Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
ついに“全員バスケ”の力が結実する時を迎えた。東京パラリンピックのグループリーグ第2戦、2018年世界選手権銀メダルのイギリスを54-48で下した車いすバスケットボール女子日本代表。これまでにはなかった戦い方に、このコロナ禍で大きく成長し、真の力を身に付けたチームの姿が映し出されていた。
傍目から見れば、驚きの連続だっただろう。世界トップレベルの強豪国相手と競り合うなか、過去に例を見ないほどの目まぐるしさで日本は選手を入れ替えていった。
「12人全員が戦力。誰が出ても、力はまったく変わらないのが日本の武器」
前日の第1戦から何度も岩佐義明HCの口から出てきた言葉だ。それが大げさでも何でもなく、事実であることがこの試合で証明された。
第1戦と同じく、藤井郁美、網本麻里、萩野真世、北間優衣、柳本あまねをスタメンに起用した第1クォーター、日本はイギリスと互角に渡り合い、12-12とした。すると第2クォーター、岩佐HCは5人全員を代えるという大胆な選手起用を実行に移したのだ。
強豪イギリス相手に、それも同点という大事な局面で、藤井、網本、萩野、北間ら主軸とされる選手たちを外すことは、これまでの試合ではなかったことだ。それを東京パラリンピックという大舞台で実行に移すことができる、岩佐HCが選手たちを深く信頼している何よりの証だ。
そして、選手たちは指揮官の期待に見事に応えてみせた。北田千尋、土田真由美、小田島理恵、安尾笑、財満いずみのラインナップは、安定したディフェンスでイギリスの攻撃を封じ、3分半もの間、フリースローによるわずか1点に抑え込んだのだ。
さらにその間、小田島が開始早々に3ポイントシュートを決めれば、土田、北田も続き、「ディフェンスの良いラインナップで凌ぎたい」と考えていた岩佐HCの期待を大きく上回る活躍で、イギリスを突き放した。
「この12人は最強だから、自分たちのバスケを40分間やり続ければ、結果はついてくる。昨日から負ける気はまったくしていません」
網本のこの言葉が、今のチームそのものなのだろう。目指してきた“全員バスケ”の形が、コート上でしっかりと表現されている。
「自分たちは強い」
前日のオーストラリア戦でつかんだ自信が、第2戦で確信へと変わったに違いない。