2023.04.03

QF敗退にもシーズンを通して「層が厚くなった理由」を語った富士通の町田瑠唯

WNBAから帰国してすぐに開幕と、町田にとっても初体験のシーズンが終了した [写真]=Wリーグ
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 4月2日、「第24回Wリーグのプレーオフ」クォーターファイナル2試合が行われ、ベスト4進出チームが決定した。

 クォーターファイナルの第1試合は、昨シーズンのセミファイナルと同カードとなったENEOSサンフラワーズと富士通レッドウェーブとの一戦。試合は、出だしに好スタートを切ったENEOSが開始約6分半で17ー4とする。だが、追いかける富士通も「私たちのオフェンスとディフェンスは、第1ォーター以外は今シーズン通りにできたと思います」とBTテーブスヘッドコーチが言うように、9点ビハインドで迎えた第2クォーターからは互角の展開を演じる。後半出だしには町田瑠唯の3ポイントシュートや内尾聡菜の速攻などで2点差に詰めてENEOSを捉えることに成功した。しかし、その後はインサイドを起点に攻め込むENEOSを抑えることができず。江良萌香の3ポイントシュートなどで終盤まで追い上げたものの、一歩及ばず、69ー76で敗れた。

「1クォーターの出だしに、やられたくないところ、(相手に)3ポイントシュートを決められたところからスタートしてしまいました。ディフェンスのリズムが良くなくて、オフェンスでも少しあたふたとして、状況判断の悪いシュートセレクトになってしまいました」

 試合後、後手に回ることになった序盤の戦いを振り返ったのは富士通の司令塔である町田。「ガードとしても、(ディフェンスを)崩して良いシュートチャンスを作るなど、もう少しやり方があったんだろうなという自分自身の反省があります」とも語った。

 町田は、準優勝となった昨シーズン、ファイナルでの戦いを終えると息つく暇もなく渡米しWNBAでプレー。そしてWNBAの1年目のシーズンを終えると9月に帰国し、10月のWリーグの開幕に備えた。そのため、「私自身チームへの合流が少し遅れ、(昨シーズンをもって)引退した選手が多い中で、なかなか合わせる時間がありませんでした」という。それでも、「お互いにしっかりコミュニケーションを取ってやってきたので、シーズン通して、昨シーズンまでは一緒に出ることが少なかった選手たちとも息があってきたというか、何をしたいかも理解できたので、そこは今後にプラスになると思いました」とも語り、シーズンを通して手応えや収穫も感じたようだった。

 引退や移籍、さらには新戦力の加入で大きくメンバー構成が変わった富士通。とりわけ町田と長年コンビを組んでチームを支えた篠崎澪の引退は少なからず大きな影響を与えただろう。その中で、今シーズンはケガにも泣かされたシーズンでもあった。それでも町田は、「本当に今シーズンはケガ人が多くて苦しいシーズンでもあったのですが、その分、次に出てくる選手がステップアップしてくれて、チームに貢献してくれました。そこはチームの層が厚くなった理由だと思います」と力強く発する。

苦しいシーズンではあったが、チームの層が厚くなったと手応えも口にした [写真]=Wリーグ


 その中でポイントガードとしては「自分の中では一緒に出る選手については、特長やどういうプレーが好きなのかは理解してるので、その選手たちが気持ちよくプレーできるようなプラン、リズムを作ること」を意識しながら戦っていたと語ってくれた。

 セミクォーターファイナルの日立ハイテククーガーズ戦では24得点10リバウンド14アシストのトリプルダブル。そしてENEOSとのクォーターファイナルでは22得点。プレーオフでもチャンスと見れば、自らがすかさずシュートを狙っていった。振り返れば決して楽なシーズンではなかったが、どんなときでも富士通のリーダーとして、町田は最後まで下を向くことなく戦い抜いた。

取材・文=田島早苗

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