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『B MY HERO!』
過去2度にわたって、パラリンピックで銅メダルを獲得している車いすバスケットボール女子日本代表。今大会は、2000年シドニー以来のメダル獲得を目指す。
チームの大黒柱は、藤井郁美(4.0)と網本麻里(4.5)だ。いずれもチームに数少ないパラリンピック経験者であり、エースそして共同キャプテンを務める。
藤井が得意とするのは、ミドルシュートだ。どのポジションからも高確率に決める力がある。さらに特筆すべきは、チーム随一の勝負強さ。ゲーム中チームが欲しい時に得点を決め、接戦の際には勝敗を分ける最後のボールを託され、期待に応えてみせるのが藤井の真骨頂だ。
象徴的だったのは、19年の国際親善試合でのオーストラリア戦。最後は相手が警戒する中でブザービーターを決め、1点差での逆転勝ちを収めた。東京の舞台でも頼れる存在として、チームを勝利に導くプレーが期待される。
19歳で初出場した08年北京パラリンピックでは、7試合で大会最多となる133得点を叩き出しことは、車いすバスケファンに広く知られている。直近の公式戦、19年アジアオセアニアチャンピオンシップス(AOC)では、6試合中3試合でフィールドゴール成功率40パーセント台を誇った。特に世界4位の中国との試合では、フィールドゴール40パーセント、3ポイントシュートも75パーセントの成功率を叩き出す活躍を見せている。
パラリンピック3大会ぶりの出場となる女子日本代表は、12人中9人が初出場だ。主力として活躍している若手も多く、萩野真世(1.5)と柳本あまね(2.5)も欠かせない存在だ。
10代の頃から将来を嘱望されてきた萩野だが、今や40分間フル出場することもあるほど、代えのきかない選手となった。ガードの役割も担うが、最大の武器はハイポインターにも決して劣らないシュート力だ。
19年AOCの初戦、オーストラリア戦ではチームトップのフィールドゴール成功率44.4パーセントを誇り、北田千尋(4.5)の11得点に次ぐ10得点をマーク。ローポインターの萩野が高確率にミドルシュートを決めることによって、相手ディフェンスが外に開き、インサイドにアタックしやすくなる。さらに、ハイポインターにばかりディフェンスが集中できなくなるため、得点のチャンスが多く生まれるのだ。
「どんな試合も緊張することはない」と語る萩野。チーム一の強心臓の持ち主でもある萩野の存在は、今や日本に欠かすことはできない。
その経験を糧に、努力を積み重ねてきた結果、持ち前のスピードを生かしたプレーでチームの主力にのぼりつめた。岩佐義明HCも「(日本が武器とする)トランジションバスケの申し子」と称する。19年AOCでは、日本人唯一のオールスター5に選出されるなど、代表の中でも存在感が増している。
攻防にわたってスピードが武器の柳本。オフェンスでは速攻やピックアンドロールから、女子のクラス2点台では珍しいワンハンドでのレイアップシュートで得点。ディフェンスではつかまえた相手は絶対に逃さない気迫あるプレーで相手を翻弄する。
さらに、これまで日本代表では見せ場が少なかったが、実は3Pシュートも得意としている。日本女子選手権大会(18年より皇后杯を下賜)では2年連続で「3P賞」に輝いた実績もある。萩野同様、ミドルポインター柳本のアウトサイドシュートが決まってくると、得点源が増え、相手ディフェンスにとっては脅威だ。柳本自身もその自覚は十分にあり、東京パラリンピックではポイントゲッターの一人となるつもりだ。