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2008年北京以来3大会ぶりの出場となる女子日本代表。12人中9人がパラリンピック初出場のチームにとって、決勝トーナメント進出をかけて行われるグループリーグから厳しい戦いとなることが予想される。
とはいえ、各国との力の差は決して大きく開いてはいない。特にディフェンスは強豪国にも十分に機能している。あとは課題としてきたオフェンスでのフィニッシュの精度をどれだけ高められるかだ。
今大会、女子は10カ国が出場。2つのグループに分かれて予選リーグが行われ、それぞれ上位4カ国が決勝トーナメントに進出する。
日本は、世界選手権準優勝のイギリス、同3位のドイツ、19年アメリカ大陸予選覇者のカナダ、そしてオーストラリアと同じAグループだ。初戦で対戦するのが、同じアジアオセアニアゾーンのオーストラリア。世代交代の途中半ばという印象が強い同国だが、絶対的エースのアンバー・メリットには要注意だ。
インサイドだけでなく、アウトサイドからのシュートも高確率に決める好シューターのメリット。3連敗を喫した19年アジアオセアニアチャンピオンシップスでは、いずれも2ケタ得点で通算51得点を許した。
アンバーの後継者としてされていたアナベル・リンドセイは、国際パラリンピック委員会の通達によって行われたクラス分け再評価によって、東京パラリンピックの参加資格に満たされないとされた。AOCの日本戦では通算でメリットに次ぐ51得点をマークし、第2戦ではチーム最多の25得点を叩き出したリンドセイ。彼女が抜けた穴は、非常に大きい。
そのほか2人のビッグマンは若手で、国際大会の経験も少なく、ペイントエリアにさえ入れなければ、それほど怖い存在ではない。オーストラリア戦では、メリットのシュートチャンスをいかに減らせるかがすべてと言っても過言ではないだろう。
オーストラリア戦に次いで重要なポイントとなるのが、カナダとの第3戦、ドイツとの第4戦だ。少なくともどちらかには勝って、決勝トーナメント進出を確実にしたい。
いずれも、オーストラリアと同様に絶対的エースの存在がいる。カナダは、アリン・ヤンだ。直近の対戦となった昨年2月の大坂カップでは、2試合を行い、日本は連敗を喫した。いずれも最大のポイントゲッターとなったのが、ヤンだ。第1戦では63点中30得点、第2戦では63点中26得点を叩き出した。
18年世界選手権では大会最多となる11本の3Pシュートを決めるなど、アウトサイドにも強いヤンに対して、いかにタフショットを打たせてミスを誘い、リバウンドを制するかが重要となる。
また、ボールハンドリングに長けた司令塔のシンディー・ウエレにも注意したい。アシストだけでなく、自らドライブで切り込む力もあり、得点に絡んでくる選手だ。ウエレからヤンへのホットラインを崩すことができれば、カナダの勢いを止められるはずだ。
一方、ドイツはマライケ・ミラーの高さが最大の武器だ。ミラーは12年ロンドンでは金、16年リオでは銀と、パラリンピックで2大会連続のメダリストとなった経験豊富なベテランだ。抜群の安定感を誇るミラーが、ドイツの支柱となっている。
ただ、ドイツはスピードという点では、他国に劣る。ハーフコートでゆっくりと攻めるドイツに付き合うことなく、日本が武器とするトランジションバスケで速い展開に持ち込み、試合の主導権を握れば、自ずと勝機は見えてくるはずだ。
現在と同じ岩佐義明ヘッドコーチが指揮した08年北京大会では4位とあと一歩のところでメダルを逃した女子日本代表。その雪辱を果たすために、まずはグループリーグで1つでも多くの勝利をつかむ。
文・写真=斎藤寿子