2019.09.02

トルコに完敗も大会は続く。次戦のチェコで欧州勢初勝利を目指す

「一つひとつ学んで成長していきたいです」と記者会見で語った渡邊雄太 [写真]=Getty Images
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 9月1日、「FIBAバスケットボールワールドカップ2019」は大会2日目を迎え、男子日本代表(FIBAランキング48位)がトルコ代表(同17位)と対戦した。この試合、出だしで一気にリードを広げたトルコがその後も試合をコントロール。日本は必死に自分たちのリズムを取り戻そうとトライしたが、思うようにプレーすることができず、結局67-86のスコアで敗れた。

 いきなり世界の、そして本気のバスケの洗礼を受けてしまったと言っていいだろう。敗因は何といっても試合の入りだった。しかもそこでトルコは日本に対して万全の対策を練ってきていた。

 試合後、メディア対応を行ったフリオ・ラマスヘッドコーチは「トルコが私たちよりも良い試合をしました。フィジカル的にも自分たちよりも良いプレーをされたこと」と敗因に言及。スタート5に名前を連ねた比江島慎宇都宮ブレックス)は、「明らかに今までやって来た(八村)塁(ワシントン・ウィザーズ)を中心に攻める部分を、相手は封じてきたところもあり、最初は戸惑いを感じてしまいました。そこがうまく行っていれば、もう少し楽な展開になったのではないかと思います」と悔しがった。

 問題の第1クォーター、トルコは八村とマッチアップする選手だけでなく、2人、3人と徹底マーク。さらにトルコの当たりの強いディフェンスに後手を踏んだ日本はミスを連発させる。この機に乗じて得点源の1人、ジェディ・オスマンが続けざまに速攻を決めてペースをつかむことに成功。攻め手を緩めないトルコは日本が2-3のゾーンディフェンスを繰り出したタイミングでメリー・マームトーウルが3Pシュートを決める(マームトーウルはこのクォーターだけで9得点)。さらに中盤から気を吐いたのがエルサン・イリヤソヴァだ。ピック&ロールから少しでもディフェンスがスペースを与えるとジャンプシュートや3Pシュートを次々と決めて、シュートの精度の高さを見せつけた。

トルコは八村塁を徹底マーク。思い通りにプレーをさせなかった [写真]=Getty Images

 出だしの重要性はラマスHCが常々口を酸っぱくして指摘していた部分であり、選手たちもそれは重々わかっていたはずだ。しかし、8月の国際親善試合、川崎で行われたニューランドとの第2戦(非公開の練習試合)とアルゼンチン戦でも見られたように、この課題を克服できぬまま、大会に入ったと言ってもいいかもしれない。結果がそれを物語っている。

 渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ)は「彼ら(トルコ)の方が我々よりも良い試合をしたということだけです。今日の試合は我々がやるべきことを出すことができませんでした。それでも良い経験であり、我々はまだまだ若いので一つひとつ学んで成長していきたいです」と前を向いた。

「反省しなければいけないことはたくさんありますが、もう切り替えるしかありません。次の試合はやってきます。この経験を次に生かしたい」と語ったのは馬場雄大アルバルク東京)。当初馬場の表情は暗いものだったが、最後は自分に言い聞かせるように次戦での活躍を誓っていた。

 ラマスHCは記者会見の後の囲み会見で、「相手も大きくリードしてゲームをコントロールしてしまい、我々がリズムをつかむことができませんでした。自分は言い訳が好きではないですが、これを教訓として学んで次の試合に臨みたいと思います」と前を向いた。

 そのラマスHCが今大会の目標にあげていたのが「日本初のヨーロッパ勢からの勝利」。9月3日に対戦するのがチェコだ。そのチャンスはまだ残されている。

文=入江美紀雄

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