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『B MY HERO!』
1960年の第1回ローマ大会からパラリンピック競技として実施され、世界で随一の人気を誇る車いすバスケットボール。男子日本代表が初出場したのは64年東京大会で、76年モントリオール大会からは12大会連続出場を誇る。
過去最高成績は、88年ソウル大会と2008年北京大会での7位。未だ一度も準々決勝の壁を破れてはいない。12年ロンドン、16年リオでは2大会連続で決勝トーナメント進出を逃し、世界との距離はなかなか縮まらなかった。
しかし、リオ以降は強豪の欧州勢や、同じアジアオセアニアゾーンのライバル国を次々と撃破。“史上最強”のチームに仕上がった。
その最大の要因となったのは、若手の台頭だ。すでに16年リオ大会に17歳で出場した鳥海連志(2.5)に加えて、17年の男子U23世界選手権で4強入りしたメンバーが次々とA代表入りし、著しい成長を見せてきた。
U23世界選手権でキャプテンを務め、鳥海とともにオールスター5の個人賞に輝いた25歳の古澤拓也(3.0)は、両利きのボールハンドリングを武器とする司令塔。3Pシュートも得意で、ディフェンスにも磨きがかかっている。東京では、より存在感を示したいと意気込む。
A代表デビュー戦となった18年の三菱電機WORLD CHALLENGE CUPで、オールスター5に輝いたのが、25歳の岩井孝義(1.0)だ。ハイポインターを生かすプレーはもちろんだが、岩井にはシューターとしての期待も高い。ミドルレンジだけでなく、3Pシュートも注力して練習を積んできた。クラス1.0の岩井の得点が、チームの大きな武器となる。
そして、18年のアジアパラ競技大会で10代でA代表デビューしたのが、チーム最年少20歳の赤石竜我(2.5)だ。守備力を買われ、U23世界選手権のアジアオセアニア予選の途中から主力へと躍進。A代表でもその守備力が光り、大きな戦力となっている。さらに課題としていた得点力も身に付け、19年アジアオセアニアチャンピオンシップスの3位決定戦ではフィールドゴール成功率80パーセントを誇り、自身最多となる9得点を挙げた。東京大会でも攻防にわたってチームの勝利に貢献するプレーを見せてくれるに違いない。
一方、彼ら若手が世界に怯むことなく思い切り実力を発揮できるのは、経験豊富なベテラン勢の存在が大きい。なかでもキャプテンを務める豊島英(2.0)、長い間Wエースとして日本をけん引してきた藤本怜央(4.5)、香西宏昭(3.5)がプレー面でもメンタル面でも支柱となっている。
32歳の豊島はスピード、チェアスキル、判断力など高いスキルを持ち、特に守備力は一級品。トランジションの速さと守備力で世界の頂点を目指す現在の日本代表には、絶対に欠かすことのできない存在だ。自ら考案したチームスローガン「一心」で、チームを統率する。
04年アテネから5大会連続出場となる藤本は、チーム最年長37歳のセンター。若手にも負けないスタミナを持ち、シュート力は世界トップクラスだ。世界のビッグマンたちに囲まれても、シュートをねじ込むゴール下の力技は必見。さらに3Pシュートやフリースローも高確率に決める。最後のパラリンピックと決めている東京は“おじさんの星”となるつもりだ。
若手とベテランとが融合した史上最強の男子日本代表が、史上初の表彰台を狙う。
文・写真=斎藤寿子