Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
17日、日本車いすバスケットボール連盟は、東京2020パラリンピック男女日本代表選手内定発表会見をオンラインで行った。08年北京以来3大会ぶりの出場となる女子は、12人中9人が初出場となった。それだけに北京に出場したダブルキャプテンの藤井郁美と網本麻里、そして6年ぶりに代表入りを果たした平井美喜の存在が、カギを握りそうだ。一方、北京で日本をベスト4進出に導いたのが、現在の岩佐義明HCであることは心強い。「残り期間、もう一度オフェンス、ディフェンスを整備していきたい」と岩佐HC。女子日本代表にとっては00年シドニー大会以来3度目となるメダル獲得に向けて、準備は着々と進んでいる。
昨年12月より選手選考を実施してきた女子日本代表。チームの方針である「トランジションバスケ」への対応力、最後まで走り切れること、チームの勝利に貢献すること、の3点を重視して選考が行われた。
チーム最年少は、23歳の柳本あまね。1歳上の財満いずみとともに、この数年で著しい成長を見せてきた若手だ。柳本と財満は、19年の女子U25世界選手権ではチームを牽引し、同カテゴリーでは過去最高となる4強入りに大きく貢献。特に司令塔、シューターとしてマルチに活躍した柳本は、クラス2.5だが、ハイポインター並みに日本の得点源となった。
強みはスピードで岩佐HCからも「トランジションバスケの申し子」と称されている。シュート力もあり、日本女子選手権大会(18年より皇后杯を下賜)では2年連続で「3P賞」に輝いた実績もある。A代表としても着実に力をつけ、現在ではスタメンに起用されることもあるほど中心メンバーとなっている。19年のアジアオセアニアチャンピオンシップスでは、オールスター5にも選ばれた。ビッグマン擁する世界の強豪国を、スピードで翻弄する姿が期待される。
一方、公式戦では6年ぶりに12人のメンバー入りしたのが、39歳の平井美喜だ。07年に日本代表デビューを果たした平井は、14年からはキャプテンを務めたこともある。しかし、16年の大阪カップで初めて12人のメンバーから外れて以降、若手の台頭もあり、代表の座を確立できずにいた。それでも「仲間たちの存在が支えでもあり、若手からの刺激も大きい。だからこそ絶対に諦めず、みんなと切磋琢磨して東京パラリンピック出場を目指す」と語っていた。公式戦としては15年のアジアオセアニアチャンピオンシップス以来の代表復帰となる。
平井を選出した理由について、岩佐HCはこう語る。
「試合の途中で出ても、しっかりと立て直してゲームメークできる選手。これからもベンチスタートが多くなると思うが、さらにチームに勢いをつけたり、あるいは劣勢の時には流れを変えてくれると期待している」
平井自身2度目となる世界最高峰の舞台では、勝負の流れを決める重要な“シックスマン”としての役割が求められる。
その平井からの誘いで車いすバスケを始めたのが、18年から代表に名を連ねてきた安尾笑だ。平井とともにパラリンピックに出場することを目標としてきただけに、喜びも一入だろう。28歳の平井は、すでに東京大会が“最初で最後”と決めている。その安尾について、岩佐HCはこう評した。
「ディフェンス力にすぐれている選手で、プレスでもハーフコートのディフェンスでもしっかりと対応し、海外のハイポインターも止められる力がある。そしてスピードもあり、常に最後まで走り切れるところも彼女の強み。アウトサイドのシュート力もあるので、得点という面でもチームに貢献してほしい」
14年の世界選手権以降、“世界一決定戦”の舞台に上がることができていない女子日本代表。だからこそ、どこよりも勝利に飢えているはずだ。磨いてきたのは、相手のディフェンスが整わないうちに攻撃をしかける“アーリーオフェンス”と、数種類のディフェンスを駆使した“チェンジングディフェンス”。そのすべてを発揮し、高さとパワーで勝る強豪国を撃破して“岩佐ジャパン”としてメダルまであと一歩だった北京での雪辱を果たす。
女子推薦決定選手は、次の通り。
財満いずみ(1.0)
北間優衣(1.0)
萩野真世(1.5)
安尾笑(2.0)
柳本あまね(2.5)
平井美喜(2.5)
小田島理恵(2.5)
清水千浪(3.0)
土田真由美(4.0)
藤井郁美(4.0)※キャプテン
網本麻里(4.5)※キャプテン
北田千尋(4.5)
文=斎藤寿子