2024.01.12

日本をけん引する司令塔の宮崎早織…吉田の加入に刺激を受け五輪への決意を新たに

「40分間走り続けるというのが日本のバスケットの強み」と語った宮崎 [写真]=田島早苗
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

「とっても楽しいですね。久しぶりに一緒で、懐かしいなって思いながらやらせていただいています」

 約4年ぶりの日本代表活動参加となった吉田亜沙美(アイシンウィングス)についてこう語ったのは宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)。2人はかつてENEOSでともに日本一を目指したチームメートで、宮崎がENEOSに入団したときにはすでにENEOSでも日本代表でも吉田は中心選手を担っていた。年齢は8つ離れているものの、宮崎にとっては仲良くもあり、師とも仰ぐ先輩である。

 その吉田は今シーズンよりアイシンにて現役復帰を果たし、試合を重ねるごとに調子を上げている。2016年のリオオリンピックなど、日本代表でも数え切れないほどの国際大会での経験があり、今回はそのキャリアも買われての日本代表候補入りとなった。

 1月11日、『FIBA女子オリンピック世界最終予選(OQT)』(2月上旬にハンガリーにて開催)に臨むバスケットボール女子日本代表の第5次強化合宿が公開され、そこには吉田、宮崎ともに元気な姿が見られた。

 吉田の復帰ににこやかな表情を浮かべる宮崎だが、同じポイントガードということはメンバー入りを争うライバルが増えたということでもある。しかし、宮崎からはこのような言葉が聞かれた。

「(ポジション争いでの)焦りは全然ないです。私が日本代表に入って3年ぐらい。いろいろな経験をさせてもらっているというのもあるし、やっぱり私の中でリュウさん(吉田)はまだまだ見習うところがたくさんある選手で、それはリュウさんだけはなく、ルイさん(町田瑠唯/富士通レッドウェーブ)もそうですし、ほかの若い選手も同じです。誰と比べるというより、自分自身がやるべきことをしっかりやって、メンバーに入れたらいいなと思っています」

 銀メダルを獲得した東京オリンピック以降、アジアカップやワールドカップと国際大会で主軸を担ってきた宮崎。そこで得た自信もあるのだろう。また、これまで何度も日本代表のメンバー争いを経験してきたからこそ、周りを気にするのではなく、「自分のやるべきことをやる」ことが大事だとも考えているのだ。

 その宮崎は、新たに活動が始まった現在の日本代表を「アジアカップやワールドカップでは悔しい思いもしてきました。(9月の)アジア競技大会も(決勝で敗れて)悔しかったけれど、そこでまだまだいけるという手応えを感じました。そういった中で今回、リュウさん(吉田)やエブリン(馬瓜/デンソーアイリス)が入ってくれて、よりチームの雰囲気が良くなってるのではないかなと思います」と、語る。

 また、2月のOQTを見据え、「やることは変わらないけれど、より細かく、もっと頭に叩き込んで今までやってきたことを効率良くやっていこうというのは恩塚(亨)ヘッドコーチも言っています。すでに理解している選手もいれば、新しく加入した選手もいるので、そこはコミュニケーション取りながらやっていきたいです。それと、(OQT対戦国である)ハンガリーは私自身初めての対戦になりますし、カナダ、スペインと強いチームばかりなので、みんながしっかりとコートの中で考えながらやれるように。この1カ月間、切磋琢磨して頑張りたいと思います」と、発した。

「アジアカップやアジア競技大会とは全く違う雰囲気で、すごくタフな試合になると思うので、そのことを選手たちが理解し、気を引き締めて練習から取り組めるように。一人ひとりが先頭を切るぐらい、絶対負けないという強い気持ちを持ってやることが大事なことなのかなと思います」と、宮崎。

 最後はトム・ホーバスヘッドコーチが率いた男子日本代表のワールドカップでの戦いぶりに触れながら、力強く決意を語ってくれた。

「(男子の)ワールドカップで比江島慎さん(宇都宮ブレックス)が大事なところでシュート決め続けて流れを持ってきたように、そういうことができる選手たちは今のチームにたくさんいると思います。それぞれが積極的に攻めていい流れを作って、楽しく、速いバスケットでパリへのチケットを獲得したいと思います」

文=田島早苗

BASKETBALLKING VIDEO