードに乗って切り込み、コーナーで待つシューターにキックアウトすると、チェックが遅れノーマークになるシーンが度々あった。また、2対2の状況で、スクリーナーがアウトサイドにポップアウトすると、それにディフェンスがついていけずフリーになることもしばしば。このような状況をラマスHCは「一番の問題はディフェンス」と言及。「細かく言えば、トランジションに対するディフェンス、ピック&ロールに対するディフェンス、スクリーンに対するディフェンス、これらは改善しないといけない」と課題を口にした。
ケガから復帰も10分49秒の出場時間にとどまった渡邊は、勝利したものの初戦のディフェンスが気になっていたという。「前回、勝ちはしましたが35本も3Pを打たれていたので、守備に問題があると感じていました。今日は相手のシュート確率が上がったことで、このような展開になってしまう。ニュージーランドは強い相手です。そのような相手にこのような試合をしてしまっては、ワールドカップでは1つも勝てないと思います」と、反省の弁を述べた。
しかし、本番まで十分時間はある。ラマスHCはニュージーランドの2試合を総括して「オフェンスはよかったと思う」と語った。「あとは細かい点を修正すればいい」と、順調に準備が進んでいることを強調した。
八村は「2試合で得たものを今後につなげたい。もう1回ディフェンスの部分を確認したい」と手ごたえを語るとともに、今後の課題も語った。
男子日本代表は、8月22日、アルゼンチンと対戦する。改めて言うまでもなく過去にはオリンピックで金メダルを獲得したことがあり、FIBAランキング5位の世界的な強豪だ。その対戦でどんな課題を見つけ、そして手ごたえを感じるのか!? ワールドカップに向けて着実に歩を進めていく。
文=入江美紀雄
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