2025.03.23

シーズン最終盤を迎えた河村勇輝を直撃…「今の自分にできることを最大限発揮して成長したい」

NBA、Gリーグと忙しいシーズンを過ごす河村勇輝に話を聞いた [写真]=Getty Images
ロサンゼルス在住ライター

 3月22日(現地時間3月21日)、アリゾナ州テンピでフェニックス・サンズ傘下のバレー・サンズと対戦していたメンフィス・ハッスル河村勇輝は、第3クォーターを終えた時点でフィールドゴール0/4(3P0/3)の無得点、アシスト、リバウンド、スティールもゼロで、スタッツシートについていた唯一の数字は3ターンオーバーと苦しんでいた。チームも試合開始から離されて1度もリードせぬまま最大26点差をつけられるなど、同クォーターを終えた時点で91−110と19点差となっていた。

 Gリーグのシーズン残り試合が片手で足りるほどの数となり、プレーオフ進出に向けて気が抜けない試合が続いていた。前戦の同じカードでは1点差で競り勝ったハッスルだったが、この日は河村の不調も手伝って、相手に優位に試合は進んだ。

 だが、TCスワ―スキーヘッドコーチの「勇輝は己に厳しい選手。真のプロフェッショナルであり、一つのプレーを次のプレーに影響させるようなことはしない。彼は常にプレーする準備ができており、常に最善を尽くす」との信頼は変わらない。

 第4クォーターのスタートからコートに立った河村は、2本の3Pを成功させるなど、約4分半で6得点2アシスト1スティールをマーク。7点差まで追い上げたハッスルを引率した。

 最終的に痛い敗戦を喫したが、この試合は「プレッシャーが自分を強くしてくれる」と話す河村が、試合の最中に直面した壁を乗り越えた一例となった。

 同試合後、残り少なくなったシーズンや、今自らが感じている課題などについて河村に聞いた。
※ハッスルはこの試合の翌日、23日(同22日)にプレーオフ戦線から外れた

インタビュー・文=山脇明子

目の前に現れる壁を「しっかりと乗り越えていきたい」

――今ハッスルでは、プレーオフの出場権を争って気が抜けない試合が続いています。
河村 (この日のサンズ戦を含めて)残り5試合を全部勝たないといけないというところで今日負けてしまって、プレーオフに進出するには自分たちがコントロールできない、他のチームの結果によっていけるかどうかが変わってしまう状態です。自分たちでコントロールできなくなったのは少し苦しいんですけど、残り4試合をしっかりと全勝することが、自分たちがコントロールできる部分だと思うので、そのために全力を尽くしたいと思います。

――今日の試合から2カ所の遠征試合を含めて、レギュラーシーズン最終試合まで9日間で5試合行われます。プレーオフに向けて切羽詰まった厳しい状況の中でプレーするというのは、河村選手自体は結構好きなタイプに見えますが。
河村 プレッシャーを感じながらプレーするっていうのは、そうですね。いろんな形でプレッシャーってあると思いますけど、やっぱりプレッシャーが自分を強くしてくれると思うし、その一つのプレッシャーがこのプレーオフにいくために全勝しないといけないっていう、それは本当に自分にとってすごく成長できるいい機会だと思ってます。

――今日は第3クォーターまで、河村選手には珍しく、得点もアシストもリバウンドもつきませんでした。でも第4クォーターになって存在感を見せつけ、チームの追い上げに貢献しました。
河村 僕の強みはピック&ロールですが、このチームはピック&ロールを多く使うチームではないので。たまにチームとして、ピック&ロールをする機会があるんですけど、そのときはだいたい僕じゃなくて、グリズリーズから来ているGG(・ジャクソン)に与えられたり、スターターのDJ・スチュワードにプレーをコールすることが多いので、今はどちらかというとシューターよりのポジションになっています。そのため、なかなか自分でリズムを作りづらいというのはあるんですけど、じゃあ本当に自分がNBAを目指していく上で、ボールを多く持たせてくれるチームがNBAであるかと言えば、そこまで多くはないと思います。だから今自分に与えられているこういったシューターみたいな形だったり、たまにボールを持った時にチームをクリエイトするというところは、自分が乗り越えなければいけない課題なのかなって。いい挑戦になると思います。

 第3クォーターまでのようにボールを持つ時間が多くなくて、シューターとしての役割でシュートが入らないとなると、ああいった結果になるのかなというのは思っています。第4クォーターは、ポイントガードが僕しかコートにいなかったので、そうなるとピック&ロールを多く使えるというのが自分のリズムを取り戻せた一つの要因でした。

 でもこれは本当にすごくいい壁ですし、しっかり乗り越えていきたいです。

――この1シーズン、いろんな壁にぶつかって、どうやって乗り越えるかということを考えながらやってきたと思いますが、シーズンがスタートした時の自分と今の自分とどれくらい違いますか?
河村 いろんなところが成長していると思います。上手くいかないことも多くて、ちょっと苦しい時ももちろんありますけど、でもそういったプレッシャーを感じにここに来たので。

 まだ1年目ですが、結果を残さないといけないという現状がある中で、今自分に与えられている課題を一つ一つ、1試合1試合クリアしていければと思っています。

様々な壁が立ちふさがるが「しっかりと乗り越えていきたい」と河村 [写真]=山脇明子

――河村選手は国際試合でプレーして自らの力を証明し、そこから今この場にいるわけですが、NBAGリーグと国際試合は、河村選手にとってどのように違いますか?
河村 まずは笛が全然違いますし、ルールもスリーポイントラインもコートの長さもレフリーの基準も全く違うので、そういった意味では、別スポーツまではいかなくても、全然違います。その中で、特に国際大会、日本代表だと僕が中心としてピック&ロールを作れる、ボールを多く保持した中で自分のリズムを作って、それでチームに勢いを与えることができます。こっちでは、まずメンフィスのバスケット自体がピック&ロールをあまり使わなくて、その中で今はシューターみたいな役割をしているというところで全く自分の役割が違うので、そういった意味ではすごくいい挑戦です。

――日本代表では渡邊雄太選手(千葉ジェッツ)とチームメートとしてプレーしていますが、グリズリーズにも所属していた渡邊選手と話したりということはあるのでしょうか?
河村 いや、なんか恐れ多いというか。雄太さんも千葉ジェッツで、日本で1年目として笛の感じとか、Bリーグに慣れるために時間を必要だとしているので、なんか恐れ多くて僕は連絡できてないです。契約したときは「おめでとう」と連絡をいただきました。

――Gリーグのレギュラーシーズンがあと1週間、NBAの方はあと3週間あまりとなりました。
河村 本当に今できる、自分が感じている課題にとにかく1試合1試合取り組みながら成長したいと思いますし、1日1日を無駄にせずに今の自分にできることを最大限発揮して成長したいです。

河村はシーズン最終盤を迎えても成長を止めようとしない [写真]=Getty Images

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