2019.12.01

アジアオセアニアチャンピオンシップス開幕!女子代表は初戦で豪州に敗れる

「走り切れていなかった」と試合を振り返った藤井 [写真]=張 理恵
十数年にわたりラジオディレクターとして活動した後、カナダに留学。帰国後の2016年からパラスポーツの取材を始め、18年車いすバスケットボール世界選手権、アジアパラ競技大会をカバーした。

 11月29日、「2019アジアオセアニアチャンピオンシップス」がタイ・パタヤで開幕した。

 今大会は、車いすバスケットボールの東京2020パラリンピック予選会を兼ねており、女子は史上最多の8ヵ国(日本を含む)が出場。2年前に行われた世界選手権のアジアオセアニア地区予選では4ヵ国の出場に留まっていたため、参加国が実に2倍となったことで同地区での競技普及が進んでいることを裏付ける形となった。

 各国のレベルを考慮し、今大会では新しいフォーマット(ディビジョン制)が採用された。日本と同じ「ディビジョン1」(上位レベル)には、オーストラリアと中国が所属。予選ラウンドでは、3チーム総当たりで2回ずつ試合を行い、決勝トーナメントは「ディビジョン2」の1位を加えた4ヵ国で準決勝、順位決定戦が行われる。

 大会2日目の11月30日、女子日本代表は、8月末~9月初に東京で行われた国際強化試合以来、およそ3ヵ月ぶりとなるオーストラリアとの対戦に臨んだ。

 ウォーミングアップ時から”戦う目”を見せる日本。この大会にかける思いの強さをうかがわせる。

 試合開始の笛が鳴ると、立ち上がりからアグレッシブなプレーで得点を重ねていく。粘り強いボールプレッシャーでオーストラリアのシュートミスを誘い、10-2で第1クォーターを終えた。

 第2クォーターではメンバー交替を繰り返しながら、各ユニットの特徴を生かして戦う日本。しかし、放ったシュートがことごとくリングに嫌われ、思うようにリズムをつかめず14-18で試合を折り返した。

 後半、巻き返しを図る日本は、思いの強さから来る”重圧”とリードを許したことによる”焦り”から、本来の持ち味であるスピードと走力を生かした「走るバスケ」が影を潜めてしまう。

 東京パラリンピックには「開催国枠」での出場がすでに決まっている日本だが、チームが今大会で掲げる目標は「優勝」。アジアオセアニア地区のチャンピオンとして自国開催のパラリンピックを迎えるという強い気持ちを持って大会に臨んでいる。絶対に優勝する、勝たなければいけないという”重圧”が動きの硬さを引き起こし、車いすを漕ぐ力を阻んだ。

 それでも、積み重ねてきた努力、仲間と費やしてきた時間は嘘をつかない。

 先の国際強化試合でも手応えを得た「ディフェンス」は健在だった。

 最後までやり切る、あきらめない姿勢を貫いた日本だったが、33-50で試合終了の時を迎えた。

 初戦の難しさを実感したというキャプテンの藤井郁美は「今日は走り切れていなかった。トランジションでハーフコートに持ち込まれ相手に守られてしまった。まずはもっと走って速い展開に持っていきたい」と試合を振り返った。

 翌日にはアジアオセアニア地区最大のライバル・中国との一戦が待っている。
 
 これまで高い修正力を発揮してきた日本の次なる戦いに期待したい。

写真・文=張理恵

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