2019.09.07
FIBAワールドカップは9月6日から2次ラウンドと17-32位決定ラウンドがスタートした。13年ぶりに世界の舞台にコマを進めた男子日本代表は、1次ラウンドを3戦3敗といまだ勝ち星をあげることができず、東莞でグループF3位のニュージーランドと4位のモンテネグロと対戦することになった。
日本国内で行われた国際親善試合でワールドカップ出場国と対等に試合ができるという手ごたえは確かにあった。しかし、本気の戦いとは何かを初戦のトルコ戦で味わうこととなる。FIBAランキング17位のトルコは同48位と格下の日本に対しても準備は怠ってなかった。試合の出だしからエースの八村塁を徹底マークしたトルコは、ディフェンスからリズムをつかみ、終始日本にペースを与えず大切な大会の1戦目を勝利した。
試合後、比江島慎は「明らかに今までやってきた塁中心の攻めを相手は封じてきて、最初は戸惑いを感じました」と振り返る。さらに、「出だしから(フルパワーで)行かないといけない。自分たちが先にミスをしてしまったことは論外です。先に主導権を握らなければいけなかったのに」と悔しがった。
初戦の反省を生かして、臨んだのが2試合目のチェコ戦だ。第1クォーターにはチェコに先行を許すものの、そこで我慢してついていき、18-18のタイスコアでこのクォーターを終えた。第2クォーターもしぶとく突いていったが、試合の流れを持っていかれたのが第3クォーター。つまらないミスを繰り返す日本に対して、チェコはヴォイチェフ・フルバン、ブレイク・シルブのシューター陣がアウトサイドだけでなく、そこからのインサイドへの切り込みを見せ確実に加点。じりじりと日本を引き離して大会初勝利をつかんだ。
「試合の入りは前回よりも良く、自分たちのプラン通りにずっと相手について行こうと決めていたので、それが前半終わるまではできていたと思います」と試合後のメディア対応で語ったのは田中大貴。リードを奪われた後半については、「スクリーンをしっかりかけられなかったり、細かいところでズレが作れなかったり、そこから苦しいショットになりました。そのような部分で相手は40分間しっかりスクリーンが当たってきますし、それがボディブローのように試合を通してやられたらダメージになりました」と分析した。
2連敗で迎えたアメリカ戦、日本は2次ラウンドへの道が閉ざされただけに、ただ試合をするだけでなく、何か収穫を得たいところだ。だが、NBA軍団は容赦しない。プレッシャーの高い激しいディフェンスを見せ、日本に得点を許さない。渡邊雄太が2本のフリースローを決めた時にはティップオフから4分が過ぎていた。その間にアメリカは13得点をあげゲームを掌握。第2クォーターにはこの日18得点をゲットした馬場雄大が連続得点を上げるなどして、日本がペースをつかんだかに思えたが、アメリカのグレッグ・ポポビッチヘッドコーチは確実にタイムアウトを請求して試合の流れを切るという丁寧は試合運びも見せた。
途中出場した竹内公輔は「全てにおいて上回れていましたが、常にコンタクトし続けることが世界と戦うには必要だということが分かっていても、止められなかったです」と試合後振り返った。「ワンプレー、ワンプレーに懸けているというか、向こうのビッグマンですら激しいディナイをしてきて、そういったディフェンスの圧を40分間感じました。点差が空いても全力で来て、全てにおいて圧が全然違ったと思います。その圧に対して、自分たちも少しずつでも慣れていかなければならないし、コンタクトの大事さが分かったので、順位決定戦ではもっとそこを徹底していきたいです」と、前を向いた。
振り返れば、2006年、日本で行われた世界選手権(現ワールドカップ)、1998年、自力で出場を決めたギリシャ開催の世界選手権でも国際大会での経験、高さやフィジカルの強さへの対策が必要と口にする選手が多かった。今大会でも同様の反省点をあげる選手が少なくなく、13年ぶりの世界の舞台でも修正はなされていない。やはり毎回のようにワールドカップ、オリンピックに出場して“本気の勝負”を経験していなかければ、この課題は克服できないのだろうか!?
だったらこれを生かす機会が来年東京オリンピックに控えている日本だけに、残り2試合はおろそかにできない。エースの八村塁、司令塔の篠山竜青の離脱は厳しいが、ニュージーランド、モンテネグロに向かっていくしかない。勝敗はもちろんのこと、試合内容にもこだわってほしい。
文=入江美紀雄
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