2024.07.09
16得点4アシスト――。日本代表が怒とうの追い上げを見せたラスト10分、1万3千人を超える観衆は河村勇輝のプレーに酔いしれた。
第4クォーター最初のディフェンスでスティールを奪って速攻につなげ、相手に3ポイントシュートを決められた直後にはすぐさまゴール下に切り込んでバスケットカウントを奪い、負けじと3点で返した。
中盤にはペイントアタックからノーマークの味方にパスをさばき、3ポイントを2本連続でお膳立て。河村自身も2本の長距離砲を沈めた。ルーズボール争いでは全力疾走から体を投げ出し、相手の得点チャンスを防いだプレーにも鬼気迫るものがあった。
20点あったビハインドが、みるみるうちに縮まる。同点で迎えた試合終了残り37秒、獲得したフリースローを2本とも決め、ついに逆転に成功した。
7月6日、有明アリーナで行われた男子日本代表と韓国代表による「SoftBank CUP 2024(東京大会)」。日本は第3クォーターまでに52-72と大きく離されたが、第4クォーターに入ると強度の高いディフェンスを披露して13失点に抑え、攻めては一挙32得点を積み上げた。
その中心にいたのが172センチのポイントガードだった。この試合で計23得点6アシストの活躍で日本を引っ張った背番号5は、冒頭に記したスタッツを第4クォーターだけでマーク。だが、“河村劇場”のクライマックスはシナリオを描いたような締めくくりとはならず、大事な場面でのフリースロー失敗もあり、残り5秒に大逆転勝利を狙った3ポイントはリングに嫌われた。84-85。猛追及ばず、試合終了を告げるブザーが鳴った。
12名の代表メンバー選考を踏まえているものの、これで日本はパリオリンピックを見据えた強化試合で3試合勝利なし。北海道で行われたオーストラリアとの2連戦から気持ちを切り替えて東京に移った。しかし、今回は第1クォーターで主導権を握れず、大半の時間帯でチグハグさが目立った。
「うん……、いや、まあ、このゲームはウチの(やりたい)プレーが足りなかった」
試合後、記者会見で話を切り出したトム・ホーバスヘッドコーチも歯切れが悪い。指揮官とともに会見場に現れたのは河村。日本の司令塔は、こう試合を振り返った。
「オーストラリア戦では2試合とも勝つことができず、この韓国戦は北海道で出た課題を合宿で修正して臨みました。もちろん自信もありましたし、 勝たなければいけない試合だったと思います。相手は若手中心の韓国でしたけど、リバウンドでも負けていますし、試合の入り方も相手の方がエネルギーがすごく、自分たちのやりたいバスケットをしていました」
河村は、今や先発ポイントガードを担う存在である。チーム全体がいいリズムで試合に入れるかどうかは、河村のゲームメイクやリーダーシップにかかっていると言っても過言ではない。
韓国戦では立ち上がりから意表を突いたピンポイントパスで会場をどよめかせたが、 「前半はプレーコールがうまくいかなかったです。相手のディフェンスもすごくハードで、オフボールでもスイッチディフェンスで対応してきたので、常に自分がボールを持たされていた状況でした」と河村。最後の10分間は「守らないと自分たちの流れが作れない」と、まずは守備の意識を高めた。オフェンスでは速い攻めとボールムーブ、ペイントアタックすることを心掛けたと明かし、前半のパフォーマンスを修正できたことが追い上げにつながったと話した。
「トムさんも言われていましたけど、本当にあってはならない試合をしてしまったなと思います。 ただ、この試合から学ばなければ本当に無駄になってしまう」
国内でのテストマッチは残り1試合。「危機感を持ってやらないといけない」とも口にした河村勇輝は、敗戦から何を学んだのか。その答えは、7日の有明アリーナで表現してくれるはずだ。
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