2024.06.28
5月7日、パリ2024オリンピックに出場するバスケットボール女子日本代表(FIBAランキング9位)が強化合宿の練習を公開した。
日本代表は4月30日にWリーグ優勝メンバーの町田瑠唯、宮澤夕貴(ともに富士通レッドウェーブ)、オリンピック世界最終予選で活躍した髙田真希、赤穂ひまわり(デンソーアイリス)ら候補選手23名を発表し、5月6日から都内で合宿をスタート。この日は練習に参加している選手たちを4つのグループに分け、軽めの調整が行われた。
今回のメンバー構成について、メディアの取材に応じた恩塚亨ヘッドコーチは、OQT前から掲げているチームコンセプト“走り勝つシューター軍団”に沿って「オリンピックで金メダルを取るために日本の強みを最大限発揮する戦いができるメンバーを呼びました」と説明。選手選考のポイントとして「走り勝つシューター軍団を表現できる選手。ワールドクラスの強みを持った選手を呼んでいるので、それを発揮してもらう。もう一つのテーマとして、能力を持った“集団”として戦うこと。協力して互いにいいところを発揮しあえる、そういう個の要素の強みが流れを作って、相乗効果を発揮できる。そういうことでも貢献できる選手。あとは、総力戦をゲームの序盤から最後まで発揮できる“しつこさ”を持った選手が選考のポイントになってくる」と語った。
2月末に行われたOQTでは、スペイン、ハンガリー、カナダといった強豪と同組になりながら、格上を破ってパリ五輪出場権を勝ち取った。今回の合宿にもOQTのメンバーが参加しているものの、恩塚HCは「OQTで五輪出場権を獲得したメンバーに感謝とリスペクトもある。ただ、勝つための選択をするのが私の仕事。可能性がある選手たちを見て、オリンピックで勝つ可能性を1パーセントでも上げていくのが、いま頑張ってくれている選手たちに対してできる一番誠実な向き合い方」と、代表選考に臨む思いを明かした。
現在はチームに「いまはリカバリーしつつ、五輪で強みを最大化するためのスクリプト(台本)をチームに落とし込んでいる状況」だといい、「プレー選択を無意識に瞬間的にできるように、体の芯に入りこむように取り組んでいる。戦術を『どうするんだっけ』と考えていては相手をやっつけることはできない。習慣化して無意識な感覚をもって、闘争本能につなげていくということを大事にしていく」と理想のチーム像へ近づくための取り組みを重ねている。
五輪本番はアメリカ(1位)、ベルギー(5位)、ドイツ(19位)と同じ“死の組”に入ったが、「過激なことをしてなんとかしようというのではなくて、小さな課題を解決して大きな目標を手に取りたいと考えています。例えばアメリカはトランジションが男子並みに速いですが、自分たちのオフェンスの終わり方、シュートのセレクション、リバウンドなどでコントロールできるところがある。一つのプレーでいかに優位に立てるかを私たちはつかんでいるので、それをやり切れるようにいまトレーニングしています」と、頂点への道筋を描いた。
今後はオリンピック本番までに非公開試合を含め10試合程度の実戦を重ねていく方針。すでに開催が公表されている6月20日と21日に行われるオーストラリア戦は“仮想ベルギー”の重要な実戦機会となる。
OQTでも“死の組”を勝ち抜いたものの、「オリンピックで金メダルを取るには不十分なところがある。課題をチームで共有して、最高に成長した姿でオリンピックに臨めるように、持っているもので最強の戦い方ができるようにやっていく」と指揮官。2カ月半後の大舞台へ、サバイバルがスタートした。
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