2019.09.01
バスケットボール日本代表として活躍し、引退後は古巣の熊谷組、大和証券、日立(現サンロッカーズ渋谷)、日本代表などでヘッドコーチを歴任。現在は早稲田大学スポーツ科学学術院教授を務める倉石平氏に、「FIBAバスケットボールワールドカップ2019」で日本代表と戦う対戦国について話をうかがった。倉石氏は1次ラウンド同組に入ったトルコ、チェコ、アメリカをどう見ているのか。そして、日本はどう勝機を見出すべきなのか。独自の見解を聞いた。
インタビュー・構成=小沼克年
トルコは現在、元NBA選手のヒディヤット・ターコグルが協会の会長を務めていて、世代交代の最中。国内リーグも盛んでヨーロッパでもトップの国になろうとしています。代表チームは32歳のエルサン・イルヤソバ(208センチ)と33歳のセミー・エルデン(210センチ)という経験豊富なベテラン勢に、ジェド・オスマン(23歳/200センチ)らの力のある若手が加わっています。この3人が特に警戒しなければいけない選手ですね。また、2018年にアメリカから帰化したスコッティ・ウィルベキンというポイントガードもいます。
エルデンを筆頭にインサイド陣は大型で動けますし、中に気を取られているとイルヤソバやオスマンが外からどんどんシュートを放ってきます。日本は、強化試合でみせたようなゾーンとマンツーマンを併用したチェンジングDFで相手にリズムを与えないことが重要になると考えます。
高さでは劣りますが、スピードの部分では日本に分があると思うので、速い展開を仕掛けてまずは先手必勝を狙うべきです。主導権を握るというより、渡さない。格上のトルコですが若手が多いですし、ベテランでもやっぱり初戦は緊張します。日本は試合の入り方に注力して、できればリードしたまま試合を進めたいですね。
トルコの試合をチェックしていて怖いのは、ゾーンプレスとゾーンディフェンスを仕掛けてくるところです。きっと日本戦でもどこかで仕掛けてくるでしょう。それを踏まえて、私がこの試合のカギになると思っているのは、篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)、安藤誓哉(アルバルク東京)らのガード陣。それと田中大貴(アルバルク東京)、比江島慎(宇都宮ブレックス)のボールキャリアー組ですね。
スピードで対応できればいいですけど、190センチから2メートルくらいの選手たちがダブルチームを仕掛けてくるので、上から蓋をされるようなものです。もし突破できなくても、最悪8秒バイオレーションならプレーが止まるので、まだ許せます。でも、スティールされてそのまま連続失点するようでは確実にペースを握られてしまいます。逆にそれをクリアできれば、やりあえる可能性もあると思っています。
あと、もう1つ気にしなきゃいけないのはリバウンド。トルコは外のシュートが多いチームなので、リバウンドを取れるかどうかもポイントです。オフェンスリバウンドを取られてしまっては、たとえ外れたとしても“パス”と同じなので。ニック・ファジーカス(川崎)は得点面というより、しっかりとディフェンスリバウンドを取ってチームに貢献するべきだと思います。
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