2024.04.27

大学界屈指のスコアラーでもある3x3女子日本代表江村優有…「5人制でも3人制でもバスケットは大好きで楽しい」

3x3日本代表の合宿で笑顔を見せる江村優有 [写真]=田島早苗
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

「パリ2024オリンピック」の予選を控える女子3x3日本代表候補メンバーの中で、唯一の大学生が江村優有(早稲田大学)だ。

 4月に4年生となった江村は、昨年は「FIBA 3x3 ワールドカップ2023」に出場。この大会で日本は歴代最高位となる9位となったが、江村自身も高い得点能力を発揮した。

 4月18日から始まった合宿では「初めて一緒にプレーする人たちも多く、最初は合わないところもあったのですが、コミュニケーションをたくさん取りながら、毎日少しずつ成長して、今はプレーでもタイミングが合うことが増えました。やっぱりコミュニケーションが大事で、それをしっかり取ってるからこそ、今はチームとしても良くなってきていると思います」と、感想を語る。

 出身の長崎県佐世保市では「米軍基地に行ってピックアップゲームをしていた」という江村。一躍その名が全国に知れ渡ったのは、当時3月末に行われていた「ジュニアオールスター」だろう。この大会に中学1年生、あと数日で2年生へ進級するというタイミングで長崎県代表として出場すると、巧みなドリブルハンドリングや高いシュート力を武器に得点を量産。準優勝の立役者となるとともに会場の注目を一身に集めた。なお、翌年の同大会でも前年同様の活躍で準優勝に導いている。

 その後、高校バスケ界の名門、桜花学園高校(愛知県)に進学すると、1年生ながらすぐに主力として試合に出場。だが、高校時代は自身の得点だけでなく、インサイドに同級生で大型センター(当時の身長は186センチ)のオコンクウォ スーザン アマカ(現・白鷗大学)がいたこともあり、センタ0を生かしたパスやゲームメークなどを学んだ3年間でもあった。

 そして高校卒業後に進学した早稲田大では1年次から持ち味の得点力をいかんなく発揮。ちょうど3年前の関東大学女子バスケットボール選手権ではルーキーながら3位決定戦で48得点を叩き出す活躍を見せて改めて注目を集めると、現在も大学界屈指のスコアラーとして君臨している。

 そういった攻撃力を買われての3x3日本代表候補入り。江村自身も「3人制は5人制のボールサイド側という感じ」と独特の表現で3人制でのプレーを分析しながら、「自分の得意なプレーがアイソレーションと2メンゲームなので、そこが生きてきてるかなと思いますし、スコアが一番求められていると思います」と、自身の役割を認識する。

 そんな江村について長谷川誠ヘッドコーチは、「1対1で得点まで持っていける能力、爆発的なオフェンス力を持っているのが魅力です。ただ身長差があるので、ディフェスでどうやって(身長のハンディを)埋めていくか。相手は間違いなくそこを狙ってくると思うので、今は、あえてビックマンにつかせて、どうやったら守れるか試しながらやっています」と、語る。

 確かに、160センチという身長は高さにおいてハンディを負うだろう。それでも江村は「ディフェンスで粘り強く、相手のターンオーバーを誘えるようにというのを意識しながら取り組んでいます」と、意欲的だ。

 23日の公開練習後、メディアからの「プレーで参考している人は?」という質問に「カイリー・アービング(ダラス・マーベリックス)とステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)で、尊敬している選手はマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)です」と3人のNBAスパースターの名前を即答した江村。その理由を問われると「ジョーダンはリーダーシップがあり、オフェンスだけでなくてディフェンスもできるところなど、すべてにおいて素晴らしいです。カリーはシュートが入り過ぎ(笑)。すっごくシュートが入って、どういう状態でもシュートをしっかり決めるところがすごいです。アービングは、外のシュートも入るのですが、アイソレーション、ドライブのフィニッシが一つ一つ違うなど、すべてのプレーにおいてお手本にしています」と、熱弁をふるった。中でもアービングは、ナイキ社で発売されていた頃はずっと彼のシグネチャーモデルを履いていたほど、小さい頃から参考にしている選手だという。

 3x3女子日本代表は11名で合宿をスタートし、25日には日本バスケットボール協会より「FIBA3x3 バスケットボールユニバーサリティオリンピック予選2(UOQT2)」に参戦する大会登録メンバー6名が発表された。江村もそこに名を連ねている。

「3人制でも、5人制でもバスケットに変わりないので、バスケットボール大好きで楽しいですし、3人制になるとスペースが広い分、スコアに行きやすいので楽しいなと思います」と、笑顔で語った江村。

 3x3界のマイケル・ジョーダンとなるか、ステフィン・カリーとなるか、またはカイリー・アービングとなるのか。大きな可能性を秘める大学4年生、江村からは今後も目が離せない。

文・写真=田島早苗

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