2024.05.16
「すごく緊張していたのですが、先輩方が優しく接してくださって、(チームの)ルールもしっかり理解できているので楽しくできているのかなと思います」
5月6日から始まったバスケットボール女子日本代表の第1次強化合宿について、初参加となった都野七海(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)は、このように感想を語った。
都野は桜田中学校(山口県)時代から全国大会に出場し、大阪薫英女学院高校(大阪府)では1年生の頃から主力として活躍。ガッツあふれるプレーや2年生から2年連続でキャプテンを務めるなどコート内外で名門チームを引っ張った。
高校卒業後はトヨタ紡織に入団。1年目の今シーズンは主にバックアップのポイントガードとして全28試合に出場した。特にシーズン終盤、スターターのポイントガードであった坂本美樹がケガにより長期の戦線離脱となると、平末明日香、伊波美空らとともに、懸命に司令塔としての役割を果たした姿は記憶に新しいところだろう。
「高校のときと違い、“自分が、自分が”というプレースタイルでは通用しないレベルになったので、そこはすごく苦労しました。それでも、ルーカス・モンデーロヘッドコーチの指導や坂本さんや平末さんなど、いろいろな先輩方からゲームコントロールやコントロールだけではなく点を取りに行くことなどのアイディアをたくさんもらいました。(シーズンを通して)判断力が付いたかなと思います」と、都野はルーキーイヤーを振り返る。高い得点力を買われ、都野がファーストオプションだった高校時代とは異なり、トヨタ紡織ではポイントガードとしてのゲームの組み立て方、そしてその中で自分の持ち味の生かし方をしっかりと学んだ1年間となったのだ。
「オリンピック選手になるというのが夢だったので、そこに近づくことができる一歩を踏み出したんだと実感してうれしかったです。でも、ここに来たらサバイバルなので、自分のやることを徹底してやらないといけないなという気持ちになりました。(周りが)すごい選手たちばかりなので、自分にできる最大限のことをしっかり出して、アピールしていかないと、パリに選んでもらえないと思います」と、日本代表候補初選出となった感想を語るとともに気を引き締める都野。「コーチの言っていることをしっかり理解してやらないとチームは成り立たないと思うので、いち早く理解して、実戦でチームをコントロールできるようにしていきたいです」とも抱負を語った。
昨年の夏は6位となった「FIBAU19女子バスケットボールワールドカップ2023」でU19女子日本代表の司令塔として活躍。158センチと他国の選手と比べると高さでのハンディはあったが、それをものともせず、1試合平均(全7試合)で12得点4.7アシスト5.3リバウンドという数字を叩き出した。
「武器がフローター(シュート)で、そこはもう誰にもブロックされないと思っているので、(トップの)日本代表でも変わらずやり続けたいなと思います」と、意欲を見せる。練習でもフローターシュートはタイミングがあれば積極的に試みているようで、「どんどん自分と強みを出していきたいです」と、頼もしい言葉を発した。
19歳と今回の日本代表候補メンバーの中では2番目に若い。オリンピックに関しては2028年のロサンゼルス大会も視野に入っているが、「その前のパリに(向けた代表活動に)呼んでもらったので、そこはチャンスだと思っています。(チャンスを)逃さず頑張りたいです」と、気合も十分だ。
目標とする選手は同郷の河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)。現在も河村と同じモデルのシューズを着用しているが、さかのぼれば都野がミニバス時代、当時中学生だった河村の試合を見てから常に目標として追いかけている存在だ。
172センチの河村も世界の中では高さがある選手ではないが、今や日本代表にとって欠かせない存在となっている。河村と同じく強い気持ちと覚悟を持ってコートに立つ都野。女子バスケット界の若き司令塔が夢の実現に向けて新たな挑戦のスタートを切った。
文=田島早苗
2024.05.16
2024.05.16
2024.05.14
2024.05.08
2024.05.08
2024.05.08
2024.05.16
2024.05.14
2024.05.14
2024.05.08
2024.05.08
2024.05.07