2021.12.12

“ポジティブ思考”で臨んだ東京医療保健大学がインカレ5連覇を達成

優勝の瞬間、仲間のもとへ駆け寄る東京医療保健大の選手たち [写真]=田島早苗
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 12月11日、「第73回全日本バスケットボール選手権大会」の女子決勝が行われ、東京医療保健大学が白鷗大学を下して、大会5連覇を達成した。

「(東京医療保健大の)インサイドを意識し過ぎて3ポイントシュートをやられてしまった。出だしで後手を踏んでしまいました」と白鷗大学の佐藤智信監督が振り返るように、第1クォーターで効果的にシュートを沈めた東京医療保健大が23-8と先行。第2クォーターでは白鷗大に詰められたものの、前半は37-27と東京医療保健大が10点リードして終えた。

 後半、追いかける白鷗大は、序盤に鈴置彩夏(3年)のシュートなどで点差を1ケタにし、反撃の糸口をつかもうとする。だが、東京医療保健大は、要所で3ポイントシュートがさく裂。第4クォーターでも山下詩織(4年)、オコンクゥオ スーザン アマカ(1年)らで追い掛ける白鷗大に対し、岡本美優(2年)、林真帆(2年)らが3ポイントシュートを決めて、追随を許さない。第4クォーターでも木村亜美(4年)がパスにシュートにと小気味よく攻めて、最後は88‐67で勝利した。

白鷗大を引っ張った4年生の山下詩織(右) [写真]=田島早苗


「今シーズンの最高の試合だったと思います。常にポジティブな気持ちで、自分の内側から出るエネルギーでプレーするということを表現できました」と、東京医療保健大の恩塚亨監督は、記者会見の席で優勝の喜びをこう語った。

 試合では追い上げられる場面が幾度となくあったが、「追い上げられた場面でも、私たちはポジティブな言葉の投げかけながらプレーすることができまた」とキャプテンの木村亜美(4年)は言う。だからであろう、「苦しい状況でもキャプテンがポジティブに声掛けをしている。(選手たちの)闘争心、エネルギーも落ちていなかった」(恩塚監督)ことから、後半はタイムアウトを取ることなく、勝負をコート上の選手たちにゆだねた。

 5連覇にも、「自分たちのミッション、何のためにバスケットをしているのかを定めて、そのビジョンに対して焦点を合わせたことで雑念がなくなった」と、プレッシャーは感じていなかったという恩塚監督。選手たちも同様で、「楽しくできた」と口をそろえ、試合中では笑顔が多く見られた。

 恩塚監督は、東京オリンピック後に女子日本代表のヘッドコーチに就任。東京医療保健大の指揮官としては、これが最後のインカレとなった。

「自分たちから湧いて出るエネルギーで頑張れることを証明できれば、日本のバスケットを変えられるのではないか」。そんな思いを持ちながらチームを作り上げてきた。最後に、新たなステージへと向かう指揮官に“大学バスケ”の魅力を聞くと、こんなエピソードを語ってくれた。

「今日、試合直前のロッカールームで、学生たちが今までの感謝というか、自分たちがやってきたことを確かめ合っていました。(選手たちが)誇りを持って“旅立つ”姿を見て、本当に素晴らしい瞬間だなと思っていたら、隣にいた学生スタッフが『インカレ最高ですね』と言ったんです。成長の度合いやそれを実感すること。また、自分自身が持っている限られた時間の中でその時間や命を使い切ろうとすることが、色濃く出るのが大学のバスケットかなと感じました。(ロッカールームのシーンには)涙が出そうでした」

 主力に下級生も多い東京医療保健大。新たなチームがスタートしても指揮官や4年生たちの思いは、3年生以下に引き継がれていくだろう。

文=田島早苗

5年連続5回目の優勝を飾った東京医療保健大学 [写真提供]=全日本大学バスケットボール連盟


【最終順位】
優勝 東京医療保健大学
準優勝 白鷗大学
3位   早稲田大学
4位   愛知学泉大学

【個人賞】
最優秀選手賞 木村亜美(東京医療保健大学4年)
敢闘賞    鈴置彩夏(白鷗大学3年)
優秀選手賞  ジョシュア ンフォノボ テミトペ(東京医療保健大学3年)
       池松美波(東京医療保健大学2年)
       山下詩織(白鷗大学4年)
       江村優有(早稲田大学1年)
       石原柚香(愛知学泉大学4年)
得点王    フェスタ―ガード ヤヤ(早稲田大学2年)
3ポイント王  江村優有(早稲田大学1年)
       鬼塚彩乃(愛知学泉大学4年)
アシスト王  石原柚香(愛知学泉大学4年)
リバウンド王 オコンクウォ スーザン アマカ(白鷗大1年)

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